小説『アンチバーチャルリアリティ』#14 ※オマケつき
終始ツンケンとした態度をとっていたアザミだったが、やはり服作りにはこだわりがあるらしい。布選びは周囲へのとげとげしい対応を忘れてしまうほど真剣だった。
「ツユ、こっちの布とこっちの布、どっちがこの子に似合うかな」
「そうねえ……私は右の方がよりつやつやしていて可愛らしいと思うわ」
「うーん、そっかあ……それも分かるんだけど、左は上品さが素敵だと思うんだよね」
ああでもないこうでもないと議論する様を見て、同じく採寸を終えたミズキがため息をついた。
「これじゃあ一生終わらねえ