『呪術廻戦』『約束のネバーランド』- データから読み解くヒット漫画の兆し
『鬼滅の刃』の大ヒットが記憶に新しいですが、最近では『呪術廻戦』が次のブームとなっていますね。そこで今回は、ヒット漫画の兆しをTSUTAYA/蔦屋書店におけるコミックの購入者データから読み解いていきたいと思います。
■漫画購入者数 全体ランキング
TSUTAYA/蔦屋書店における2020年1月1日~12月31日のシリーズ累計漫画購入者数ランキングはこちらとなりました。
2020年の大ヒット作品である『鬼滅の刃』が1位を獲得、上位にはお馴染みの人気作品が名を連ねる中、4位には「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2020」において、大賞を獲得した『SPY×FAMILY』がランクインしています。
■漫画を買わない人が牽引!?
『鬼滅の刃』に見るヒット漫画の兆し
今回ヒット漫画の兆しとして、漫画好きだけが買うのではなく、普段漫画を購入していない層(以降、漫画新規層と呼ぶ)まで購入者層が広がったかに着目しました。
『鬼滅の刃』を例にみると、2019年のアニメ化以降、漫画好きを上回る勢いで普段漫画を買わない新規層が拡大、映画公開・最終巻発売に伴い、新規層が爆発的な伸びを見せ、社会現象となったことが分かります。
『鬼滅の刃』の大ヒットの兆しは、漫画好き層を上回り、新規層が拡大した頃から表れ始めたと言えるのではないでしょうか。
■今、新規層が読む漫画はこれ!
漫画好き層vs漫画新規層ランキング比較
『鬼滅の刃』に見られたように、今回は漫画新規層が拡大し、漫画好き層を上回ることをヒット漫画の兆しと捉え、他の人気コミックにも同様の兆しが見られるか探っていきたいと思います。まずは漫画好き層の購入者数ランキングと、漫画新規層の購入者数ランキングを以下に比較してみました。
『SPY×FAMILY』は、「TSUTAYAコミック大賞2020」の大賞作品でもあるだけに漫画好き層の購入者数ランキングにおいては1位(『鬼滅の刃』を除く)となりました。一方、漫画新規層の購入者数ランキングでは6位となり、新規割合としても今後の開拓余地がある結果となりました。
漫画新規層で1位に輝いたのは『呪術廻戦』。全体ランキング・漫画好き層においてもランキングの高い作品ですが、2020年に新規層を取り込み、現在のスマッシュヒットにつながっていると考えられます。
ランキングの中でも、『鬼滅の刃』のように漫画を買わない新規層 の取り込みに成功し、ヒットの兆しを見せそうな作品として『呪術廻戦』『約束のネバーランド』『地縛少年花子くん』の3作品に注目。『呪術廻戦』は前述のとおりですが、『約束のネバーランド』は漫画好き層7位から、漫画新規層4位へアップ。『地縛少年花子くん』は漫画好き層圏外(50位以下)から、漫画新規層9位へジャンプアップしています。
3作品いずれも購入者全体における漫画新規層の割合が大きく、新規層が人気を押し上げている可能性が伺えますね。
■ヒット漫画の兆しが見られる注目作品
『呪術廻戦』『約束のネバーランド』『地縛少年花子くん』
『呪術廻戦』
ヒットの兆しというより、もはや2021年に入り爆発的ブームになりつつある同作品。2020年10月のアニメ放送前までは、漫画好き層の割合が高かったものの、アニメ放映以降に一気に漫画新規層を獲得し、漫画好き層を逆転したことが分かります。
ストーリー(集英社「週刊少年ジャンプ」公式サイトより抜粋)
呪い。
辛酸・後悔・恥辱...。人間の負の感情から生まれる禍々しきその力は、人を死へと導く。
ある強力な「呪物」の封印が解かれたことで、高校生の虎杖は、呪いを廻る戦いの世界へと入っていく...!
異才が拓く、ダークファンタジーの新境地!
『約束のネバーランド』
2020年12月には、実写版映画が公開されたことも記憶に新しい同作品。漫画新規層の伸びは、第1期アニメがフジテレビ「ノイタミナ」で再放送されたことと、映画の話題と相まって生まれたようです。
ストーリー(集英社「週刊少年ジャンプ」公式サイトより抜粋)
母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。
ここグレイス=フィールドハウスは小さな孤児院。
至って平穏なこのハウスでささやかながらも幸せな毎日を送る三人の主人公エマ、ノーマン、レイ。
しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた…
子供達を待つ数奇な運命とは…!?
『地縛少年花子くん』
漫画新規層の購入者ランキングで大幅なジャンプアップを見せた同作品。2020年1月からアニメ放映が開始されると、徐々に新規層を取り込み、2020年中は常に漫画好き層を上回る数で購入者が推移しました。
ストーリー(SQUARE ENIX「月刊Gファンタジー」公式サイトより抜粋)
かもめ学園に伝わる一つの奇妙な噂。旧校舎3階女子トイレの3番目には「花子さん」がいて、呼び出した者の願いをなんでも叶えてくれるという。おまじない大好き・オカルト少女の八尋寧々は自分の願いを叶えるため、学校の怪談に身を委ねる…。新鋭作家・あいだいろが描くハートフル便所コメディ!
アニメ化・映画化はヒットの鉄則ですが、今回注目した3作品とも、アニメ化・映画化をきっかけに普段漫画を買わない新規層の取り込みに成功したことが、あらためてデータから検証されました。
ヒットの兆しを見せる3作品ですが、今後『鬼滅の刃』のような爆発的ヒットを生み出すか目が離せませんね。
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