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Lobsterr Letter vol.33

Greenhouse for Better Ideas
温室の設計者は誰だ? 

テーマは「よりよりアイデアのためのコミュニケーションのあり方」

両利きの経営がブームになり、1つの領域を「深化」させる人たちと、いまここにないなにかを「探索」する人たちの双方が経営には必要だという考え方が受け入れられつつあるなか、外交的な人と内向的な人の両方の特性を生かしたコミュニケーションのあり方について、考えが展開されている。

アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアックが言うように、「多くの発明家は内向的で、シャイで、自分たちの頭のなかに生きている。彼らはアーティストのようだし、実際アーティストだ。アーティストはひとりで活動するときに本領を発揮する」。しかし、 ウォズニアックのように静かな思考、深い思考、遅い思考をする人の声は、周囲が耳を傾けなければ、大きくて速い声に掻き消されてしまう。

外向は外向き、内向は内向きだが、「外にいる人の内面を向く人」や、「内にあるものの外面に注意を払う人」という見方もできるはず。

人の気持ちがわかる、想像力や共感性がある人は、すくなからず自身の内面にも注意を払っているはずだし、相手の内面も深く理解したいという真摯な姿勢があるはず。と考えたら、外向と内向の対比ではちょっとみえてない世界があるのかもしれません。

Zapposという、世界で最も明るく快活な企業文化をつくった彼(CEO、トニー・シェイ)自身は、非常に内向的な人物なのだという。彼は、自身を「(ビニールハウスのような)温室の設計者」であると表現する。自分がいちばん目立つカリスマ的リーダーになるのではない。それとは真逆で、自分の仕事は、他の花や草や木が繁栄する環境をつくることである、と。

人が互いのことに関心を持ったり、信用したり、好意をもつようになるには、自分のアイデアとか自分の価値観のおしつけを優先する(ある意味暴力的な)態度よりも、新しいアイデアへの好奇心とか、多様な感性を歓迎して受け入れる器の広さのような、『受容の文化』のようなものが鍵になるのかもしれません。

外部からの刺激から守られ、同じ土壌での成長に適した、ある種の類似性をもちながら、多様な個性を時間をかけて開いて実らせていく『温室』というやさしい世界観には、個人の力を信じる組織のあり方の流儀を示してもらったように感じ、こころあたたまりました。

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