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ヤンキー (猫) は型に嵌まるのか。
うちの4匹の猫たちのうち、一番歳若い末猫。
彼女は所謂『ヤンキー』のような猫だ。
先輩猫と目が合えば、すかさず「シャー!」と威嚇する。
先輩猫が近くを通れば襲い掛かる。
人間と目が合えば、すかさず「キャー!!」と叫ぶ (ニャーではなく本当に「キャー」と言う) 。
偶然にも彼女と同じ方向に進めば、後ろを歩くこちらを振り返って「キャー! ンナァアー!! ウワァアァア!!!」と文句を言う。
怖がりとかではない。寧ろ真逆でとても気が強い。
「キャーーーー!」と言う時の彼女の瞳孔は開き切っており、完全にブチ切れている。
恐らく翻訳すれば「何見てンだよォおお!」となる筈だ。
先輩猫も人間も偶々近くを通ったり同じ方向に向かっただけなのに理不尽なことこの上ない。
見事なニャンキーだ。
そんな彼女が大好きなもののひとつが段ボール箱だ。
「世の中のすべての段ボールは自分のもの」と思っているのか、届いた荷物を開封し始めると中に何かがまだ入っていようが構わず入ろうとする。
「それまだ入ってるから、ちょっと待って。」
そんなことを言われても彼女は気にしない。
取り敢えず入る。人間が取り寄せた物を踏みつけ、その上に横になる。
そしてご満悦なドヤ顔を見せ付けてくる。
末猫の下敷きにされた品物を取り出そうとすれば「わたしの箱に何をするの?」と非難めいた視線を向けてくる。
「貴女の箱には手を出しません、わたしは購入した品物が取り出したいのです」と説明しても末猫は「キャアアァア!」と反論してくる。聞く耳などありはしない。
たぶん、人間にとっての主体である「品物」は彼女の中では「箱の付属物」なのだろう。
そして、どんな大きさの箱でも彼女は気にしない。何故ならば全ての箱は自分のものだと思っているから。
例え、明らかに自分の身体より小さい箱であっても。
「ねえ…それたぶん無理だよ…。」
近くで見ていてそう声を掛けたことは一度や二度ではない。
それでも彼女は挑戦する。そして箱は無惨にもバラバラに破れることになる。
そのチャレンジ精神については見習いたいものがある。
破壊された元・箱の中でご満悦で仰向けになり踏ん反り返る末猫の姿は、「お前は一体何処の組織のボスなのだ」と呟きたくなるほど堂々としている。
そんな彼女、最近とうとう段ボール箱だけではなくお菓子の空き缶に手を出し始めた。
急に暑くなったので、缶の冷やっこさが心地良かったのだろう。
彼女は自身の身体の半分以下の幅と足先までしか入らない深さの缶の中に入ろうと必死になっていた。
しかし段ボールよりも缶の方が強い。当然金属の形は変わらない。どんなに頑張っても身体も頭も入らない。
末猫は一所懸命に考えたに違いない。
その結果、ほっくりほっくりと缶を掘ろうとし始めたのである。
シャッシャッシャッシャッと末猫の爪が金属を掻く音がする。
当然猫爪よりも金属の方が強い為、缶は広がらないし深くもならない。
それでも彼女は諦めない。
シャッシャッシャッシャッシャッシャッシャッシャ…
我が家の居間は末猫が缶を掻き続ける音が延々と響き渡る空間に変貌を遂げた。我が家の新しい夏の風物詩が爆誕した瞬間だった。
我が家のニャンキーは今日も型破りな行動を取りながら、型に嵌ろうと必死である。
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