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【詩と日記】乾いた大地と湧き出ずる水

その時、風が吹いた。
強く、強く、
甘く香る花をもぎ取り、
乾きひしめく大地を擦り上げ、
すべての想いを連れ去るように。
時間の枠なんかバラバラになって
痺れるように記憶が辺りを満たせば、
耳の奥底であなたが響く。
ねえ、僕らの街へ帰ろうよ。
谷を渡る風と泉の香り、
濡れていない君なんて君じゃない。
だから、ねえ、僕らの街へ帰ろうよ。
知らず微笑みがこぼれる。
そうだね、それがいい。
帰る場所なんてもうないというのに、
だけどなんだか帰れる気がした。
いつか、きっと、あなたとなら。




今日はたまたま見つけたフリー素材の画像から
インスピレーションを受けて作った詩を。

自分の好きな色、大切な色とはまた別に
ハッとさせられる色ってありますよね。
胸を掴まれるというか。
素通りできない何かというか。
私にとって「オレンジ」がそう。

何がどうしたのか、うまく言えないけれど
なぜかものすごく揺さぶられて揺さぶられて、
言葉にせずにはいられない衝動にかられます。
勝手に私の世界を結びつけて
自己満足も甚だしいけれど
そんなときは決まって1つの事を思っています。

今までも何度か(詩とSNSとかで)書きましたが、
私は「帰る場所」を探しています。
小さい頃からずっと、今もまだずっと。
大切な場所がきっとあるんだと、
漠然とながらそう思っているんです。

そんな私に絵を描く友人がかつて言いました。
水がね、湧いてくるんだよね。
クララちゃんの作品って、
乾いた大地に水が染み込んでいく、そんな感じ。

わかるような、そうでないような。
彼女の言葉は難解な謎かけのようで、
ビジョンはまだ浮かび上がってきませんが、
それを探しにいくという生き方も悪くない?
あの頃とはツールが変わってしまいましたが、
今度は言葉という力を使って、
いつか私は私の大地に立てるかなあ、
そんなことを思う冬の日でした。

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