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読書感想21冊目:蟲愛づる姫君 後宮の魔女は笑う/宮野美嘉著(小学館文庫 キャラブン!)

 注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。

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新章、開幕!!

帯より

「蟲愛づる姫君の婚姻」シリーズ第七巻。
 第一巻はこちら(次巻よりは順にリンクがあります)

【シリーズにおける注意】
 各巻ではできる限りネタバレを避けつつ(本題でありネタバレなので)感想をあげていますが、巻ごとの感想では前巻までの話はわかっていることとして書き連ねていきます。

 婚姻、寵愛、蜜月、純血、永遠、宝匣の第六巻にて第一章は終了。
 続いて新章が始まります。ここから「蟲愛づる姫君の〇〇」ではなく、「蟲愛づる姫君 副題」となっていくので、シリーズ的にも確かに違うお話、というイメージです。
 でも、基本的に登場人物が変わるわけでも主軸が変わるわけでもない感じなのでご安心を。

 今回から、レギュラーとして玲琳姫と夫の魁国王鍠牙との間に生まれた双子の王女、火琳姫と王子の炎玲殿下。
 二人に似た美貌の持ち主ですが、さすが二人の子だけあって、個性豊かです。

 そんな二人のお祝いの宴の席から、お話は始まります。
 場所は王妃、玲琳自慢の毒草園にて。しかも蟲だらけ。
 通常の感覚の持ち主であれば、とどまるどころか一歩も踏み入れたいと思わないであろう場所です。玲琳姫にとっては大好きで大事な場所で、だからこそここを選んだ訳なのですが。
 しかし、王妃を大事に(?)思っている臣下らは、そんな場所でもなんとか楽しくすごそうとしている様子。とてもけなげです。
 そして早速始めようとしていると、なんと主役である王子と王女がいない。
 慌てる様子もなく、王女と王子は護衛役に発見されて無事和やかに、楽しく(???)宴始まります。
 このあたりは、シリーズとしてのさっくりとしたおさらいと登場人物の紹介な感じで、微笑ましく楽しいやりとりでありなが、序章です。

 そんな宴から、ひとつ大きな変化が訪れます。
 5歳の誕生日を迎えた双子の王女と王子に、楽しい宴の合間を縫って贈り物が届けられているところに、不思議な一行が進み出て、「わたくしが贈り物です」と名乗る人物が。
 そう名乗った人物は、一切肌を見せず、不思議な淡い黄土色の瞳を持った神秘的な女性、紅玉(こうぎょく)。彼女は自分が斎の女帝、李彩蘭からの二人への贈り物だと説明します。
 玲琳姫が何ができるのかと問いかけると、「占いを」と答える紅玉。
 ものは試しにと、ミーハーな玲琳姫付の女官、葉歌を占ってもらうことに。
 占いの結果に大満足した葉歌は本来の姿(凄腕の暗殺者)であることなど全く感じさせない明るい様子で「本物ですよ!」とはしゃぎ、玲琳姫の気持ちを和ませます。
 その後、王女と王子の贈り物なのだからと二人への占いを申し出た紅玉に対し、父である国王、鍠牙はやんわりと断りを入れて王妃を差し出すという所業に出ます。
 彼の腹黒さを玲琳姫だけが見抜いており、内心憎たらしく(*愛情はこもっています)思いながら占いを受けると、紅玉は彼女に向かってこう言います。
「お妃様……あなたは明日死にます」
 とんでもないことを言い出す占い師。
 結果として占いを受けたからこそこの運命はもはや来ないと紅玉ですが、その後の一騒動を経て宴はお開きに。

 占い師の紅玉はその後も国で占いを行いながら、こう言います。

「今夜もまた、怪物が人を喰い殺す」

 魁国での不思議な殺人事件が起こることを予言する占い師、紅玉。
 彼女が口にする「怪物」の正体とは、その目的とは。
 そしてなにやら、紅玉自身にもなにか考えがある様子。
 また、紅玉を「贈り物」として送り込んだ斎の女帝、彩蘭の思惑とは。
 副題にもある「魔女」とは誰を指し示しているのか、そこも楽しいところです。
 魔女っぽいひと、いっぱいいますからねぇ……

 前後においては王女と王子の属性的なお話も絡んで、複雑なようでやはりこのシリーズはこうでなくちゃね!という結末に物語は疾走していきます。
 疾走、と表現したのは私が思いきり勢いよく読んでしまったので、そんなイメージです(続きが読みたすぎて一気読みして寝不足しました)
 蟲師である玲琳姫は二十三歳になっても変わらず蟲師ですし、常に楽しそうだし動じないし、鍠牙はいつも通り表はまともで内面壊れまくっているのでそのやりとりも楽しいです。
 それに関わる子どもたちとその周辺の臣下たち。そのあたりも物語の広がりを見せて楽しみがいっぱいです。
 大笑いではないですが、「にやり……」としてしまう物語を楽しませてもらったのでした。
 新章開幕して、改めて読む機会を得て嬉しい限りでした(宝匣で完結して、もう出ないと思ってたので嬉しかった、当時のお話)

 公式紹介ページはこちら

コミック版もあります(第一巻のお話ですが)

お読みいただきありがとうございました!

第八巻はこちら


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