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【詩】春の花束

今日、春の花を摘んで束ねても
明日には萎れて色を失い
私は泣いてしまうかもしれない。

けれど
あなたがこの世界にいることは何よりも嬉しく
あなたのために花を選ぶ喜びに心は震え
それを束ねる時間に指先までしびれて
春の花はその瞬間、狂おしいほどに美しかった。

移ろいゆく季節を
流れゆく時間を
薄れゆく想いを記憶を。
とめるすべがどこにも誰にもなくても
その切なさが教えてくれるものが
明日の夢を本物にする。

だから
遠くあなたを想おう。
世界で一番大切なあなたを想おう。

盛りを過ぎても、
枯れて朽ち果てても、
たとえ泣いて寂しがっても、
春の花がまためぐり来るように
何度も何度も
決して消えない微笑みとともに。

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