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【D】「ドジャゴンズ」のきっかけは…

 大谷翔平が1000億円を超える考えられないような契約を勝ち取った。僕の時給は1000円と少しだけ。働く意欲を失いそうではあるが、同じ日本人として誇りに思うばかりである。さて、そんな中で注目を集めているのがユニフォームである。大谷が新しく所属することになったロサンゼルス・ドジャース(以下LAD)のユニフォームは、我が中日にそっくりなのだ。今回は、そんなそっくりな両軍「ドジャゴンズ」はなぜ誕生したのかを見ていこう。

生みの親は球界のオシャレ番長

 これを知っているのは相当な中日ファンか、熱狂的なユニフォームオタクのどちらかだろう。実は最初に「ドジャゴンズ」ユニフォームを開発したのは、星野仙一氏ではなく、水原茂氏なのだ。ここの解釈は難しいが、1番初めにドジャース「風」のユニフォームを身にまとったのが水原氏で、ドジャースを「完コピ」したのが星野氏と言うわけである。

 実はこの水原氏、相当なオシャレ番長である。中日の監督を務める前に、昭和25年から35年までは古巣の巨人を指揮している。そこでもユニフォームを改革。「ジャイアンツ」というチームの愛称にあやかって、本家のサンフランシスコ・ジャイアンツのカラー構成をそのまま巨人のユニフォームにインプットしているのだ。そんな彼が中日にやってきて、ここでもユニフォームを改革。暗い紺色だったチームカラーを今のドラゴンズブルーよりも少し明るい空色へと変更し、胸マークの「Dragons」のヒゲの部分をDの下まで延長し、現在もお馴染みのチームロゴの基を作り上げたのだ。この2点の変更で、中日のユニフォームは一気にLADへと近づいたのだ。

初代ドジャゴンズ?もこのデザインは4年と短命であった。

 また、このユニフォームで特筆すべきは帽子である。それまで丸みを帯びたデザインであったCDマークを、本家LADさながらの角張ったものへと変更。マイナーチェンジを経て現在も中日の象徴的なマークとなっている。

星野竜、LADを完コピ

 水原氏のユニフォームが淘汰されてから14年後、「ドジャゴンズ」ユニフォームが誕生した年に中日へと入団した闘将・星野氏が監督として帰ってきた。彼は恩師の遺志を次いでか否かは今となっては分からないが、LAD公認の「完コピ」ユニフォームを採り入れたのだ。先日話題となった中日の入団会見にLADのユニフォームが紛れ込んでしまったという珍騒動も、このユニフォームの時代である。

 実はこのユニフォームで、本家LADとキャンプを行い、そして練習試合を戦ったことがあるのだ。それだけ、両軍の関係は親密であるということだ。YouTubeにその映像が残っていたので、リンクを記しておこう。

 この映像からもわかる通り、胸マークの綴り以外での両軍の差は3つだけ。1つは帽子。LADのマークはLAだが、中日は筆記体のDのみである。伝え聞いた話によると、Cは広島の頭文字のため、星野氏は下にDをつけることを受け付けなかったようだが定かではない。また、LADの天ボタンは白だが、中日は青。これはナゴヤ球場ラストイヤーの平成8年に修正されている。

 そして2つ目は背番号のフォントだ。LADはMLBでお馴染みの角張ったフォントを使用しているが、中日は高校野球でお馴染みのフォント。こちらも天ボタン同様に、中日のものを平成8年に修正されることとなる。

 そして3つ目。これは本当にマニアックだが、中日は首元から袖をつけるラグランスリーブ型のユニフォームシャツを使用しているが、LADはビブスに袖をつけたようなシャツスリーブ型。ちなみにこれは、後述する現行版の「ドジャゴンズ」ユニフォームでは中日もシャツスリーブ型を取り入れている。「完コピ」の中にも、注視するとこれだけの違いがあったのだ。

「ドジャゴンズ」令和に帰還

 前述の星野政権下でのLAD完コピユニフォームも、落合博満氏が監督になるや否や淘汰されてしまった。落合氏の退任後は、チームカラーが濃紺になったり、完全なる黒になったり、はたまた青が復活したりとチーム同様に安定感を欠くユニフォーム変更が続いたが、今季より再び「ドジャゴンズ」ユニフォームとなったのだ。20年の時を超えて復活した「ドジャゴンズ」は、帽子マークが本家に近いCDとなったり、このマークが本家同様に袖に刺繍されたりと、新しい要素も加わることとなった。まさに中日の伝統と、LADの最新さが同居する素晴らしいユニフォームとなったのだ。

 しかしながら、ここでも違う点が2つ。やはり完全に再現となると、版権の問題が出てくるのだろうか。1つ目は帽子のつばに白くラインが入ったり、天ボタンや空気穴が白くなっている点。こちらはミズノの帽子によく見られる加工なので、あまり気になることは無いが本家のユニフォームを見たあとだとやはり少し違和感が残る。2つ目は袖とズボンにラインが入っていること。こちらは本家とは違うものの、これがあることによって引き締まって見えるのでとてもいいと思う。また、ビジター・ユニフォームにはこれとは違う相違点がいくつかあるが、そちらは過去の投稿を参照されたい。

最後に

 ユニフォームだけでなく、この両軍は不思議な円で繋がっている気がしてならない。ロサンゼルスと名古屋市は姉妹友好都市であり、家族のようにチームを愛する素晴らしいファンがいるのも伝統の1つ。違うのはチームの強さと、スターがいるかどうかだけだ。中日に大谷獲得を望むことはしないが、名古屋人は新しいものが好きだ。是非とも全国区の新スターを作り上げて欲しいものだ。

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