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アメリカ発・ラグジュアリークッキーの創業者が語る、ブランド体験のつくり方

「クッキー界のロレックスをつくる」

そんなコンセプトをもとに生まれたのが、ラグジュアリークッキーブランド「Last Crumb(ラスト・クラム)」だ。12個入りのボックスで$150(約2万円)もの価格にもかかわらず、主にギフトとして人気を集めている。

CEREAL TALKでも以前、Last Crumbを紹介したところ、クッキー1枚あたり1,000円以上という価格はもちろんのこと、作り込まれたブックレットやユニークなフレーバー名といった顧客体験の面白さが話題となった。

そこで今回、Last Crumbの創業者の一人であるDerek Jaegerに、ラグジュアリークッキーブランドが顧客の熱狂をつくりだした背景についてメールインタビューを行なった。

Derek Jaeger / Last Crumb co-founder, Head Chef

Q. Last Crumbのアイデアが生まれたきっかけは?

食べ物と文化への情熱、そして自分たちが何を作りたいかへの深い理解。もし今回の(ラグジュアリークッキーという)アイデアがうまくいっていなかったとしても、後悔はなかっただろう。僕たちにはこのやり方しかなかったんだ。
一度体験してもらえば、Last Crumbが他のクッキーボックスとは違うと感じるはずだよ。そういう意味で、僕たちに競合はいないと思っている。

Q. ラグジュアリークッキーブランドをつくる上で、重要だったと思う決断は?

とにかく、手抜きをしないこと。製造とクリエイション、両方の面で。多くの企業は自分たちに制限を設け、予算内に収めようとするけれど、僕は制限などないことを証明したかった。
「ラグジュアリークッキー」に対する考え方も、ブランドを立ち上げた当初から何も変わっていない。

Q. クッキーボックス内に同封しているブックレットを作った理由は?また、その目的は?

Last Crumbのボックスに同封されているオリジナルブックレット。それぞれのフレーバーやブランドについて丁寧に語られている

すべては期待感を高めるため。その積み重ねと強化がとても重要だ。
Last Crumbの体験は、ボックスやバッグ、ブックレット、配送方法ですらも、すべてが意味を持っている。

あらゆる工程で顧客の期待に応えるために、Last Crumbのクッキーは生産から包装、配送まですべて自社で行なっている。これは僕たちにとって、自然な選択だった。

Last Crumbのクッキーを受け取るまでのあいだ、顧客は期待を高めながら到着を待っている。私たちはその期待に応えることに集中しているんだ。

Q. 顧客は何によってLast Crumbを知る人が多い?

口コミとSNSが圧倒的だ。なかでもTikTokは強力で、#lastcrumb のタグをつけた動画 がたくさん投稿されている。

Last Crumbのクッキーボックスは会話のネタであり、ステータスアイテムでもある。たとえばルイ・ヴィトンの財布を見せびらかすことに抵抗がないように、私たちのクッキーも人に自慢したくなる要素を持っている。
だから多くの人がSNSに投稿してくれているのだと思う。

Q. ドロップモデル(数量限定販売モデル)を選択した理由は?

たとえば代理店で扱えるリード顧客、レストランで一晩に焼けるトマホークステーキ、一日に作れるクッキーの箱など、どんな会社にもキャパシティがある。 もし自分のキャパシティの上限がわかっているなら、それが無制限であるかのように振る舞う必要はないだろう。
むしろそのキャパシティを、マーケティング上の強みに変換した方がいい。

だからある意味、生産キャパシティという制約が僕たちにドロップモデルを選択させたともいえる。ローンチしたばかりの頃はただクッキーを製造できるだけで、ゼロから顧客リストをつくるしかなかった。

顧客体験を最高のものにする上で僕たちにとっては当然の選択ではあったが、このやり方がLast Crumbというブランドをよりクールに、より面白いものにした面はあると思う。

Q. アメリカでクッキーの人気が高い理由は?

子供の頃から身近にあって食べやすく、ひとつの文化となっているからだろう。焼きたてのチョコレートチップクッキーは、アメリカ人にとって子供の頃の思い出と結びつく懐かしいものだから。

Q. Last Crumbをローンチしてから得た最大の学びは?

イノベーションを常に起こし続けなければならない。成功体験によって、独りよがりに陥ってしまってはいけない。

Q. 最後に、Last Crumbのなかで一番お気に入りのフレーバーは?

Banana Cream Pie (Donkey Kong)!!



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