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『偶然でも運命でもない』 あとがき

この小説を書き始めたのは、トレーニングの一環だった。

当時、とある会社の事務員だった私は、単調だけど膨大な仕事に趣味の時間を取れないでいた。
平日は帰宅すれば家事に追われ、休日は寝て過ごす日々。
内容はなんでもよかった。何か、仕事ではない事がしたい。
スポーツや手芸はしんどいから、小説を書こう。
これまでも、文章は書いてきたし。
今はスマホがあるから、どこでも書くことが出来るし。

最初は、特に区切りのない小説を書いていた。
なんとなく、友人とクジ引きでお題を決めて「アイドルもの・三角関係」みたいな短編ではないが長編でもないものを書いた。

そのうち、思い付いてしまったのだ。
「あ、千本ノックしよう。」と。
「私は話を区切るのが苦手すぎるから、1話完結の短編小説をたくさん書いたほうがいい。」……確か、そんな理由だったような気がする。

・1500〜2000文字(原稿用紙4枚くらい)の短編小説を、週に3本書く
・絶対に2000文字(原稿用紙5枚)を超えないこと
・とりあえず、半年続けること

こうして書き始めた短編小説を「これ、4コマ漫画みたいにシリーズ化したら面白いかもな?」という発想で、ルールを追加した。

・視点はなるべく男女交互にすること

せっかく書くのだから、小説投稿サイトに連載しようと思い、それならば、と、もうひとつルールを追加した。

・現実の時節とリアルタイムでリンクさせること

投稿時間も、ストーリーがなるべくリアルタイムに重なるようにしていた。
大体、夕方か夜の更新になるので、物語の時間軸も夕方〜夜にかけてが多い。
何も起こらない日々。一向に進展しない二人の関係と、卒業式の話の内容と日付だけを決めて、あとは特にプロットを立てずに書いた。順番を気にせずに、書ける日はどんどん書いて、カレンダーと突き合わせながら季節のイベントがある日の更新はイベントを優先して、物語の進行や、前後の繋がる話を調整した。
9月の末に書き始めて、卒業式は3月。新生活を少し挟んで、でも、60話に収めたかった。理由は忘れたけど。

途中で他の小説を書いたりも挟みつつ、40本くらい書いたところで「あ、これしんどいな?」と気付いた。(遅いわ。)
そこで、一応、1話づつは完結させるが、ストーリーとしては繋がってもいいということにした。(なので、最後に書いた10本は私の中で逃げだと思っている。)

気がつけば私は、その1年間に400字詰めの原稿用紙にして1568枚分もの小説を書いていた。(『偶然でも運命でもない』以外の作品も含む。小説を書こうと思い立った6月〜翌年5月末までの1年間。)
これが、多いのか少ないのかはわからない。
だけれど、これは少なくとも、私の糧になったのだ。

響子さんと大河くん、この二人の関係はキラキラして欲しくないと思っていた。
生々しくて、白々しくて、なんでもない日常を送っていて欲しい。
その時間は決して、取り返しのつかないものであって欲しい。

願わくば、きっと、どこか彼らの生きる世界線で、今日も。
堂々巡りを繰り返しながら、くだらないことで笑っていて欲しい。

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