ー2ー 彼との出会いと違和感の始まり
彼との出会いはアプリだった
彼と初めて会う約束をしたのは、彼の地元を共通の趣味であるバイクで案内してもらうこと。秋から冬になりそうな時の話。
私の家からはかなり遠く、予め経路検索でバイクでどのくらいの時間がかかるのか調べていたが、道路状況でそんな上手くいかず、結果待ち合わせ時間に一時間半遅れる大失態を犯した。
でも、彼はずっと待っていてくれて、責めもせず紅茶を手渡してくれたのを覚えている。
その後、早めの夕食を食べた。
場所的にお洒落な店がたくさん立ち並ぶなか、私は餃子の定食屋さんを選んだ。大遅刻の件も含めて、これが後々の笑い話になるのだが。
その後は彼のバイクに乗せてもらい、綺麗な夜景スポットに連れていってもらった。不思議と密着していても不快な感情をもたなかったし、
なにより楽しかった。
途中、私に飲み物を手渡す時にわざわざペットボトルのキャップを開けてから渡してくれたり、そんなことをされたのは人生で初めてで、そこから私は彼のことを本格的に意識し始めた。
その日は結局、寒空の中、夜中の1時頃まで路肩で話を続けて、お互い帰路についた。
その後何度か会った
お互いに休みが不定期だったから彼の職場に近い宿をとってくれた
付き合う前に身体の関係はあった
うつ病から復職して、やはり不規則なシフトに身体がついていかず
連絡もできずに眠り込んで休んでしまうことも度々あった。
暗に職場から休みなさいと言われるくらいには。
それでも何だか、彼に出会ってから毎日何かしらのエネルギーが湧いてきて楽しいと感じることが増えた
彼の存在が自分にとってプラスになるし、尊敬できそうな人に出会えた感覚を掴んでいた。
けれど、私は前回の休職時に生活がたちゆかなくなり、借金を背負っていた。良くない副業で私はそれを少しずつ返していたのだが、それを清算してから一緒になりたいなとは思っていた。
ある日、彼とスポッチャに行った。
すごく楽しくて、気づいたら自分から「好き」の気持ちがあふれでていた
「大事にする。」そう言われた。
その時点ではまだきちんと付き合っていなかった。
けれど、彼は私と撮った写真を周りの友人に見せてとにかく自慢していたようで、その話を彼から聞かされ、私は「付き合ってからそういうことをしてほしい」と伝えた。
それから、私は自分がうつ病であることを告白した。
彼の反応はあっさりとしていた。
「はやく薬を飲まなくても良くなるといいね」
「俺がいれば大丈夫でしょ」
私は、一度本当に死にたくてどうしようもなくて、遺書を書くみたいに書いた、私の今までの生きざまを書いたものがあり、それを読んで欲しいことを伝えた。
だが、「そんなの読みたくない、自分の口で言って欲しい」
「過去のことなんてどうでも良い、大事なのは今」
私は言葉にするのが下手で、頭も薬で回らないから提案したのだが
大事なのは今、は一見ポジティブに聞こえるが、
これから身近に居てほしいと思う人に、私がどんな人生を歩んできたのか
少しでも知っていて欲しかった。うつ病になった経緯も含めて。
彼からそれ以上聞かれることは無かった。
何か違和感を感じた。
後日、彼と他の異性との接し方を確認しあった。
彼は自分のことを心配性と言い、出会い方がアプリだったのもあったのか畳み掛けるように色々なことを言われた。
心配するから連絡はマメに返してほしい、異性と二人で会うのは駄目、
私の腐れ縁の男性は家に入れるな等。
私は彼の嫌がることをしたくはなかったので、私からこの話を持ちかけたのだが、彼の仕事中に「あとで話がある」とメッセージをいれたのが
仕事中にメッセージを見て、でも直ぐに電話できない状況の彼は、
どうやら嫌だったらしく言われた。
そして後付けするかのように元彼の話をされるのも嫌だからね、と言われた。
それが初めて喧嘩っぽくなった時だったと思う。
正直、私はその時モヤモヤした。
その数日後、彼が家に来て
”私が自分のことを彼氏にしたいと思っているのか、付き合うとかは考えてなくて、アプリ内の関係のある男性のひとりなんじゃないか”
とモヤモヤしていていたことが分かった。
「やきもち妬いてた、ごめん。」
と直接言ってくれたから、それでもう良かった。
この時は、この人は正面から言ってくれるし、ごめんねもちゃんと出来るんだって
彼から、ちゃんとした時にちゃんとした言葉で告白したいと言っていたので
私はそれを待つことにした。
その3日後、今まで出掛けた場所の写真のアルバムと共に、手紙で告白された。
クリスマスはお互いに予定が会わなかったから、早めにお祝いをした。
彼は料理人で私のために素敵な料理を作ってくれた。
私を喜ばせようとやっていることを感じて愛おしく思った。
付き合ってから、予めお互いに決めた決まりごとでは無かったのだが
私が仕事から帰宅した時に連絡しなかったことから話が広がっていき
言い合いになった。初めてボロボロと泣いた。
男関係において信用されてない
「この不安を解消するのはあなたしかいない。」
その言葉にプレッシャーというか圧を感じた。
メッセージのやりとりの中で、私が「心配かけない!」
の文面を直ぐに引っ張り出してきて、「こう言ったよね?」
と。何とも言えない恐怖を感じて、軽い気持ちで何かを言ったり
約束は出来ないなと思って、腰が引けるような、そんな感覚がした
ある日、彼がバイクで行こうと行ったクリスマスマーケット
彼のバイクでタンデムし、お互いにヘルメットにインカムが付いているから話しながら行った。
行くときはすごく元気で、帰りも喋ったほうが良いかなと思っていた。
あるきっかけで彼は無言になってしまった。
理由は、彼の前の車を煽るような運転に対して私が口を出したから。
私はキツく言った訳でなくあくまでも冗談っぽく言ったつもりだった。
でも、彼からするとうるさかったみたい。
後から「もっと労って」だの「こんな寒い中運転してて疲れてんだよ」
とああだの、こうだの言っていたが
私からすると、私が行きたい!と強く希望したのではなく、彼が行きたいと言っていたし、バイクで行きたいとお願いした訳でもないし。
「運転お疲れさま」とは道中言ったけど、伝わってないみたいだ。
私は彼のことを変わらずに好きでい続けられるか不安になった
彼から求められることに応え続けられるか不安になった
彼から「言いたいことある?」とこの頃は優しく聞いてくれた
でも、私が言ったことに対して
そこに上書きするかのように「俺もこういう嫌な気持ちがした」
と何倍もの言葉の量に圧倒され、
私は、私が何も言えなくなるように外堀から埋められて、逃げられないようにされている感覚に陥った。
何かを言うのが怖かったり、安心して身を委ねるところまではいけなかった
私の気持ちがぐちゃぐちゃになって泣いてしまうと
そこだけにフォーカスされ、
「泣かせてごめんね、もう泣かさない。結婚したいと思ってるよ。大好きだよ。」
そう何度も言われた。余計私の頭の中は混乱した。
私は、過去のことを無かったことに出来ないし、過去の私も含めてちゃんと向き合って付き合いたかったから生活がたちゆかなくなった時の副業のことを話した。
彼からはこう言われた。
「理解ができない。そうしないと生きていけないだなんて大袈裟だし、そんな思考しか出来なかったんだな。」
蔑ます言葉もあった
私は当時の私に寄り添ってほしかったのかもしれない。
そうだったんだね、大変だったね、もう頑張らなくていいんだよ。って
私には金銭的に頼れる人は誰ひとりとしていなかったから。
呆然としてただ私は泣いていた。彼に期待してしまっていたからだ。
もうしない、と約束を強要され、
頭が回らない私は直ぐに言葉が出てこず
更に「なんでこんな簡単な約束もすぐできないの?」
と言われた。
「なんであなたが泣いてるの?泣きたいのはこっちだよ」
「ずっと泣いてんならもう帰る」
私は苦しくなり、自分の気持ちを伝えることが出来なくなって
防衛反応で身体を丸めて縮こまった。
けれど、彼は落ち着かせようと包み込んだりせずに
強制的に身体を開かせて、約束を取り付けようと、彼の意見を畳みかけられた。
心の穴がじんわりと広がっていくような感覚だった。
その場は私が約束をすることで場が収まり、
その夜彼からは性交渉を求められた。
この日から私はお腹が痛いというか、違和感があった。
でも断ったらまた彼が不機嫌になるのを感じていたから
そう考えてしまう時点でこの関係に疑問をもつべきだったのだが。
「きつい」と言えなかった。
言ったとしても、
そんなの大丈夫だろ、俺といれば元気になるだろ
そう言われる気がしてならなかったから
彼と会うのは私の家が殆どだった。
彼の職場がコロナで休業中の間、私の家に居つく事もあった。
彼は私の家に来る度にこう言っていた。
「毎回仕事の後にこんなに時間かけて来る俺すごいよね、かったるいもん、流石に身体きついもん。」
何回も、言われていると
別にそこまでしなくて良いよ、と言いたくなってしまう私は性格が悪いのだろうか?
私から彼の家に行く提案も何度もした。
けれど彼は何かと理由をつけて頑なに拒否した。最後まで私は彼の家に行ったことが一度もない。
彼はかなり歳上であり、
「(私が)仕事してなくても養えるよ」
と言う反面、
「奢るの好きじゃない。いたんだよね、過去に俺のことお金でしかみてなかった奴。」
と言っていた。
「たまにはここは私が出すよ、とか言って欲しい」
と言っていたが、いざ私が外食代を出すと言った時に
「そんな大した額じゃないからいいよ」
と言われ、私の頭は混乱した。
私は彼が私の家に泊まる分の水光熱費や、洗濯などの手間
彼に合いそうと思った服を調達したり、クリスマスのビンゴの景品を自分の為にではなく、彼が履けそうな靴下にして渡したり、
今日は私がご飯作るね!なんて日もあった。
それは彼にとってどう感じていたのだろうか。
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