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ことわざとか格言とか「好きな言葉」への愛を語る

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格言好きが高じてラテン語を学んだこともあるほど。勇気づける言葉、励みになる言葉、好きな言葉たちへの愛を語るマガジンです。
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記事一覧

花への期待:生存戦略に絆されて

絆 される。 この言葉を「情に厚い」と解釈すれば美点と受け止める人もいるだろう。だが本当にその解釈だけだろうか? 絆 と書いて絆 すと読む。 絆という文字に、柵 のような自由を奪うものという印象を持っていた。だから私は、何かにつけ絆 を叫ぶ人たちに首をかしげていた。 だが、時と共に言葉の印象を再刷り込みされ、今では絆 は、大切なものと捉えることが増えてきた。 しかしながら、絆 すという響きには、今でも残念な印象を持つ。先々迷惑なことが起きると判りながらも許容する柵

与えた場所は「身の丈に合う」環境ではなかったのだとしても

私は自称雑草LOVERだ。 だから、私好みの雑草には、特別な配慮と環境が与えられる。それが私の庭の掟。 好みの雑草はいくつもある。名前をよく知らないものから、広く名の知らた雑草まで。やり方は色々とあるが、人の手を少し加えるだけで、雑草と呼ばれる類の植物は勢いよくい育つ。それだけ生命力があるのだろう。 生命力の強さ。それが雑草に惹かれる理由でもある。だから、雑草が蔓延(はびこ)る様子は、決して嫌いではない。むしろ、感心しながら眺めるほうであった。 ところが、この春。

生と死の間に_curiosity killed the cat

生と死はワンセット。生まれたからには死ぬ。生き物全ての宿命だ。 だが、命あるモノ、そう簡単には死なない。 生老病死(しょうろうびょうし)といわれるように、生と死の間には、老いと病があるからだ。 ◇ curiosity killed the cat 好奇心が猫を殺したという直訳で知られる言葉だが、この言葉の意味は案外深い。 映画や海外ドラマでは「余計なことに首を突っ込むな!」という意図で使われていることがある。だが、それ以外の含みをも感じさせる言葉なのだ。 猫は9つ

情けは人の為ならず

最近見かけることが少なくなった公衆電話。 公衆電話の使い方を知らない人が増えてきているとも聞く。それほど、公衆電話の存在が身近ではなくなってきているのだろう。 身近でなくなってきたとはいえ災害の時には大いに助かる存在でもある。 非常時には優先的に繋がる仕組みになっているからだ。 ◇ 私自身、2011年、東日本大震災のときは、停電の最中、実質、携帯電話が使い物にならない状況で公衆電話を利用した。実家に電話をかけ無事を知らせるためだ。 2019年、台風15号の被害に遭

普遍と限定の間を揺れ動く「言葉」たち:海外ドラマ『クリミナル・マインド』の魅力

英語学習を兼ねて海外ドラマを見ることが多い。 目下の課題は『クリミナル・マインド シーズン11』。サイコパスとかソシオパスがウジャウジャ登場し、直視できないほど怖いシーンもある。 だが、このドラマを見続けるのには確固たる理由がある。 物語の最初や最後に名言格言から引用(=quote)される「言葉」に惹かれて見続けているのだ。 ◇ 引用された「言葉」の意味にハッとさせられながら物語に入り込むエピローグ。そして、引用された「言葉」の意味をジワジワと感じながら余韻に浸るエ

君子危うきに近寄らず?

どこかで聞いたことはあるだろう、この言葉。 賢く教養のある人間は、危険なことには近づかないといった意味合いで、怪しい儲け話を断ったようなとき、その理由を一言で告げるといった場面で用いる。 けれども、私は、この言葉に違和感を感じていた。 賢く教養のある人間は、そもそも危険なことに遭遇しないよう注意して行動するのではないかと考えたからだ。 父が危惧していたこと世の中の全てを見てきたわけではないと思うのだが、父はそれなりに経験を積み、仕事をしてきた。きれいごとでは済まない世

「人の口に戸は立てられぬ」を教訓として

「人の口に戸は立てられぬ」は、父が好んで使うことわざだった。 人の口に「戸を立てる」こと、即ち、扉をしめるようなことはできないということ。つまり、「人の口に戸は立てられぬ」とは、噂は誰にも止められないという意味である。 これを口癖のように父はいっていた。「口が堅く人になる」ことを「躾け」られていたのだと思う。 噂好きな人には気をつけろ!噂好きな人。 悪気なく人を批評する人。 世の中には種々様々な人がいる。 だから一概にはいえないのだが、敢えていう。 噂を流して印

「知こそ最大の富」の意図するもの

GACKT氏の「知識は誰にも奪われることのない財産」という発言から、この格言を思い出した人もいるだろう。 私はラテン語を大学の講義で2年ほど受講したが、その学びの中で、覚えきれないほどの多数の格言と遭遇した。その中でも「知こそ最大の富」は、特に印象深い言葉だ。 原文は、 Omnia mea mecum porto. で覚えていたが、検索してみると、 Omnia mecum porto mea. という言葉も出てきた。ラテン語は、語順でなく格変化で意味を解釈するので

隣の人は何する人ぞ~松尾芭蕉を偲んで

いまや名言か格言かのようになっているこの言葉。 松尾芭蕉の句 秋深き隣の人は何する人ぞ が由来であることを知っている人はどれくらいいるのだろうか? この句は、芭蕉が亡くなる前に詠んだ最後の俳句といわれている。 松尾芭蕉の辞世の句といえば、 旅に病んで夢は荒れ野をかけ廻る が知られているだろう。 最後の俳句と辞世の句。その違いとは何なのだろうか? そもそも俳句とは?俳句のことを「5・7・5」のリズムで詠む短い詩歌と思っている人も多いだろう。現代では、そのような

貸し借り上手

友人同士の貸し借りはトラブルのもと。お金のことであれば、それは全くそのとおり。 万が一、友人間でお金を仮に貸すことがあったとしたら返ってこないものと覚悟して渡すしかない。 しかしながら、お金以外のものであれば、上手な貸し借りによって交友が広がることがある。 ご縁の不思議これまでいろんな人との出会いがあった。 私は初対面でも臆することなく話すことができる。ただし気の合う人限定ではあるが。 そんな自分であるから、気の合いそうな人に出会うと、大切にしなければ......と

「逃げるが勝ち」ではないと思うのだ

ふうーーーつ!うううーーっ! と、スゴイ勢いで猫が唸っていた。どうやら喧嘩の前段階、猫と猫で睨み合っていたようだ。 だが、よくよく見てみると少し様子がおかしい。 1匹の猫は、徐々に体制を変えながら方向転換をしようとしている。まるでコマ送りの動画のように姿勢を変えていく。それを見守るもう1匹の猫。 喧嘩には発展せずに済みそうだ。 ◇◇◇ 人の世には、いろいろな言葉、格言やことわざがある。私は、そのような言葉を集めるのが好きだ。 そして、日常の中で目にする情景に、そ