500年前の室町時代にも実在した『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』
知り合いから前回書いた記事が長いので、全く役に立たない知識で良いから1~2分で読めて面白そうな歴史記事を書いてくれと要望があり、いつもと違うテイストで書いてみました(笑)
1. こんな作品をご存知ですか?
テレビ東京で2020年冬ドラマとして放送。この6月に第58回ギャラクシー賞のマイベストTV賞 第5回グランプリを受賞した作品でもあります。略称は「チェリまほ」と言うらしく、どんな内容かというと・・・
童貞のまま30歳を迎えた安達清は、「触れた人の心が読める」という魔法を手に入れてしまった。出社する安達は、ひょんなことから営業部の同期のイケメン・黒沢優一の心を読んでしまうが、聞こえてきたのは自分への恋心だった。wikipediaより
原作は「全国書店員が選んだおすすめBLコミック2019」で1位に、2021年4月時点で累計発行部数は150万部を突破。BLとは、ボーイズラブのことで、男性(少年)同士の同性愛を描くジャンルです。まだ読んだことはありませんが人気作品なのですね。
ところで『30歳まで童貞だと魔法使いになれる』というのは、ネット上のスラングとして2000年代に広まったとされています。しかし皆さんは、ご存知でしょうか?
30歳まで童貞で魔法使いになれた人が、500年前の室町時代に日本の最高権力者として実在したことを!
2. 室町時代に男とはOK、女とはNGで魔法使いになった男
応仁の乱時に東軍を率いた細川勝元の子供として1466年に生まれ、後を継いだ人物が細川政元です。
彼は1493年、戦国時代の始まりを告げたとされる大事件「明応の政変」を起こして将軍を追放し、新たに第11代将軍として足利義澄を擁立。室町幕府では将軍に次ぐ最高の役職、管領(現在でいえば、大臣)でありながら、一時期は将軍よりも力を持ち、「半将軍」とまで呼ばれる日本の最高権力者までなった人物です。しかし彼が本当に成りたかったのは、天狗となって魔法が使えるようになることでした!
よって彼は、魔法を使えるようになるため生涯を通じて女人禁制(不犯)を誓います。一方で相手が男なら天狗になる修行には問題ないということで自由にやっていたそうです。
そして彼は無事魔法を使えるようになりました!
本当かよ?と言われそうですが証拠があります。大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館のWEBサイト内で公開されている『足利季世記』。肥前松平文庫に所蔵されていた室町時代を知る歴史資料です。この17ページ目には、
京管領細川右京大夫政元ハ、四十歳ノ比マデ女人禁制ニテ、魔法飯綱ノ法アタコノ法ヲ行ヒ、サナカラ出家ノ如ク山伏ノ如シ
「四十歳ノ比マデ女人禁制」だったので「魔法飯綱ノ法アタコノ法ヲ行ヒ」ってありますね。ちなみに飯綱ノ法とは、小動物を駆使しておこなう妖術、魔法です。
えっ、魔法が使えるようになったのは40歳になってからだろうって?
細川澄元ト名乗リケル此時分ヨリ政元魔法ヲ行ヒ
細川政元は独身で子供がいないので養子として細川澄元を迎え入れますが、この時に政元が魔法を使ったとも書かれています。これが1503年の出来事なので1466年生まれの政元は37歳。いつから魔法使いになったのかは不明ですが少なくとも30代で魔法を使っていた証拠です。つまり何が言いたいのかというと、
「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」という伝説は、実に500年前、室町時代の最高権力者にまでさかのぼれる、故事に由来していたんだ!!
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