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【エッセイ】思考、ちょっと待てよ。

いつまでたっても、思考が口においつかない。

口は顔の外側にあるのに、顔の内側にある思考たちはそんなことはお構いなし。

だから話すのがめんどくさくなってしまう。思考と口がよーいどんでも、思考はどんどん口をおいていく。

決して後ろを振り返ることもなく、差は広がるばかり。

そうこう焦ると、噛んでしまい。口サイドの大幅なタイムロス。こけている間も思考は立ち止まってはくれない。

思考がひとり歩きしている。いつだってそう。思考はウサギ、口はカメだ。

でも、この場合は油断のないウサギ。全然休んでくれない。瞑想やヨガ、サウナで無理やり「思考停止」し、少し立ち止まってくれる程度。

基本には朝から夜までぐるぐると縦横無尽に走り続ける。特に夜は怒涛の思考ラッシュ。思考がシコシコしている時間帯だ。

思考に対し、思考している。思考は思考が好きだ。シコースキー。

湖に石を投げると、水面に波紋が広がっていくように、思考は広がっていく。

思考をとめるのは、簡単な話。石を投げなければいい。

でも、この世界は「石」で溢れている。誰かが石を作り、石を勝手に湖の中に投げ入れる。それはそれは数え切れない数の石が

今日も誰かの石によって、僕の思考は爆発していく。起きた瞬間から思考し、思考に埋れながら眠りにつく。

溢れんばかりの思考に押しつぶさそうになりながら、気付けば朝になっている‥なんて日も少なくない。

思考は睡眠の敵だ。思考が睡眠のジャマをするから、思考を思考させて、疲れ果てるのをただだた待つ。

本を読んで、映画を観て、ラジオを聞いて、たっぷりと思考させてあげる。
途中でやめて、寝ようとしてみる。

やっぱり眠れない。思考が思考しているから。

思考のエサを与えたらさらに思考し、エサを与えなくてもエサを求めて思考する。思考は無敵なのだ。

そんな思考のかけらを拾いあつめ、日々のエッセイとして昇華している。広大なゴミ捨て場から、眠っている宝を探し出すのだ。

今日も思考が止まることはない。マグロのように走り続ける。

海をぼーっと眺めてみる。森で木々を見つめてみる。その映像をエサにして、わいてくる思考たち。

「1つの思考がわくと、100の思考がわくと思え。」

思考は、ゴキブリと同じ。

僕は今日もたくさんの思考と追いかけっこしている。もちろん思考は止まってくれない。もしかしたら、追いかけるという発想が間違っているのかもしれない。

ただひたすら、思考停止を待ち続ける旅に出よう。いつか、思考が立ち止まる、その日まで。

思考、ちょっと待てよ。

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