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第262号(2024年4月15日) ウクライナ動員法改正、「核兵器禁止条約の登り方」ほか


【今週のニュース】ウクライナで改正動員法がついに可決 ほか

ロシア軍需産業に対する中国の支援

『フィナンシャル・タイムズ』によると、中国はロシアの戦争遂行能力を強化するための支援を強化している。同紙に対して米政府高官が語ったもので、主に巡航ミサイルやドローンのエンジン、弾道ミサイル用工作機械、半導体(戦車・ミサイル・航空機用半導体の輸入分中約9割)などが含まれるという。また、中露によるドローンの共同生産、中国からロシアへの衛星画像の提供も行われている。
 その背景には、ロシアの軍需産業を支援する中国の振る舞いが欧州諸国からあまり厳しい制裁を受けており、これが中国側の自信につながっているという事情があるようだ。これに対して米国は、もっと中国への制裁を強化するようにとの圧力をかけているようだが、仮にトランプ政権が再登場するとどうなるか。この意味でも今年秋は重要な契機となるだろう。

ロシアによる軍需生産の現状

 国有軍需産業連合「ロステフ」は、同社弾薬製造部門の責任者であるベカン・オズドエフのインタビューを公開した。同社はロシアのウクライナ侵攻作戦で用いられている装備品の9割を生産している。

 この中でオズドエフが語ったところによると、2022年との比較において自走砲の生産は10倍、牽引砲は14倍、迫撃砲20倍、多連装ロケットシステム2倍という大増産が達成されている。これは国防省の求める火砲の供給量を完全に充足するものであった。弾薬についていうと、全体で25倍の増産となっており、一部は50倍に達したほか、クラスノポール-M2誘導砲弾の製造も拡大している。なお、クラスノポール-M2の増産についてはこちらの記事が詳しい。

 重要なのは火薬の材料に関して代替材料が見出されたとしている点であろう。これは木材や麻などの植物原料由来のセルロースであるといい、試験結果では従来型のセルロースを原料とした火薬と全く劣らない性能を発揮した。
 さらにロステフの傘下企業はマルバ152mm装輪自走砲、ドロク82mm自走迫撃砲、デリヴァツィヤ-PVO57mm対空砲の開発を完了したことなどをオズドエフは報告している。
 ちなみにロシアの弾薬製造工場は約10年前において以下のように構成されていた。おそらく現在も大きくは変化していないはずだが、それぞれの工場はかなり拡張されているのだろう。

ロシア軍が新型巡航ミサイルを実戦投入

 4月11日に行われたトリポリ火力発電所への攻撃において、ロシア軍は新型空中発射巡航ミサイルKh-69を使用したと見られる。残された破片の分析に基づく安全保障当局者の話として『ウクラインシカ・プラウダ』が報じた。

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