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「知こそ最大の富」の意図するもの

GACKT氏の「知識は誰にも奪われることのない財産」という発言から、この格言を思い出した人もいるだろう。

私はラテン語を大学の講義で2年ほど受講したが、その学びの中で、覚えきれないほどの多数の格言と遭遇した。その中でも「知こそ最大の富」は、特に印象深い言葉だ。

原文は、

Omnia mea mecum porto.

で覚えていたが、検索してみると、

Omnia mecum porto mea.

という言葉も出てきた。ラテン語は、語順でなく格変化で意味を解釈するので、どちらの原文でもラテン語として間違いではない。

「全てのものは自分とともに運んでいる(=身に携えてる)」という原文のニュアンスを「Omnia mea mecum porto.」から「知こそ最大の富」と訳した人のセンスにただただひたすら感動した記憶がある。

海外ドラマの中でも、この言葉が引用されることもあるので、どこかで耳に残っている人もいるだろう。

海外ドラマ『BONES』の中でも引用されていたと記憶している。

GACKT氏が「知識は誰にも奪われることのない財産」という表現をしていた。だが私は、そのような解釈もありえるし、また別の解釈もありえると考えている。

死は誰にでも訪れる「平等な自然の理(ことわり)」であり、知識は、人生の最後の瞬間「死」に臨むとき持っていけるもの。だから、その時を心豊かに迎えられるよう、知識といった最大の富を得ることの大切さを説いているのだと思う。

知識に限らず、経験や教養といったものも含めて、自ら身につけたものは誰にも奪えない。自分の「生きる力」として身につけるものであると同時に、自分の「死んでいく力」にもなる。

「生きる力」を身につけることは、即ち「死んでいく力」を身につけることに繋がるのだ。