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19. 60万円の見積に驚愕し、姉が一大決心した話

こんにちは。
我が家(実家)の農地相続問題、まだまだ続いておりますが、今回は姉の頑張った話をさせてもらおうと思います。
前回の投稿で、木の伐採の見積が60万円だった事に一同驚愕したのですが、その続きです。

木の伐採に60万円なんて、我が家で言うと世界一周船の旅くらい贅沢なお金の使い方になってしまう。そもそも農地相続問題に備えて準備をされていた人からすると、何を今更大騒ぎしているんだ。当然の話だ。となるのだろうが、我が家の方針は『なんとかなるさ、生きてるだけで儲け』のその日暮らし精神なのだから、困ったものだ。
当然、日々生きていくので精一杯の両親が、草刈の人件費だの、農地の相続費用だの、ましてや木の伐採費用なんて用意しているわけが無い。

かと言って木も生き物。着実に成長なさるもんだから、見て見ぬふりするわけにはいかなくなってしまった。弟は相続放棄をしているので、母、姉、私、妹の4人で折半して15万円ずつ出して、業者にお願いするか。でも、親のもしもの時用に私がせっせと貯めていたお金には手を出したくない。60万が15万円になったけれども即決出来ない惜しい金額。
どうしよう・・・

そこで姉が立ち上がったのだが、それが随分無謀と思える案だったのだ。
『私が木こりになる!』
そうLINEに入っているのを見たときは、
ん?白雪姫でしょうか?木こりって、自分で切るってことではないでしょうね?
と自問自答し、冗談だと思ってそのままスルーしていた。
田舎暮らしといえど、農業従事者でも林業従事者でもないハイカラな姉が、いったい何を
血迷っているのか、という思いが頭の中を駆け巡った。

だが、姉は本当に木こりになった。
LINEで決意表明をした翌日、早速楽天サイトで手鋸を購入した姉は、2人の子供と一緒に木を伐り始めたのだ。
休みの度に車で出向いては(姉の住んでいる所から木の生えている畑までは車で20分かかる)
せっせと木を伐り、その様子を逐一LINEの姉弟アルバムで共有し始めた。
はじめは姉弟LINEの通知が来るたびにまたか・・と重たい気持ちだったのが、段々と
報告が届くのが楽しみになっていった。
ある時は雪の中木に登っている写真、ガリガリの母と巨大な杉の木との対比が痛々しい写真、いつの間にか姉の友達も参加して一緒に木を伐ってくれている写真。
姉は根気強く木を伐り続けた。
ここまでくると、さすがに私も遠いからという理由で何もしないわけにも行かなくなり、
何か足りないものは無いかと聞いた。姉からは手鋸の歯がこぼれたから追加で3本と、
切った木を今は手で抱えて運んでいるから、猫車が欲しいという何とも木こりなリクエストが届いた。
私は、その日のうちに楽天でポチポチして、3万円の出費もこの頃になると勿体ないとは思わなかった。なんという巻き込み能力。そこらのマーケッターの戦略よりも購買意欲を掻き立てられるクラウドファンディングにまんまとハマってしまった。

そうして姉は休みの度に出向いては取りつかれたように木を伐り倒し、
14本あった木が、10メートル超えの杉の木1本を残すのみにまでなった。
すげー!!
やるじゃん姉よ!!
残り杉1本を残しついに姉は半年掛けてこの大仕事をやり遂げたのだった。

だがしかし、我が家の問題がすべて解決したわけではない。
まだ未登記の土地をはじめ、5か所の農地相続問題は全く解決してはいないのだ。
でも、少しずつ前に進むしかないと自分に言い聞かせて私は毎日眠りについている。

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