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狭霧 織花
2023年1月8日 23:23
「っ!」 悲鳴が、室内に響き渡った。 次に聞こえた声に、漏れたのは安堵のため息と緩む笑み。「おめでとうございます」「姫御様でございますよ」 白磁の肌に、頬にのみほんのりと赤みがさした口元が三日月に割れた。「そう……」 ほぅ、と一息漏らすと出産を終えた女性は眠りについた。 深い、ふかい眠りの底に。 見たのは、小さな希望と夢幻。 掻き消えたそれを胸に抱いて、ここまで来たのだと、彼