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日本人だけで企業文化の自浄は無理です外国人をいっぱい採用して下さい

「就業前の内定者を拘束する魔法のシステムがあったんやな」
古い読売新聞の記事が出てきて、思わずそんなブラックなシステムに関心すらしたものでした。
<僕は徹底して、露骨にエコ贔屓ひいきするからね。なめるなよ、54のおっさんを!>
内定者向けのサイトにこんな投稿をしたのはパナソニック産機システムズの課長さん。この課長さん、かなり陰湿だったようで、結果として1人の若者が自ら命を絶つこととなりました。

読売は2019年までは売り手市場だったから企業側の囲い込みも躍起になっていたのでは、と見ているのですが、そもそも『就活売り手市場』とやらが疑問に感じるところです。
この若者がどんな仕事に志望していたのかはわかりませんし、或いは入社後に営業か保守員か決まるのかわかりませんが、私は今も就活市場は買い手市場である気がしてならないのです。

🏫東大の外国人・帰国子女枠を就活にも導入しては?

以前、ブラック企業は何故無くならない理由は日本人だけで固まってるからダメだと書きました。正直言って以前からIT業界に外国人を見かけないのを悲観していたのですが、結局日本人だけで固まってもこうした事態って解決できないと思うんですね。

このパナソニックの事例にしても、恐らく集まった内定者は皆、日本人だったんでしょう。だから内定者向けSNSを使ったパワハラがまかり通るわけであります。
個人的にはパナソニック産機システムズの件は、実質的に学生を拘束している(指揮命令下に置いている)以上、会社は学生に対し、賃金を払わねばならないと考えています。この辺、法的な解釈はどう捉えるのでしょう。弁護士や社労士の方にこの記事が目に留まったとしたら、是非ご意見が欲しいところです。
それはさておき、本当に就活が売り手市場で企業は労働力が不足していると言うのなら、外国人採用枠は設けるべきであると考えます。
日本は少子高齢化で人口は不足してますが、世界単位で見れば寧ろ増加しているんですから、本気で労働力が不足していると考えてるなら外国人材の獲得に力を入れないようではダメです。よって外国人採用枠は制度として持っておく必要があります。ホントに売り手市場なら、ですけども。

ドラゴン桜を読んだ人ならご存じ、東京大学には帰国子女や留学生向けの選考枠があり、試験内容も一般の日本の教育カリキュラムを受けた受験生とは異なるものになっています。
確か作中で矢島が「論文だけ受ければOKなんて得してないか?」なんて言ってた記憶があるのですが、ともあれ外国のカリキュラムを受けた人間が日本語の論文を書くのは大変でしょうし、東大としても日本の学校を卒業した人間とは違う役割を期待するなら、ある意味合理的なものなのでしょう。
思うに、ダイバーシティの推進が謳われてる時世ですから、企業も外国人材の採用に積極的になるべきなんですよね。
特にDXなんて言われてデジタルを用いた総合的な事業戦略が求められるようになった今、英語に長け、世界の流れを掴める人材の獲得は必須です。そもそもITに関する一次ソースって言うのは多くが英語だからです。

🏢日本人だけで固まった組織は昭和のオヤジと化す

改めてパナソニック産機システムズの件を振り返ってみますと、恐らく内定者に外国人は一人もいなかったと思われます。
もし日本人だけで固められていたなら、昭和のオヤジは最強です。なぜなら多くの日本人におけるキャリアのゴールは会社員になることだからです。

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リクルートワークス研究所が行った5ヵ国リレーション調査(2020年)では悲惨な結果が出ています。日本人は会社に不満が多いけど一番辞めたがらないからです。そら生産性も上がらないですわ。
これは東証一部上場企業を目指す学生の価値観も例外では無いと思われ、日経225企業に就職することはキャリアの通過点ではなくゴールなのです。
残念ながらその価値観自体が昭和のオヤジそのものだし、その価値観で就職すれば当然、先輩であるモノホンの昭和オヤジには成すすべもありません。
当初、読売の内定者自殺事件の記事を見て「いったい何故日本企業のオヤジはこうも学習しないのか」とも考えたのですが、学生側も昭和のオヤジな価値観へ取り込まれてしまったら学習の必要性が無かったんですね。
恐らくパナソニック産機システムズはこれまで外国人材の採用に積極的だったことは無いし、その上で日本人だけで固まれば組織内では昭和の残業自慢オヤジが最強です。無論、組織は停滞します

💾企業文化を変えたくばまず物理環境を変えよ

改めて言いますと、日本人だけでこうした昭和オヤジの文化を変えていくのは無理です。よほどの変人が一定数紛れ込まないと無理。ちょっと変わってる程度の人では、組織に居辛くなって辞めることになるのが関の山です。
となれば、外国人材が組織に一定数おいて、昭和の価値観が通用しない環境を強制的に作り出す他ありません
例えば電通やワタミが叩かれた要因ってなんだと思いますか?
過労自殺を出したから? 
違います。電通もワタミも女性の社会進出(活躍)が謳われている時代に女性の過労自殺を出したから叩かれたのです。男性の過労自殺を出したところでマスコミも世間も大して騒ぐことは無かったと言えます。現に電通は男性の過労自殺は1991年にも出してますし、2013年には男性社員が過労により病死しています。もっと言うと、新国立競技場建設では23歳の若き男性現場監督が過労自殺しており、この時点で「平和のための五輪」が根底から覆ってしまうのですが、もう忘れた人は多いでしょう。
因みに私が勤めていた前社では入社前に過労自殺あったエピソードを聞かされましたし(確か羽田空港で遺体が発見されたと聞いています)、もっと言うと私がはじめて勤めた会社では52歳の部長代理がクモ膜下出血により過労死してます。命日は3月17日。これは20年近く経った今でも忘れてないですよ。
パナソニック産機システムズのパワハラにより自死した内定者は男子学生でしたが、大して騒がれることなく日常の片隅として流れていきました。結局そういうことなのでしょう。
あるのは日本人だけで日本の組織を改革していくことはできぬという確信です。東大の学生は2-3%は留学生や帰国子女になっているそうですが、やはり日本の組織も抜本的に改善していくには外国人材を一定数採用し、物理的な環境を強制的に変えなければ、組織の体質は改善しないでしょう。
ただし、外国人材を定着させるには日本人と異なり、働くのに魅力的な報酬体系やキャリアパスを構築しておく必要があります。尤も、それが出来なかったから昔サムスンに日本人技術者を引き抜かれ日本の産業は空洞化してったんじゃあないですか?

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