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オーライ晴耕雨読2

 立秋。開拓を進める我が家周辺も、秋の香りが立ち込め、夏の名残を秋の優しさが包んで行くようである。

 この初秋、新しい山羊を迎えた。

 一昨年の開拓当初、草が余りにも茂り、どうにも初老一人、細腕一人、陽気な幼児二人では軽く捻られ太刀打ち出来ないので、何かイイ方法は無いものかと、如何にも俄の思い付きで、ヤギに食べさせて処理しようかという事に決め、リボン♀キャンディ♂を迎えたのだが、我々家族の知識不足、販売元の杜撰な飼育で近親交配が濃い等の理由であっけなくキャンディが夭逝
自責の念と儚さで、悲歎に暮れながらも、杜撰な販売元とはその時点ではまだ分からず、残念ながら死んだ旨伝えると、じゃコレでナシ付けてという具合に来たのがトカラヤギ血統のチョコ♂。チョコはとても大人しく、優しい性格で、よく懐きよく食べ、よく肥えて、子供達とも楽しく過ごしていたのだが、不可解な事に栄養失調で突然死。
その死は中々受け入れられず、余りの悲しみで、もうヤギを増やすのはよそう、リボンを大切にしていこうと話していたものの、リボンは伴侶のチョコを想っているのか、哀しそうな声で空に向き鳴くのである。
 どうしたモノかと思案した結果、彼女にもう一度伴侶を、願わくば日本最強の種で。
との事で、長野県の繁殖家に行き当たり、陽気で好奇心抜群の長女と札幌からクルマで引き取りに伺う事に。
ドタバタの珍道中でいつの間にか大人びた6歳の長女に驚嘆しつつ、親子共々ぐったりで往復2800キロ走破。
小型車ヴィッツに押し込まれながらも物怖じしない我こそ最強の種というヤギは、狭い社内で長い道程もモノともせず、メェウゥーと草を食み食み。
人間の憂いなどどこ吹く風の、漸く迎えたがコレ、5ヶ月のミケ♂である。
ミケは好奇心が強く、臆病で心配性な先輩ヤギリボンにも遠慮ゼロで我が庭を駆け、早速草退治の任に付いている。
 戸惑うリボンに会うや否や、僅か5ヶ月にしてシンボルを勃起させたその姿に、人間とはかくも時をムダにする生き物かと苦笑いしつつ、我が家は冬の支度を迎えている。



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