金沢旅 前編 | ほどほどの遠出でデトックスする、つかれない旅
つくづく、おひとりさまのホテルステイは気分もフットワークも軽い。
思い立ったらすぐに動けて、誰のスケジュールも絡まないから、観光の最盛期を避けてオフシーズンに安く行けるし。
盛夏のきらきらにこだわらないなら、いつだって心地よく過ごせる下準備が済んでいる、と言える。
この隙間に、ちょっとだけ旅の気分に浸りたいなぁ、とスケジュールの空欄に気がついたとき、富山から行くなら石川県の金沢だ。
ほどほどの遠出は、移動に疲れすぎない。
特に夏場の街歩きは、日射でHPゲージが目減りするからキーワードは「避暑」の、金沢をふらっと楽しみたい。
ちょっと眠れるくらいの距離へ行こう
ウトウトと終点を待つ旅情は、気楽でいい。
富山県東部から金沢への移動はもっぱら電車なんだけど、高速バスという手段もある。今回は乗り慣れている電車で。
午前も遅くに自宅を出て、2時間半ほど車窓には、家々の屋根や黄色に色づいて刈り取り待ちの田んぼが並び、川を越え、橋と空が併走する。どこからか眠っていたが、街並みに灰色のビルが増えてくる頃には金沢だ。
最近になって、ICOCAのカードからデジタルカード(スマホがカードの代わりになる。iPhoneではApple Pay経由で入金できる)に切り替えたので、スマホを読み取り機にかざして下車。
ちゃんと通るのか、いつもちょっとドキドキしてしまう。
まず、どーんと駅構内の商業施設Rintoが、改札を出るとすぐ目の前にある。
右手に出ると、主要な観光地をめぐるバス乗り場とフォーラス(イオン系列のファッションビル)。左手を行くと駅の西口で、示野や諸江町など高速道路沿いのエリアに出られる。
今日は、どうしてもチョコレートをはさんだデニッシュかクロワッサンを食べたい気分だったので、フォーラス1Fのパン屋、パンプロジャポンに寄り、隣のスタバでアイスのラテを買った。
シロップ控えめのことを、スタバでは「ライトシロップ」と呼ぶけど、いまだにそう呼んでオーダーしたことはない。
ここはイートインスペースを、何店かの飲食店で共有しており、改装されて小綺麗でおしゃれになっていた。
ちいさいテーブルとおしゃれなソファが並べてある。
以前、立ち寄ったときは、スタバはまだフォーラスの正面出入り口横にあったし、今の場所には元々ゴディバがあった。ゴディバは、同じスペースの違う区画に移動して営業している。
ルピシアの物販とモチクリームがなくなったが、パン屋だけは店名を変えて(元はビゴの店。今もビゴの系列)ずっとここにある。
金沢でお気に入りのパン屋には、尾山神社の近くにあるひらみぱんもあるのだが、サクッと入って買って出る、が非常にむずかしい店のため、チェーン店の「ひとまず」を満たす在り方は、こういうときありがたく思っちゃう。
サッと選んで、みっつ並んだイートインの一席に座って食べる……けど、薄紙に油をしみこませたかのような生地で、期待していたほどの味ではなかった。噛みごたえがなさすぎた。物足りないなぁと咀嚼が終わるまで待つ。
仕切り直しで、駅中でごはんを食べるには微妙な15時台で、空の袋とカップを片付けたら、そのままホテルにチェックインすべくバス乗り場へ出る。
金沢駅からは周遊バスの「片町」で下車。コカ・コーラの時計台を見上げる片町の交差点を渡り、少し歩く。今日のホテルは、ライブハウスのエイトホールのほぼ向かいなので、遠征民にもおすすめの立地。近隣にコンビニが3店舗もある。
近くて大きい都市、金沢
我は、富山の民。
10代後半から20代の半ばまで東京で、そのほかは富山で遊んで暮らしてきた。そんなわたしが金沢に行くのは、割とカジュアルめの遠出で、車を運転していた頃は頻繁にドライブもしてきた。
点在する茶屋町などの観光地は、たまに遠くに住んでる友人たちが遊びに来たときアテンドで行く程度で、美術館に行くか、買い物のほかは街の散策で、大体は目の保養が目的の街めぐりだ。
小立野などで呑んだら泊まる、ってこともしてきた。
そういうとき今までは3つのホテルをよく利用していた。
ザ・スクエアホテル金沢 (web)
近江町市場から近く、ソファを入れてもなお広い間取りが好き。宿泊日が直前だと部屋タイプは決められないが安いプランもよく出ている。
朝、市場に散歩し、海鮮をつまみ、昼は観光の拠点になり、おみやげを買い回っての休憩も取りやすい。近くにあるデパートのエムザは、ひきこもりホテルステイの食事に困らないし、スイーツや小物のおみやげ選びに最適。
トリフィート金沢 (web)
駅近!歩いて5分で着く立地で、1階フロント併設のラウンジが広くて、季節ごとの飾りつけに凝っているのもテンションの上がるポイント。
(クリスマスはおっきいツリーも出るよ〜!わーい!)
光沢あるシルバーがきらめく窓際のソファに、シャビーシックなグレーの家具に、おしゃ……! と心ふるえる内装がたまらなく好きです。
リールに室内の様子をまとめました。
ホテルアマネク金沢 (web)
フロントにあるラウンジと、大浴場が良き。
どちらかといえば、香林坊・片町エリアのなかでも奥まったところにあるけど、犀川沿いの散策で滞在をゆっくり楽しみたいひとには、ちょうどよい街とホテルの距離感だと思う。
夜の飲み食いを重視してるひとには、おすすめ。モーニングブッフェも、金沢の地を活かしたメニューが組み込まれています。
金沢駅西口そばにあるハイアット(グレードの異なる系列ホテルが2つある)も、もちろん最高なんだけど今回はTマークシティホテル金沢に泊まってみました。
Reluxで検索していて、前から気になっていたホテルのひとつ。
Tマークシティホテル金沢に泊まる
アーケードの通路から奥まった入り口を抜けると、両端にはライトアップされた座面の広いソファがあり、カッコいい。観光でくったくたになって帰ってきた休憩にも、ちょうど良さそう。
それに手一杯のおみやげを整理したいとき、あるよね〜。
通路の行き止まりにはエレベーターがあり、左に曲がるとフロント。さらに奥には朝食の専用レストランなどに導線は続く。
チェックインは、予約情報の確認とサインのみで簡素でした!(嬉)
施設情報をあらかじめ確認したいひとは、このタイミングで聞いておくのがベターかなと思います。
アメニティはフロント脇で自由に取っていくバー形式。
歯ブラシ、剃刀、ボディタオルなどなど。酔っ払って家に帰るのダルッ! めんど! って時の一泊でも安心の一揃い。
近くの商業施設、片町きららの1Fに薬局、香林坊のランドマークである109の中に東急ハンズがあって、コスメ商品が充実しているので、いろいろ試してみたい方や夜と朝のスキンケアを楽しみたい方は、あらかじめ寄っておくといいかもです。
「ホテルで美容」は否応なくテンションあがるってワケ
わたしがホテルステイ時に美容推し!するのは、自分のための時間を自分の手入れに使って労わることを覚えておいてほしいなという気持ちからです。
ちょっといいものを使ってみたり、気になってたものを試してみたり、いつものルーティンも念入りにする時間って、なんか良いんですよね。
じわっと喜べてる。
フェイスパックと入浴剤は、そうして選ぶのめっちゃ好きです。
普段からそう熱心なほうではないですが(どちらかと言えば、ずるけていたい)、エステのある高級施設にはそうそう行けなくてもですよ。
念入りに髪と顔を洗い、あたたかくて良い匂いのする湯船に浸かってからだを緩めて、化粧水美容液を塗り、フェイスパックの上から、んぶぶぶと携帯美顔器をかけ、髪をしっかり乾かしてる間に自分の顔をじっくり見るのは、ご褒美になり得ます。
自宅でするのと大差はないけど、なんかちょっとだけ気分が違うんですよね。ふふん、って自慢げに語尾に音符もつけたくなっちゃう。
美容はいいや、ってひとは、その分ほかにお金をかけられる。
食事かな、アクティビティかな。その楽しみもまた覗いてみたいな。
ちなみに金沢駅のRinto内には、フルーツギャザリングというデパコスの多数ブランドを扱うお店や、顔だけでなく身体の手入れや健康にフォーカスした食品雑貨も揃えるお店 Biopleがあるので、美容アイテムは持ち歩かず着いてから買い物するの、大賛成です!
それにしても各種コンビニでは、今や1dayパックのスキンケア一式や独自のコスメブランドを作るなど、アイテム充実させてますし、ほんと短期宿泊だったら家にトラベルポーチを置いていっても大丈夫な時代が来てますよね。
(富山は、富山駅の中にマツモトキヨシが、駅近の施設 MAROOTのなかに、アットコスメストアとロフトが入っているので、ほんとすっぴんでもなんとかなっちゃう気がします)
写真で見るTマークシティホテル金沢
さて話は戻りまして、ここはチェックインを済ませたばかりのホテルの1階フロント。アメニティは一応チェックして、自分で持ってきたもので足りているので、特に持たずに部屋に向かいます。
エレベーターは2基、右側がのぼり専用で常にフロント待機していて、待たなくていいのは好ポイント。
ほかのビルより高いと言えど、ごみごみした繁華街の真ん中にあるため、景観に関しては期待するものはないです。
(夏場らしく、ビル屋上にビアガーデンの青と白の屋根が見えました。それも風情かな。90年代くらいまでの日本のドラマって、ビルの屋上にメッセージをこれでもかと詰めていた印象があります)
大通り側なら、ネオンと共に街の雑観を楽しめたかなと思います。
しかし、わたしは内装重視なので無問題! どころか、家具配置が好みすぎて、それだけで満足度がかなり高かった……!
翌朝、いつもの調子で
チェックイン後に外でご飯を食べたら、コンビニで炭酸水とコーラを買って、あとはずっと部屋で過ごしちゃう。
帰ってくるなり、使いやすいソファとテーブルの配置に静かに興奮しながら、冷蔵庫に飲み物をしまうときに、タワー型の家具がガラス仕切りで部屋に圧迫感を与えない工夫すごいな!と気づいて、それから室内のひとつひとつを愛でて歩く。
手洗い場は高温のお湯が出て、しっかり止栓できるから、連泊の洗濯で助かりそう。(オッ、韻を踏んだぞ)
個人的に「おぉ〜、このホテルいいなあ」と感じるポイントに、キャリーを広げても余白のある間取りがあります。
狭小のなかで収める設計ゆえに荷物の置き場に困る、って施設はよくあるんです。インバウンド需要に応える施設でも、なんですよね。
56リットルよりはるかに大きなキャリーケースを2つ3つ持ち込む方々は、いったいどういう工夫で、室内の利用を邪魔せず良くしているのか、めっちゃ気になってます!
小上がりにベッドを敷き、その下に広げたまま収納できるスペースを設けた渋谷のall day placeは技ありと感じます。
金沢市内でも近江町市場のある武蔵ヶ辻から香林坊にかけては、北陸新幹線の開線以後、新設に居抜きに、高級ホテルからドミトリー・ゲストハウスに一棟貸しと、この狭い範囲にギュッとたくさんの宿泊施設がバリエーション豊富にさまざま集まっています。
ハイアットのほか、星のやのカジュアルホテル、OMO5も片町エリアにオープンと目を惹く名だたるホテルの参入も。
これはほかの都市部には、あんまりない現象なんじゃないかな、って勝手に思っています。
例えば、東京都内だと地域ごとに得意な分野がなんとなくあって、お台場など湾岸にはラグジュアリー嗜好やファミリータイプのホテルが並び、ビジネスホテルの集中している神田、上野や、ドミトリーやゲストハウス型のお宿は蔵前のようにカルチャーが濃い地域で盛んな印象があります。
近年では都下のキャンプやグランピングの施設がアツくて、東京をより広くより細かく楽しむことができるようになりつつあります。
そういった土地によるカテゴリ分けが玉石混合となっている。自分の好きなホテルを探す甲斐がありますよね。
金沢の観光が集中してるエリアから、ほんのちょっとだけ外れてみると、SARARASOのような水音にしたたるchillが染み入る施設が、リバーサイドにぽつんとあったりして、泊まるところで過ごし方の選択肢が無限にある!
今は営業していないのですが、橋場町のランドマークと思っていたドミトリー、HATCHi THE SHARE HOTELSも大好きでした。
(上堤町にあるKUMUと同じ系列です)
グレードの異なる宿泊施設を泊まり歩く生活もすてきだな……、とうっとり目を細めるほどに、わたしのしたいホテルステイ生活のひとつです。
今回止まったTマークシティホテルは、全国的にあまり広いチェーンのホテルではないところも、ここだけ!感が味わえていいかもしれないです。
何よりホテル激戦区からやや離れているにしても、リーズナブルなお値段がかなりの魅力でした。貯まっていたReluxのポイントで、5,000円でお釣りがくるお値段に収まりましたが、ポイント値引きがなくても魅力的だと思いませんか。
そしてこのホテルを一発で気に入ったのは、カードキーを入れるレザーケースです。ズキュン。射抜かれました。
どんなに高いホテルでも、ここは紙製なんですよね。持って帰るとか、記録用に貼りたくなるとか、そんな欲を駆り立てることのない紙であることが多いのに、レザーケースって!としびれました。びびびび。
室内のアクセントとして、約款をつづったファイル、折りたたみの鏡やティッシュケースも黒の合皮レザーで出来ていて、カードキーもテーブルに置くと統一感がここでも出る。渋い! 最高だ! 感動で咽び泣ける!
(頭を抱えて感動にふるえるうちに、急に冷静になって起き上がり、)
ホテルからは歩いて犀川沿いに行けますし、騒々しさと静寂、賑々しい街に居てどちらも選べるのは欲張りで贅沢。水色の犀川大橋を渡った先には、わたしの大好きなカフェkuppiがあります。
泊まりながら、次に連泊したときのルーティンを、かなりシミュレートできました。
また来ようって思えたら、それはすてきなホテルだ。
後編では、金沢のおひとりさまグルメを紹介しています。
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