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【T-Bs】なるべくしてなった日本一

 令和5年シーズンのNPBもこれにて完結。最後は阪神が大勝で38年振りの日本選手権奪取というなんともおめでたい結果となった。道頓堀から突き落とされたカーネルサンダースも、草葉の陰でさぞ喜んでいることだろう。今回は、そんな日本シリーズの全体を振り返っていこう。

声出し応援解禁年に相応しい結果

 今季、長く苦しかったコロナ禍がようやく明け、全国の球場でも大声を張り上げての声援が戻って来た。その中でも一際目立ったのはやはり阪神。テレビやラジオからも、応援の歌詞が分かるほどの大合唱がよく聞こえてきたものだ。特に映像のないラジオでは今誰が打席に入っているかというのは応援で判断することもある。「切り開け、勝利への道」から始まるマーチが流れている時は近本光司、「悠然と振り構えた、バットに我らの夢を乗せて」から始まるマーチは大山悠輔と、阪神の応援は他球団のファンでも耳に残るものが多いのだ。しかしながら、この3年間はこれがなかったので非常に寂しかった。昨季の日本シリーズも、東京音頭の大合唱があればまた違った結果になっていたかもしれない。

 そんな声出し応援が解禁されたシーズンとしては、今回の日本シリーズはとても面白い結果となったのだ。京セラドームでは何とか耐えていたオリックスナインが、更にアウェイとなる甲子園球場に所を移した途端に応援に呑まれたのだ。特に印象的だったのは完全無欠の救援陣がことごとく虎打線に喰われていく様子だ。宇田川優希、山崎颯一郎、阿部翔太とオリックスV3を支えたメンバーがどんどんと失点を重ね、マウンド上で膝に手を着いてしまうまでに追い込んだのだ。「ファンは10人目の選手」とよく言うが、それを体現したかのような日本シリーズであった。

律儀な阪神ナイン、胴上げでも…

 ファンはガラが悪いが、阪神ナインは昔から真摯な印象を持つ。やはり、90年近く大阪の街で愛される理由はそこなのではないかと感じている。今回の胴上げでも、グローブや捕手のレガースがマウンドを囲むようにしてきちんと並べられていたのだ。

 「野球の神様」という言葉を使うと、またデータが云々という話しかできない方々に笑われてしまうかもしれないが、僕はその「神様」を信じている。今季の阪神のように道具を大切に扱ったり、負けていてもベンチのメンバーが声を張り上げて指示を出している様子を見ると、敵ながらに「こういう選手たちに勝って欲しいな」と思うようになっていたのだ。恐らく、野球の神様もそれと同じことを思ったのだろう。言うまでもなく、なるべくしてなった優勝、日本一だ。

阪神の選手、首脳陣、そして阪神ファンの皆様、本当におめでとうございます。

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