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禅に学ぶプレゼンテーションとは?

パワーポイントのプレゼンテーション資料を見て、

「余計な装飾だらけでわかりづらい!」

「文字だらけで頭に入ってこない・・・」

「何、このアニメーション・・・?」

と、思ったことはありませんか?

外出自粛期間中、少し時間に余裕ができたので過去に自分が作った資料を見返していたところ、まさにこう思って自己嫌悪になりました。

いやぁ、ひどい。真剣に作ってこんな資料しかできないなんて・・・

そこで、今のうちに自分のプレゼンテーションを根本から見直そうと思って、この本を読み実践に活かすことにしました。

『プレゼンテーションzen』 ガー・レイノルズ著

本紹介


著者はどんな人?


著者のガー・レイノルズは、プレゼンテーションやデザインの第一人者で、コンサルタント、ミュージシャン、デザイナーなど、様々な肩書きでマルチに活躍されている方です。現在は京都外国語大学の教授にも就いているそうです。

奈良に住んでいて、日本人以上に禅の世界に精通し、禅アートを長年研究されていることから、本書では禅に学ぶシンプルなプレゼンテーションを提案しています。それが“プレゼンテーションzen”です。

最近、私が好んで著書を読んでいるダニエル・ピンクもこのように本書を紹介しています。

“プレゼンテーションの質の高さや明快さにこだわるのなら(もちろん、こだわるべきだが)この本を手に入れ、すみからすみまで読み、その見識に耳を傾けるべきだ。『プレゼンテーションzen』は現代の名著である。” 〈ダニエル・ピンク〉

そんな風に言われたら、すみからすみまで読んで、実践してみるしかない!

ということで、正しく理解することから始め、小さな一歩を踏み出してみました。


どんなプレゼンテーション作り?


著者は、良いプレゼンテーションを作るには、まずマイクロソフトの型から離れよう!と言っています。

パワーポイントにはレイアウトやデザインのテンプレートが沢山入っています。

このマイクロソフトが用意した“型”。こうしたものを当たり前のように使いがちです。私もそうでした。

パワーポイントを使うな、ということではなく、パワーポイントを使っても良いので、禅のシンプルの本質に学び、伝わるプレゼンテーションをすることだそうです。

確かにパワーポイントのテンプレートを使うとどうしても表現が煩雑になり、型にはまった印象も生まれます。

著者は、こうした型を用いるのではなく、禅のシンプルの本質として以下のような心構えをもってプレゼンテーション作りをすることを推奨しています。

簡素・・・わびさび的な簡潔性。”過ぎたるは及ばざるがごとし”
自然・・・”見え隠れ”の概念(全てを表現しない)
渋み・・・意識的な抑制を通じて究極の趣味の良さを体現

著者はこのようにも言っています。

”「シンプル」という美的概念を取り入れ、不要なものを排除したビジュアル作成法は、我々の仕事にも応用可能であり、最終的にはより進歩的なデザインにつながるだろうと私は確信している。”〈ガー・レイノルズ〉

スティーブ・ジョブズの簡潔で明快なプレゼンテーションが、禅の美学の影響を受けていたことは有名な話です。


著者の目指すプレゼンテーションは、まさにスティーブ・ジョブズが体現していたものです。


その具体的なプレゼンテーション作りの方法は以下のように紹介されています。

①ノートやポストイットを用いたアナログ式のブレインストーミングを行う

②グループ化により核となるメッセージを特定する

③コンピューターを使わずにストーリーボードを作成する

④ビジュアルのラフスケッチを行う

⑤コンピューターを使ってストーリーボード(スライド)を作成する

⑥ストーリーを支えるビジュアルを加え、デザインする

ここで特に意外だったのは、“アナログで準備すること”へのこだわりです。

真っ先にパワーポイントを開いて作り始めてはいけないのです。

アナログの事前準備で、核となるメッセージを特定し、ストーリーをしっかり作る。パワーポイントでの視覚的な表現は、支えとしての役割を果たせるよう、シンプルで印象的なものにする。これが大事なポイントだそうです。

更に本書では、資料をスライドで見せながらわかりやすく伝える技術についても触れています。


この方法をわかりやすく図で表現してみた


この方法を正しく理解して、わかりやすく伝えるために、プレゼンテーション作りの方法を図で表現してみました。


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禅のシンプルの本質に学ぶ3つの心構え、「簡素」「自然」「渋み」を大事にして表現しました。

6つの手順は、箇条書きの状態よりはわかりやすくなったと思います。

一度作った後に「この部分は省けないかな?もっと余白を作れないかな?」と、引き算をしながら繰り返し見返して、伝えたい情報に焦点が当たるようにしていくことが大事なのだと実感しました。

終わりに


同じプレゼンテーション資料でも話し手が変わったら全く印象が変わった、というような経験はないでしょうか?

話し方に問題がある場合もありますが、”資料を作る人”と”話し手”が異なる場合に陥りがちなことではないかと思います。

そもそもわかりにくいスライド資料の場合、作った本人以外は説明が難しくなりますし、迷走して聴く方も辛いです。

作り手と異なる話し手がプレゼンする場合や、聴き手のことを考えたら、禅のシンプルの本質に学ぶプレゼンテーション作りは、マナーと言っても過言ではないかもしれません。

また、こうしたプレゼンテーションには、話し手の魅力を引き立ててくれるメリットもあると思います。

聴き手にとってのわかりやすさだけでなく、スライド資料と話し手の調和に対しても、もっとこだわりを持つべきだと気づかされました。

本書は、こうした本質的な気づきを与えてくれる上、実践的な方法をわかりやすく紹介しているので、おすすめです。

次は、実際にパワーポイントを使ったプレゼンテーションの機会で、この“プレゼンテーションzen”を実践してみよう!

また少し、やる気が湧いてきました。


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