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旅の日 ~会社設立から1年~

歩くスピードを調整しながら、会社を設立してちょうど1年が過ぎました。
歩くスピードとは、会社の歩調という意味ではなくリアルに歩く僕のスピードのこと。

現在、僕の仕事内容を一括りにしてしまうと社長業、つまり会社で起こる全てに責任を負う仕事ということになる。もう少し具体的に言うと、マーケティングリサーチ業務の営業兼ディレクター、コンテンツ作成及びPRに関わる業務、財務・経理、総務、そしてそこそこの頻度で絵描き。多くの業務に関わっていると僕の意向に関係なく1週間のスケジュールがほとんど埋まっていく。
基本的に、締め切りに迫られないとダラダラ過ごしてしまうタイプなのでダラダラする日常がかなり減って気づけば1日が終わっていることもザラにある。
それでもダラダラする時間を取らなければ脳みそが忙しいので、深夜にPS4でパワプロをやったり、ひたすらYoutubeの動画を見まくったりしてダラダラする自分時間を確保するようにしている。

僕は、会社を立ち上げる前から、結構な距離を歩く。
歩きながら思考を整理したり考え事をしたりするので、この時間をとても大切にしている。
日常が忙しいと歩くスピードもおのずと速くなって都会時間を自ら演出している。
歩くスピードが速いと思考するスピードの速さをも増してくる。
会社にとっては合理的なことかもしれないが、僕個人にとってはよろしくない。画一的な思考回路に陥りそうになるし、より、近道をしようと考えがちになってしまう。そんな時は、意図的に歩くスピードを遅くしてダラダラしてみる。そうすると、街から得られる情報の客観性が増し、ほどよくいい加減な人になれる。

20年ほど前、インドにバックパッカー旅行をした時、薄暗くとてつもなくやばそうな雰囲気漂うデリーの空港に降り立ち、どぎまぎしながらバスに乗り込みメインバザールに到着した。メインバザールでもどぎまぎしながら安宿を探していると客引きがどんどん集まってきて10人ほど引き連れながら宿を探す羽目になってしまった。客引きを振り切ろうと歩を早めても一向に離れてくれる様子がない。やっと宿を決めてチェックインしても外に出たら、また客引きが集まってくる。振り切っても振り切っても新しい客引きが寄ってくるのでキリがない。インドに着いてから3日程こんな状況が続き、流石に旅行どころじゃないと思い、考えたのが「ゆっくりと歩いてみること」。インド人を観察していると、暑いせいか、みな僕よりはゆっくりと歩いている。ゆっくり歩いてみると、声は掛けてくるがしつこく追ってくることがなくなった。更に、荷物を持たず手ぶらでゆっくり歩くと誰も声を掛けてこなくなった。「ゆっくり歩く」という選択肢など日本に居る時は考えたこともなかったが、インドで「ゆっくり歩く」ということを教えられた。ゆっくり歩いているとどこか環境に馴染んだりココロに余裕が生まれることや視界から得られる情報も変わってくることにも気づいた。

以後、日本でも忙しさから歩が早くなる日が続くと意図的に歩を遅くしてみたりしている。

会社を立ち上げたから1年。取引先も社員も増えたし新しい事にもチャレンジしている。気づかないうちに「かわっち」という会社も独り歩きをし始めている。

情報過多の時代の中で、どんどん会社のスピードが増している時は、インドでの体験を思い出し少しだけ歩を緩め情緒を感じながらゆっくりと遠回りをし会社を前に進めて行きたいと思う。

旅の日に設立した「かわっち」をどんなスピードで目的地に向かわせようか頭を悩ませ、僕自身がこの環境を楽しみ、関わってくれる人たちが歩く緩急の変化を楽しんでくれるような会社にしていきたいと思う。

2年目も「株式会社かわっち」をよろしくお願いいたします。

株式会社かわっち
代表取締役 河原敬吾

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