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UGCを自動的に収集し、コミュニティマーケティングを加速させる「Archive」

SNSは今やマーケティングに欠かせないツールとなった。特に近年では、ブランド側からの発信だけではなく、顧客が投稿してくれたストーリーに反応したり、リアルな写真を自社のSNS投稿にも使わせてもらうなど、双方向のコミュニケーションがより重視されている。

しかしストーリーズは24時間で消えてしまうため気づいたときには消えてしまっていたり、いくつものハッシュタグを追い続けるのは負荷が大きかったりと、UGCの活用ハードルは高い。

こうした課題を解決するべく、二人のマーケターが立ち上げたのが、UGCを自動的に収集し、一覧化するツール「Archive(アーカイブ)」だ。

Archiveは2021年3月に生まれた新しいサービスだが、2021年11月に400万ドル、2023年4月に800万ドルとすでに2回調達し、2023年3月にはShopifyのアプリストアでトレンドで1位をとるなど今注目のサービスだ。

UGCの収集・管理を自動化

Archiveのコンテンツ一覧ページ。指定したハッシュタグやメンション付きの投稿が一気に閲覧でき、コンテンツの使用許可をとったりコンテンツをダウンロードすることができる。
Archive Blogより

これまでSNS上にアップされるユーザー投稿を確認するには、それぞれのプラットフォームにログインしたり、ハッシュタグをひとつひとつ入力したりと手作業で行う作業が多かった。さらにそれぞれのユーザーに投稿の使用許可をもらったり、コミュニケーションをとるには個別にDMでやりとりしなければならず、手間がかかるためにいまだUGCをうまく活用できていない企業も多い。

Archiveが提供するのは、こうしたUGC活用のための工数を減らし、投稿の収集と管理の一元化だ。

Archiveに自社のInstagramとTikTokアカウントを設定すると、メンションされた投稿が自動的に蓄積されていく。Instagramの投稿は、フィード、ストーリー、リールのすべてにのフォーマットに対応している。

メンションだけでなく、ハッシュタグを設定できるのもポイントだ。ブランド名のハッシュタグはもちろん、キャンペーンのハッシュタグも個別にアーカイブできる。

さらにメンションされたら自動でいいねを送ることができる機能や、一定数以上のフォロワーを持つユーザーからメンション付きで投稿されたらSlackに通知を送るといった機能もあり、ユーザーコミュニティの醸成を重視していることがわかる。

アーカイブされた投稿はフォロワー数やハッシュタグごとにフィルターをかけることもでき、投稿ごとにフォルダ分けも可能。リポスト候補の投稿や、個別に連絡を取りたいユーザーの投稿をフォルダで管理することもできる。

このように、UGCの収集から管理までが効率化されることで、より多くのユーザーにアプローチしたり、コンテンツの活用方法を考えることにブランド担当者のリソースを割くことができる。

UGCの使用許可取得プロセスも自動化

Archiveでは投稿が一覧で見られるだけでなく、投稿したユーザーにコンテンツの使用許可をとるプロセスも効率化されている。

投稿された写真の使用許可を送る画面のイメージ。文章は自由記述形式で、メッセージはDMで送信される。

一覧化された中から投稿を選ぶと使用許可のリクエスト画面が表示され、メッセージを送ることができる。メッセージはInstagramもしくはTikTokのDMで送られる。

ユーザーに届いたメッセージには、使用リクエストを許可するかどうかを選択するページのリンクが記載される。ユーザーは使用を許可するかどうかをボタンで選択することができる。

ユーザーに送られる使用許諾画面。ユーザーは「承認」か「却下」をクリックするだけで回答できる。
Archive FAQよ

ユーザー側がわざわざ返信内容を考える必要がなく、ワンクリックで返答できるため、回答率が上がる効果が期待できるほか、一覧ページから「承認」ステータスの投稿のみを表示させることもできる。

UGCの活用はユーザーへの許可取りに手間がかかることが多いが、Archiveを使うことでやりとりが簡略化されるだけでなく、その後の管理もしやすくなる。

UGCを自社SNSやECに利用可能

使用許諾がとれたコンテンツは、Archiveからそのままダウンロードすることができる。ファイルとしてダウンロードできるため、リポストだけでなくECの商品ページに挿入するといったことも可能だ。

UGCのECでの活用例。商品画像だけでなく、ユーザーの自然な商品使用シーンを見せることで、購買意欲を高めることができる
Archive Blogより

実際に購入し、使用している顧客のリアルなシーンを見せることで、ブランド公式だけでは出せないさまざまな視点から商品を訴求することができ、親近感も醸成できる。

コンテンツが使用されたユーザーも、SNSだけではなくECでも自分の写真が使われることでよりブランドへのロイヤリティが増す効果も期待できる。

さらに、AIを使ったコミュニティマーケティングの自動化機能も徐々に拡充されている。

Archive Official Pageより

たとえばアルコールブランド「LONG DRINK」では、Archiveのオートメーション機能を使って、商品が写っている写真を自動でピックアップしたり、ブランドがタグづけされた投稿に対して自動的にクーポンやロイヤリティプリグラムへの招待を送ったりといった施策を展開している。

このようにSNSの投稿をきっかけとしたコミュニティを醸成していく「コミュニティマーケティング」が、Archiveの目指す世界だ。

Archiveの利用料金は、収集した投稿のユーザー数(=Social Profiles)によって決まる。

2023年5月時点の料金表

たとえばフリープランで使っている場合、250人の投稿を収集すると、251人目以降の投稿は収集はされているが閲覧できない状態となる。過去のユーザーを削除するか、プランをアップグレードすることで、新規ユーザーの投稿も閲覧できるようになる。

なお、無料プランでは自動的に収集できるコンテンツはInstagramのみで、TikTokは対象外となっている(2023年5月現在)。TikTok投稿を収集したい場合は有料課金しなければならないので注意が必要だ。


創業者のPaul BenigeriとGeoffrey Wooの二人は、長年マーケティングに従事してきた経験から「これからのマーケティングは "語りかける" から "共に創る" に変わっていく」という信念を持つにいたったという。

Archiveはまだ新しいサービスではあるものの、ファンコミュニティを醸成し、ブランドロイヤリティを高めるためのツールとして今後さらに注目を集めていきそうだ。

▼ArchiveのShopifyアプリストア

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