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春、そして物語を紡ぐ



最近の楽しみは、春を見つけること。


◇◇◇

母がベランダで育てているお花がとても綺麗に咲いた。

“ラナンキュラス”というらしく、母がとても好きなお花だそう。

ラナンキュラスの花言葉は、“晴れやかな魅力”らしい。これは人に教えてもらったこと。
とても素敵なお花だなと思った。
そして、花言葉を調べるというその人の感性も素敵だなと思った。

“晴れやかな魅力”
そんな美しさを持てる人でありたいと願う。

◇◇◇

お世話になった方々が、3月をもって退職されることになった。
昨日は送別会だった。

伝えたいことを溢さずに伝えたくて、メッセージとプレゼントを最後にお渡しした。

「あの日、配属面談の時、私を選んでくださりありがとうございました。」

本当は別の子を人事から勧められていたのだけど、直感で私を採ろうと思ってくれたらしい。
ここでなければ、私はヨーロッパの海外営業をすることもなければ、今の自分も絶対にいなかった。
この部署と欧州担当に選んでくださったこと、心から感謝している。

誰か一人のたった一つの選択で私の人生が変わったとも思えるけど、でもやっぱりこれは何かのご縁で、何かの理由があって私はここに来たのだと思う。


「あなたは意外とアメリカ担当の気質もあると思う。もしできるならば、2つ3つ、アメリカのお客さんを持って、アメリカに年一くらいで出張に行ってもいいと思う。」

長年アメリカ担当だった上司に最後に言われたこと。自分には手に負えない、合わないと思っていたことだから驚いた。
でもちょっと嬉しかった。実は大学でアメリカ文化の面白さに惹かれて、ゼミで専攻したくらい、アメリカという国の面白さにくすぐられることもある。

その上司は長年、海外営業畑を歩んで来られた方。ヨーロッパもアメリカも深く長く担当されたことがあって、山あり谷あり人生経験が深い。お話を聞きながら、こんな風に一つの物語を紡げるような人生を生きれたら、悔いがない生き方になるのかもしれないと思った。

自分の可能性を自分で阻めず、歩んで行きたいと思う。


お世話になった方々に、心からのありがとうございました、を。
人とのご縁ともらったものを大切に。
丁寧に感謝の想いを伝えることをずっと大切にし続けたいです。


◇◇◇

本当に大切なこと。心の奥底の想いは、言葉にも文章にも出来ないということを知った冬と春の狭間。

きっと、本当はもっともっと悲しかった。
あっさりと割り切れるようなものではなかった。
失くしたなんて、認めることができなかった。
だって、ものすごく大切で、全てだったのだもの。

だから、全部蓋をして、心の奥にしまって、毎日走り続けた。がむしゃらに生きた。
大丈夫なふりをし続けた。
周りにも、自分の心にもほんの少しの嘘をつきながら。

自分の口からではなく、誰かの口から聞いた時に、初めて実感した。
もう本当に失くしたんだと思った。
心の奥底の水面が揺れる。

愛おしい温かい日々、

君にまだ言葉にして伝えてないことがあるんだ
それはずっと出会った日から
君を愛しているということ

君は空を見てるか
風の音を聞いてるか
もう二度とここへは戻れない
でもそれを哀しいと決して思わないで

『たしかなこと』/ 小田和正


◇◇◇


ついに桜が開花した。
いよいよ春。

そしてすぐにまた、今度は半月近く、ヨーロッパに出張に行きます。


安定した日々が自分にとって一番幸せだと思っていた。まるで毛布にくるまっているように、全てが温かくて、そんな日々の現状維持を続けたかった。

でも、この2ヶ月であらゆるものが一気に変わってしまった。維持したい現状なんて、とうになくなって、毎日が戦いだった。

トンネルの出口に差し掛かった今、とても軽やかで鞄一つという身軽さということに気づいた。

もう安定した日々も、温かい日々もない。
全部置いてきた。
自分の足で歩くしかない。

そして私は今、少なくともあと数年は、一つの物語を紡げるような生き方をしたいなと思う。

出会いと別れの春。
私自身が何か大きな節目があるわけではないけれども、数々の出会いとご縁に改めて感謝して。

同じ世界で生きているということ、大切ということには変わりないということを。

忘れないで どんな時も
きっとそばにいるから
そのために僕らは
この場所で同じ風に吹かれて
同じ時を生きてるんだ

自分のこと大切にして
誰かのことそっと想うみたいに
切ないとき ひとりでいないで
遠く遠く離れていかないで

疑うより信じていたい
たとえ心の傷は消えなくても
なくしたもの探しにいこう
いつかいつの日か見つかるはず

『たしかなこと』/ 小田和正


読んでくださりありがとうございます。


あこ

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