最強の「猫踏んじゃった」

画像1 もう数年前の桜咲いた日、待ち合わせがたまたま音楽学部の練習室だった。真ん中にはスタンウェイ。そりゃそうだ、これはNYの誇る一大メーカー。本社はこのロングアイランドの西の端。他のがあっては興ざめだろう。そして不滅のスタンウェイ・アーティストといえば、大好きなラフマニノフ。私の脳内では盛大にピアノ協奏曲第二番第二楽章が鳴り響くの巻。その脇で息子、嬉々としてピアノに近寄り、満面の笑顔で「猫踏んじゃった」を披露。ラフマニノフの余韻の中で聴く、実に楽しげな「猫踏んじゃった」。
画像2 高い天井に響き渡る旋律。ここがどこでそれが何であろうと臆することはない。弾きたい曲を弾く。それだけだ。ふと、ベヒシュタインもあるかもしれないと思った。「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ」とドビュッシーさまが言われたその名器で、いつか弾いてみるのも悪くない。サティを自主練中の彼だが、今でもピアノに向かうと「猫踏んじゃった」を弾かずにはいられない。初めて奏でた大切な曲なのだろうと思う。桜が咲くとそんなことを思い出す。もう直ぐまた、季節が巡ってくるね。

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