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狭霧 織花
2024年6月23日 22:34
*注意着物の着方についてのお話ですが、着付けの専門家ではありません。そういった解釈、意図を持ってのお話でないことをご承知おきください。「あんなはしたない着こなし、ようできたことだこと」 毒を含んだ声と言葉に、立ちすくんだ。聞えよがしの悪態は、きっと届いてしまったことだろう。 声の主はすぐ隣に立っていて、怒気をはらんで不機嫌そうに鼻を鳴らしていた。思わず袖を引くと、なに、と強い声が自分に向
2024年6月16日 20:54
*注意このお話には精神疾患、残酷事件の描写があります。 姉の様子がおかしくなったのは、春を少し過ぎたくらいだった。 よく笑う、明るく優しい姉がふさぎがちになり、言葉少なになった。いつしか部屋に閉じ籠るようになった。心配して声をかければ怒鳴られてしまうことさえしばしばあった。 部屋に籠ったままになれば当然食事の回数、量が少なくなり、姉はみるみるうちに痩せ細っていく。家族は皆心配し、戸惑い、
2024年6月6日 21:57
白いかんばせに、赤い唇、星を散りばめたように艶やかに長い黒髪。 とにかく美しい女。 彼女は、そう評されるに相応しい隣人だった。 小さな村に、女が一人住んでいた。 一人暮らしであるというのに、ゆったりと過ごす彼女は世俗からかけ離れた存在に思えた。事実、生活感がなかった。 いつ見てもしゃんと伸びた背筋にまとう和装は季節ごとの花をあしらったもので、乱れたところなどひとつも見あたらない。
2024年6月1日 21:01
夢か、幻か。 狂おしいほどに魅了するのは、優しい弧を描く唇、伏せたまつげ、胸の前で組まれた祈りの形。すべてが完璧な位置で整えられた、美しいもの。神々しいと口にすることすらおこがましいと感じながら、その美しさに酔いしれる。 ただ佇む姿のなんと神々しいことか。出会えた幸せに、死んでもいいとさえ思えた。 震える指先が、真白の肌に伸ばされる。 触れたら穢れる。けれど触れずにはいられない。ぎりぎり