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週報プークス2月 風が吹いたら

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2月5日(月) アストリッドとラファエル

シーズン4にして、ゆらぎまくるラファエルとニコラの関係性。今作ではアストリッドも、血縁のある少年との対話を迫られており、物語は人生として動いてゆく。
先日、NHKのYouTubeチャンネルでテツオ・タナカ役の俳優、齊藤研吾さんのインタビューを見た。(全3回)


アメリカ留学を経て、現在は家族で在仏。中東の地域の楽器に惹かれ、ミュージシャンとして活動しているなど、バックボーンのわかる内容でなかなかよかった。劇中でテツオは、叔父の経営する日本食と雑貨の専門店に、週一で手伝いに来ている数学者で、幼い頃にさかのぼってまでアストリッドのことを叔父から伝え聞いていたから、彼女のことが心にあったという話が特にキュンとくる。
先日も言ったけど、わたしは恋愛もののドラマ(ヘテロでも同性の愛でも、そのほかの愛でも)にパートナーシップを尊重して、ときに待てる姿勢を持てるひとを待望していたんだな〜〜〜と、ここでも感じた。



2月6日(火) 昔の話

白ごはんにふりかけとか、白ごはんと豚汁とか、自分の食の定番がミニマル化する一方で、あれを食べたいこれも食べたいの欲望は尽きることはない。
このところ大食いのASMR動画や、食べ物がテーマの動画ばかり見ていて、自分の浴深さのうち食い意地がかなりを占めていることを自覚する。
先日、フードライターの白央篤司さんがTwitter(X)で話を募っていて、ふむと過去に手を伸ばしてみた。


阿佐ヶ谷にある鶏料理の店は、ずいぶん昔に漫画で紹介されていて、行きたかった念願のお店だった。
たまたま近くのライブハウスで、推してる芸人が出るオールナイトの興行があった。歩いて行ける距離だし、ひとりで入ってみた。
紅茶サワーと共に軽く食事を済ませたところで、一皿が目の前に出てきて「え? 頼んでないけど?」と思い、そう口に出かけたところで「あちらのお客様からです」をされた。お店の人が紹介した方向には、年の頃はわたしより上に見える男性が居た。たしかタコスのような具のサラダだったと思う。
そのときは既に調理済みのものを突っ返すのは、作ってくれたお店に対しても失礼のような気がしたけど、今なら「いや、しらんけど」って、突っ返してよかったんだな、と思える。
視界にも入ってない男性からの差し入れは、正直きもかった。これが一般的な居酒屋のカウンターでのことであれば、お互いに視認して軽い会話があるなどして、それが盛り上がれば、ごちそうしたりされたりが発生してもなんらおかしくはないんだけど。そこは壁に向かってカウンターのある間取りのため、紹介されるまで目にも入らず、ほんとうに知らないひとからのごちそう、って意図が読めなかったのだ。
皿を出してきたのはお店の人なので、かろうじて口に入れても安全と見た。
わたしは店を出る時間が迫っていたので、かっこんで笑顔で礼を言ってビャッと出るしかなかった。

芸人の出る飲食可のライブというのは、フードとドリンクの売り上げから数%が演者のギャランティとして入るので、自分の胃袋を計算してお店ではこれくらい、ライブではこれくらい、と見越していたので、皿の押しつけは段取りを邪魔されたように感じたことも、いやな体験として結びついている。あのとき、先の用事がなければ、わたしは案外、その男性と呑んでたりしたのかな。
いや、やっぱりひとりの時間を邪魔されたくなかったかも。



2月7日(水) ゆらゆらしている

雨が降ると冷える、あたりまえ体操。
暖炉の前でくつろいでいたら、いつの間にか眠ってしまっていた。右腕が凍りそうに冷たい。さすって起きる。
「IPPONグランプリ」をTVerでアーカイブ。
おれのすきな赤羽さんだ。



2月8日(木) やりすぎだよ! とつっこむ

礼央さんが「こねくと」で、週の頭にあった関東の積雪にて「結局どこまで家の雪かきすべきか問題」に直面して、5軒ぶんやったとお話なさっていて、雪あり県から言えば「自分ちと自分ちの前にある道はなんとなくやる」なので、ずいぶん張り切ったなぁ、と思った。
あと、捨て場所が敷地内にしかない、というのは土地というか、風土の違いだな、という発見。こちらでは、家に沿ってある側溝に雪を捨ててどんどん流してしまう。
商業施設では捨て雪は駐車場の一箇所にまとめられて、山のようになっており春先まで置かれているのも風物詩だ。
2月に入ってからはずっと、散歩でゆく道路沿いにある側溝は、家々の雨樋や山からの雪解け水が流れ出てあふれそうなほどで、夏の干からび具合を思い返すとうそのような光景だなと思って、毎日横を通っている。
前に住んでいた家は、車も通れない袋小路のどん詰まりにあったので、道路に出るまで全部を雪かきしていた。今は雪が深ければ夜中のうちに、市が除雪車を回してくれるし、日中が晴れか曇りであれば半日でなくなる薄い積雪量なので、雪かきすることが滅多にない。ものぐさなのでやんないで済むなら、ラッキーだ。
天気予報を見つつ、今シーズンはスコップをまだ一度も握っていない。



2月9日(金) 網羅の先

スイーツや食事の流行って、まだまだ後発の出る余地あるのだろうか。
イタリア料理って、流行から一般化して定着したものである。
42歳女性が10代になるかならないかぐらいの頃、田舎にもようやくイタリアンの波がやってきて(スマホもネットもSNSもない時代だから、流行の中心は東京で、1〜2年後の、東京では話題が廃れた頃に地方にブツが現れるんだよ。ほんとだよ)、その頃ティラミスやパスタが新しいものとして世間の話題になり、そしていつの間にか日常生活に溶け込んでいる。コンビニにも毎日並んでいて、あえて話題にするほどのものでもない。
セブンにあるカプリチョーザのトマニンおいしいですよね。モーリー・ロバートソンちゃん(経済学ギャル)の一押しなので。
そこにきてイタリアの新星、マリトッツォはどうだろうか。
脂肪と糖、間違いなく食欲に直接訴えかける構成でありながら、なぜか定着には至らなかった。
他国の料理を色々と紹介されるけど、東京は特にさまざまな国の料理がいただけるわけだし、ムーブメントとしての食事を受け入れるときに、感動やシナジーが生まれづらくなっているんではないか。
情報の発信も受信もスピーディーになって、個人がアクセスしやすくなったからこそ、イタ飯ブームのような「あっと驚くでっかい共有」がない。
テレビ全盛期には、特定の世代に代表される歌があったが(40代にとっての安室奈美恵さんや浜崎あゆみさん等)、今は細かく早い流行によってひとつにくくれないことと構造は似ている。はず。
お笑いのネタも世代広く通用する話題が取りにくくなっているんでは(そこで保育園や幼稚園で教わる歌や童謡に着目した、さや香はえらい)。



2月10日(土) りくろーじゃないおじさんがいる

「ねえねえ、サクちゃん。」と、スーさんがサクちゃんにしっとりと呼びかけるところから今週の「となりの雑談」は始まった。
暖炉に火を入れて、薪を継ぎ足して3時間くらい経った頃合いで、BGMにしている。
収録のときは、言及するにしろしないにしろケータリングだったり、どちらかの旅行土産でお菓子が供されることがあり、たまにコーヒーやおやつの話が出る。
今日はチーズケーキ。

小さいときは町のおかし屋さんのショーケースには、スフレタイプやそれに柑橘のジャムやシロップがほんのりと塗られているものがあって、それが定番だった。
モンブランもまだ黄色かった時代だよ。
そのうちにタルト型のレアチーズケーキが好きになり、それはもうハマっていたのだけど、そういうハマりは憑き物が落ちたようにぱったりと前触れもなく終わっている。
(しろたえの籠盛りが流行る前には飽きていたと思われる)
今はバスクチーズケーキを始め、しっとりみっしり重くて詰まったものが大好き。
何度も大阪に行っているのに、りくろーおじさんのチーズケーキは、3年前くらいに初めて食べた。むしむしっと、ちぎって食べられる気軽さがいい。
大阪の食って、とにかく気軽で手頃に思う。天六の商店街にも、また行きたいな〜。



2月11日(日) よしよし

フライパンで炊いた米が、芯が残る硬さだった。ということがある。失敗してちくせう、と思わず大さじ1くらいの水を足し、再び火にかけくつくつとして、耳を立ててじっと待ち、ぱちと音が変わった瞬間に火を止める。
蒸らして10分。よいごはんになった。
成長したものよの。
生米に泣いていた2週前からしても飛躍的である。

電化製品をほとんど使わなくてよい生活になっている。
暖炉の上に鋳物の鍋敷きを置き、湯を沸かしたり、炊飯も沸騰以外の弱火パートはそこで放ったらかし。煮物を任せたら一級品だし。
米は1日で食べ切れる量を炊き、あたためるときはフライパンを脚つきの鍋敷きにしばらく置いておけば、ほんのりあったまる。
暖炉でなくとも、大きい石油ストーブがあるなら、冬も悪くないと思える。
毎日、屋外から何往復かして薪を部屋に運びこむときも、この寒さのおかげであたたかさよありがとう、と言える。
友人の飼っている柴犬は、はじめての雪をお気に召さなかったようで、その気持ちよくわかるよ、と画面に話しかける。




今週も読んでくださり、ありがとうございました!
過去の週報はマガジンにまとまっています。そちらもどうぞ。

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