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高校野球において本格的に球数制限が導入されないのはなぜか?

毎年夏に開催される『全国高等学校野球選手権大会』。

私も幼い頃に野球をしていたことから毎年気にかけており、有力校(特に大阪桐蔭高等学校)の試合は可能な限り観るようにしているのですが、私のように毎年夏の甲子園を楽しみにされているという方は多いのではないでしょうか?

もちろん甲子園大会は夏だけではなく春にも開催されているのですが、それでもやはり春の甲子園大会よりも夏の甲子園大会のほうが燃え、楽しみであるという方も少なくないのではないかと思うのですね。

そのため毎年夏に開催される甲子園大会は明らかにアマチュアスポーツの域を超え、日本中から注目を集める大会となっているのですが、この甲子園大会において毎年議題に上がるのが投手の『球数制限』なのではないかと思うのです。

2019年までは投手の『球数制限』がなかったことから春の甲子園でも夏の甲子園でもエースが連投を続け、チームを勝利に導くというケースも少なくなかったのですが、それでもこのような投手の酷使ぶりには日本中から批判の声が上がり世間からは「投手を酷使するな!」「選手の未来を潰す気か!」などというような声が上がっているというのですね。

確かに甲子園や地区予選で投手が投げ過ぎてしまいその結果肩が壊れるなどということになれば、少なくともその選手の投手としての将来は潰されることになることだと思うのですが、その一方で当の選手たちからは球数制限の導入に関して「反対」の声が上がっていると言われているのです。

==以下引用==

昨年末に高校球児に「球数制限」について話を聞く機会があった。彼らの多くは甲子園には縁がない「普通の野球部」の生徒だったが、それでも多くが「球数制限」に反対だった。

「ケガをするかもしれないけど、最後まで投げたい」

「せっかく苦しい思いをして投げたのだから燃え尽きたい」

と言った。

引用元:「1週間500球」で決まった球数制限問題の違和感

甲子園に縁がないような普通の野球部の生徒ということは甲子園に出場し、さらにその後も勝ち上がることを目指すような強豪校の生徒ではないということなのでしょう。

しかしそのような選手たちに対して聞いてみても球数制限には反対であるというのであれば、これが甲子園でさらに勝ち上がることを目指すような強豪校となればなおさら甲子園に対する思いが強いことから「投げたい!」と主張する選手が増えることになるのではないでしょうか?(もちろん強豪校の選手の場合はその先のプロや大学野球も見据えているケースも多いことから逆に投げたくないと主張する選手もいるとは思うのですが‥‥)

またこのように球数制限に反対しているのは決して選手たちだけではなく、やはり現場の高校野球の監督たちの多くも球数制限には反対しているというのですね。

==以下引用==

また、いくつかのメディアが実施した高校野球監督へのアンケートでも大半が「球数制限に反対」の意向を示した。その理由として「数字の根拠がない」「子供たちの思いどおりにさせてやりたい」などが並んでいた。

引用元:「1週間500球」で決まった球数制限問題の違和感

確かに毎年のように議題に上がっている球数制限なのですが、それでも過去に甲子園に出場したような投手が実際に肩を壊した、肘を壊したなどという報道はあまりなく、現時点では投手の投げ過ぎ問題に関しては『杞憂』と言うこともできるのではないかと思います。

しかしこの後見ていくのですが日本以外の国、韓国やアメリカなどでは高校生が投げてもいい球数は厳密に定められているようで、日本と比べると高校生が投げることができる球数は非常に少ないことが分かるのですね。

そのような経緯から考えるに個人的には球数制限に反対する選手や現場の監督たちの気持ちも分かる一方で、世界と日本を比べたうえで日本の高校野球の投手の酷使ぶりを批判する方々の気持ちも非常によく分かるのです。

そのためこのテーマに関しては結局これといった結論は出ないことになるとは思うのですが、それでも可能な限り様々な側面から見ていこうと思うため、皆さんもぜひこのまま読み進めてみてください^^

2019年11月29日に導入が決定した『球数制限』

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これまで高校野球界には明確な『球数制限』はなかったのですが、ついに2019年11月29日に「1週間に500球まで」という球数制限が定められたというのですね。

ちなみに球数制限以外にも「同大会で3連戦を回避する日程を調整する」などというルールも定められたというのですが、それでもこの「1週間に500球まで」という球数制限に関しては「実質的な投げ放題」という声も上がっているというのです。

実際に2014年から2019年の夏の甲子園大会でこの「1週間で500球」という基準を超えたのは、2018年の夏の甲子園で準優勝を果たした『金足農業高校』の吉田輝星投手のみとなっているということから、いかに1週間に500球までという基準が甘いものであるのかということは素人でもよく分かるのではないでしょうか?

ちなみに2019年の夏の甲子園で準優勝を果たし、その後ドラフト1位でプロ野球へと進んだ星稜高校の奥川恭伸投手も大会を通じては512球を投げたものの、最後の1週間に限定して考えると379球となっているというのですね(奥川投手は準決勝では投げていません)。

そのためこの「1週間に500球まで」という基準は実際にはほとんどの投手が引っかからないものであると思われることから、この制度を導入したところで本当の意味で球数が制限される投手はほとんどいないということになるのです。

そのような経緯から考えるにこの「1週間で500球まで」という基準がいかに甘いものであるのかということがよく分かるのではないかと思うのですが、それでは一体なぜこのような「1週間で500球まで」という基準が設定されたのでしょうか?

実はその理由は2003年に発表された『青少年の野球障害に対する提言』が目安となっていると言われており、同提言では高校生の全力投球に関して「1日100球、週で500球を超えないこと」というふうに記されているというのですね。

しかし当然ながらその内容としては試合前のブルペンでの投球数なども本来含まれているものであることから、決して「試合のみ」に限られた話ではないことでしょう。

さらに当然ながらその前半部分には「1日に100球まで」という基準も記されているのですが、この部分に関しては完全に無視されており現状の甲子園大会にそう大きく影響が出ないような「週に500球を超えないこと」という部分のみが目安にされているということなのですね。

まぁこのように『球数制限』とは言われているものの、野球関係者からは「実質的な投げ放題」「現状追認」などという声が上がっており、元ジャイアンツのエースであり高校時代にはPL学園のエースとして活躍した桑田真澄投手からも「小手先の改革。やらないほうがいいんじゃないかと思うくらい」という厳しい声が上がっているというのですね。

このように『球数制限』を導入したとは言え実際にはまったく球数を制限するつもりがないという高野連の思惑が分かるような気がするのですが、実は高校野球の現場からはこのガバガバな球数制限に対しても“逆向きの”批判の声が上がっていると言われているのですね。

==以下引用==

一方で、高校野球の現場からは大甘の「1週間500球以内」でさえも猛反対する声が大きかった。

9月21日の第3回有識者会議の前に開かれた都道府県高野連理事長との意見交換会では「球数制限」の導入に反対する声が相次いだ。

引用元:「1週間500球」で決まった球数制限問題の違和感

多くの野球関係者から「意味がない」と言われている球数制限なのですが、それでも実際には高校野球の現場からはこのガバガバな球数制限に対しても導入反対の声が上がっているというのですね。

いかに高校野球の現場が球数制限に否定的なのかが分かるような気がするのですが、それでも『球数制限』と題しながらも「1週間で500球まで」という大甘な基準を取り入れた高野連も結局考えていることは同じなのではないかと思うのです。

まぁこのように野球関係者の間では厳しい球数制限を導入してほしいという声と、球数制限は絶対に導入してほしくないという声が同時に上がっており、そのような経緯から以前から球数制限の導入が訴えられていたにもかかわらず、ずっと先延ばしになってきたのではないかと思うのですが、それでは一体日本以外の国ではどのような取り組みをしているのでしょうか?

次章では日本以外の国の高校野球の球数制限について見ていきたいと思います^^

日本以外の高校野球

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それではここからは日本以外の高校野球の球数制限について見ていきたいと思うのですが、まずは野球大国であるアメリカから見ていきたいと思います^^

アメリカでは球数は厳密に規定されていることからすでにご存知という方も多いかもしれないのですが、アメリカでは『Pitch Smart(ピッチスマート)』という各年代における球数制限のガイドラインが出されているというのですね。

そのガイドラインでは「〇歳から〇歳は1日に〇〇球まで投げてもよく、さらに登板間隔は〇〇球につき中〇日」というように厳密に1日に投げてもいい球数や登板間隔が規定されているのですが、高校生となる17歳から18歳においては1日に投げてもいい球数は105球となっているというのです。

さらに13歳から16歳までは投げてもいい球数は1日に95球となっているということから、高校1年生の段階ではさらに少ないということになるのですね。

また球数によって登板間隔も変わってくるようで、17歳から18歳の場合は81球以上投げたのであれば次の登板まで中4日(5日後)、61球から80球の場合は中3日空けなければならないなどというふうに決められているというのですが、このようにして見ると非常に厳格に定められているということが分かるのではないでしょうか?

先ほど2018年の夏の甲子園では吉田輝星投手は1週間で500球以上もの球数を投げたということについて見ていったのですが、これはアメリカではとても考えることができない球数であり、アメリカではどう頑張っても1週間で投げ込むことができる最大の球数は210球となっているということなのです。

そのような経緯から考えるに日本の野球識者が球数制限を訴える理由もよく分かるような気がするのですが、海外の事情にそれほど詳しくなく高校野球は日本の甲子園しか興味がないという方からすれば非常に驚きの話だったかもしれません。

また現時点(2020年8月)で調べてみたところドミニカ共和国では『球数制限』という概念はないということだったのですが、それでもドミニカ共和国の野球選手たちはリーグ戦が中心であり、さらに選手の多くもメジャー傘下のアカデミーに行くことを目標にしていることから決して多くの球数を投げることはないというのですね。

ドミニカ共和国の選手たちは明確な球数制限はないものの指導者の場合は「大会で優勝した!」ということよりも「いい選手を育てた!」ということのほうが評価に繋がりやすく、さらに選手の場合も特定の大会で優勝を狙うというよりはMLBの球団とマイナー契約を結んでもらうことを目標にしていることから、ドミニカ共和国では17歳、18歳くらいの年代の選手は一度に80球程度しか投げないというのです。

明確な規定がない以上は登板間隔に関してはよく分からないのですが、それでもドミニカ共和国の場合は選手たちはプロの選手になることが目標であり、さらに指導者たちも「いい選手を育てた」という評価が欲しいことから自然と未来志向になっていくというのですね。

そのためドミニカ共和国でもまた決して投手が過剰な球数を投げることはなく、投手の肩が非常に大切にされているというのです。

それでは最後に韓国の高校野球の『球数制限』について見ていきたいと思うのですが、韓国の場合も球数制限は非常に厳密に規定されているようで投手が75球以上を投げた際には強制的に中4日休まなければならず、さらに1試合における上限が105球となっており、試合中に球数が105球に達するとカウント関係なく投手は絶対に交代になるというのですね^^;

これまた日本では考えられないほどの厳密なルールとなっているのですが、それでも韓国では過去に投手を酷使した指導者がその親から「国家人権委員会」に訴えられる騒ぎも起こったことがあるということなので、やはり相当厳密に規定しておきたいのでしょう(-_-;)

そしてこのように日本以外の国では非常に厳密に球数制限が規定されているのですが、それでも私が思うには今後日本でこのような球数制限が導入される可能性は非常に低いのではないかと考えているのですね。

なぜなら日本と日本以外の国では明らかに野球に対する姿勢が違い、日本以外の国では“プロ野球選手になるために”野球をしているからなのです(-_-;)

甲子園のために野球をするか、プロになるために野球をするか

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ここまで日本で球数制限が導入されてこなかったこと、また2019年11月には一応導入されたもののその内容は大甘な規定であったこと、日本以外の国の高校球児に関しては厳密な球数制限がされていることについて見ていったのですが、私が思うにこのような日本とそれ以外の国の最大の違いは「プロになるために野球をやっているか否か」ということなのではないかと思うのですね。

基本的に日本の高校野球というのは夏にその年の3年生にとっては集大成となる大きな大会(甲子園大会)が用意されており、そしてその大会に向けて多くの高校球児たちが努力をしているということなのですが、とりあえず高校球児にとっての1つの区切りとなるのがこの甲子園大会なのではないかと思うのです。

しかしその一方で例えば先ほど見ていったドミニカ共和国の高校野球事情に関しては主にリーグ戦が採用されており、さらに選手たちにとっての指導者にとっての最も大きな目標は「メジャーリーガーになること(すること)」なのではないかと思うのですね。

また韓国に関して言うと、実は韓国は非常に高校野球人口が少なく2019年の段階で日本の高校球児は全学年合わせて143,867人だったのに対し、韓国はたったの2,984人しかいないというのです。

さらに日本と韓国では野球部がある学校の数もまったく違い、日本は4,000校近く野球部のある高校があるにもかかわらず韓国の場合はたった80校程度しかないというのですね。

日本人の感覚からすると非常に違和感のある話となっているのですが、それでもこのような違いの最大の原因はやはり「プロになるためにやっているかどうか」ということなのではないかと個人的には思うのです。

実は韓国の高校球児たちの多くは日本のように『甲子園』というような目標があって野球をするのではなく、「プロ野球選手になる」ということが最大の目標となっておりそのために野球をしているというのですね。

==以下引用==

日本では多くは、本格的な野球は高校までで、プロはもちろん、大学や社会人まで続ける選手は、全体から見ればごく一部だが、韓国では、ほぼ全員がプロ野球を目指している。

李氏: 一番の問題はそこだと思います。韓国の高校の野球は、親の金で運営しているわけです。監督やその下にコーチが5,6人いますが、その給料も親が払っています。学校によっては、同窓会や学校が30~40%くらい負担しているけれども、それ以外は全部親が負担しています。親としては、息子をプロ野球選手にさせたいと思っているわけです。

引用元:第41回 「プロ野球第一」「大学進学のための全国大会」日本とは似て非なる韓国の高校野球事情

この引用記事を読めばいかに日本と韓国の高校野球における姿勢が違うのかがよく分かるのではないでしょうか?

日本は当然ながら高校の野球部に関しては高校側が運営しているのですが、その一方で韓国に関しては親がどうしても「子供をプロにさせたい!」というふうに思うことから、親がお金を払ってそのお金で監督やコーチを雇っているということなのですね。

そしてここまでして韓国の高校球児の親は自分の息子をプロ野球選手にさせたというふうに考えているということなのですが、このような状況であれば当然ながらアマチュアの段階で肩を酷使して投げさせるわけがないのではないかと思うのです。

高校球児の親たちは身銭を切ってまで自らの息子をプロ野球選手にしたいというふうに考えていることから、アマチュアの段階で自らの息子が投げ過ぎで肩を壊してしまえば当然ながら夢が潰えてしまうわけなのですね。

先ほど韓国では投手を酷使した一部の指導者が親から訴えられる騒ぎになったということについて見ていったのですが、この件に関して皆さんのなかには「何もそこまで‥‥」というふうに思われた方もいるのではないでしょうか?

しかしその背景を知ると韓国の高校球児の親たちの気持ちも分かり、さらに韓国で厳密な球数制限が施されている理由もよく分かるのではないかと思うのですね。

またアメリカでも基本的にはリーグ戦が中心となっており、トーナメント制の大会も日本のように国全体の規模のものはなく最大でも州大会までとなっているというのですが、個人的にはアメリカは韓国ほどに選手たちがプロになることを望んでいるというようには思えませんでした。

とは言え私はアメリカに行ったこともなければアメリカの部活動にもそれほど詳しくないことから正確なことは分からないのですが、それでも仮に今後日本の高校野球界において本格的な『球数制限』を導入しようとすればそれは大きな改革が必要となるのではないでしょうか?

私が思うに本格的な『球数制限』を導入するためにまず最初に変えなければならないのは『部活動の概念であると考えており、そもそも高校球児に限らず日本の高校生の多くは誰もが何らかの部活動に所属していると思うのですが、大抵の場合その多くは『プロ』になることなどは目指していないのではないかと思うのですね。

私が思うにこれは大抵の部活動において同様のことが言え、日本の高校の場合は多くの高校生が何らかの部活動に所属しているもののそれは「プロになるため」ではなく「学生時代の間だけ」と割り切っているケースも少なくないのではないかと思うのです。

それでは現時点で部活動に所属している学生たちは何を目標に努力をしているのかということなのですが、私が思うにそれが『集大成となる最後の大会』なのではないかと思うのですね。

高校野球で言えば『甲子園』となるのですが、日本の高校の場合はこのような高校3年間の集大成となるような大きな大会を最後に用意し、その大会にレギュラーとして出場すること、その大会で勝ち上がることなどを目標に努力をすることになるのではないかと思うのです。

これは日本のスポーツにおいては大抵の場合同様のことが言えるのではないかと個人的には考えており、例えば中学生の部活動や小・中学生の硬式野球クラブなどの多くもこのように最後に集大成となる大きな大会が用意されており、その大会でいい成績を残すことを目標に日々努力をしているのではないかと思うのですね。

そしてこれは当然ながら高校野球においても同様のことが言えることだと思うのですが、大事なのは日本の高校球児たちにとっては『甲子園』が大きな目標となっており、その大半はプロになるために野球をしているわけではないということなのです。

そのため韓国やドミニカ共和国などの“プロになるために野球をしているという国と日本ではその姿勢に大きな違いが出るのは当たり前のことであり、日本の高校野球の現場では甲子園で勝ち進むことが最大の目標となっている以上ある意味『球数制限』の導入に関して否定的な声が上がるのも当然のことなのではないかと思うのですね。

当然ながら韓国やアメリカのような球数制限を日本の高校野球が導入すれば、そもそも地方大会でも甲子園でも勝ち進めばどこかのタイミングで投手の数が足りなくなるでしょうし(75球以上投げたら中3日空けなければならないなどということになれば勝ち進めば大会中に投げることのできる投手がいなくなってしまうのは当然のことでしょう)、そもそも当の選手たちも甲子園が最大の目標となっていることを考えると多くの高校生たちは投げたがるに決まっているのではないでしょうか?

実際に2006年の夏の甲子園大会で強豪・駒大苫小牧高校を打ち破り優勝した早稲田実業高校のエースであった斎藤佑樹投手も同大会では948球もの球数を投げているのですが、それでも彼はプロになってからも当時に関して「投げさせてもらったという気持ちが強い」というふうに語っているのですね。

そして今の野球界を支える多くの野球識者の方々は高校球児の肩を壊さないようにと球数制限の必要性を強く訴えているのですが、それでも私が思うには当の本人たちはむしろ「投げたい」というふうに思っているのではないかと思うのです。

そもそも球数制限が必要になってくるメインの選手は決して全員ではなくその後プロや大学で野球を続けるであろうと思われる選手たちだと思われることから、「野球は高校まで」というふうに決めている選手たちからすれば球数制限は導入してほしくないと思うのはある意味当たり前のことなのではないかと思うのですね。

そして多くの野球識者と現場の関係者で球数制限に対する姿勢がまったく違う理由はやはり「甲子園で勝つことが最大の目標となっているか否か」なのではないかと思うのです。

そもそも硬式野球部を含め日本の部活動の多くは決して『プロ養成機関』ではないことから、多くの学生たちは最後の集大成となる大きな大会で好成績を残すことを目標に努力をすることになるのではないかと思うのです。

そのため日本の部活動の多くではアメリカの高校野球のような『リーグ制』が導入されているわけではなく、最後に集大成となる大きな大会が用意されており、部活動に所属する学生の多くはそこでいい成績を残すことを目標に日々練習しているのではないかと思うのですね。

そしてこのような姿勢と選手のその後を考えて球数制限を導入しようとする考え方が合致する可能性は低く、やはり選手たちの多くは「最後の大会でいい成績を残すことができれば、肩が壊れてもいい」というふうに考えることになるのではないかと思うのです。

実際にアメリカや韓国と比べればガバガバな球数制限が日本の高校野球の多く現場から否定的に見られていることを考えても、やはり『甲子園』という大会がある限りは本当の意味で厳密な球数制限を導入するのは無理があるのではないかと思うのですね。

そして本当の意味で球数制限を導入するためにはこれまでのような「最後の大会で勝ち上がることが目標」というスタンスから、「野球選手として成長することが目標」という姿勢に切り替えることになるのではないかと思うのです。

しかし仮に本当に高校野球の姿勢をそのようなものにするというのであれば、高校でも野球をするのは最終的にはプロになりたいと思っている選手や本当に上手な選手たちに限られ、「野球は高校まで」というような学生たちは野球をやらないという風潮が生まれることになるのではないかと思うのですね(あくまで個人的な予想です)。

そしてそれに伴って当然厳密な球数制限を導入するうえでは甲子園大会のような優勝するまで何連戦もしなければならないような大会は廃止にし、リーグ戦を中心にしなければならないのではないかと思うのです。

しかし個人的には現代の野球人気を最も支えているのは間違いなく『甲子園大会』であると考えていることから、甲子園大会がなくなってしまえば野球の人気は一気に落ちることになるのではないかと思うのですが、多くの識者はこの点についてはどう考えているのでしょうか?

仮に日本の高校野球から甲子園をなくし、リーグ戦を中心にすれば野球をする学生も激減すると思いますし、何より甲子園大会がなくなることから野球に興味を持つ子供たちが一気に減ることになるのではないかと思うのですね。

とは言えアメリカや韓国のような厳密な球数制限を導入しようと思えばどう考えても今後はトーナメント方式よりもリーグ戦のほうがメインとなってくると思うことから、やはり厳密な球数制限を導入しようと思えば甲子園大会は廃止にするしかないのではないでしょうか?

しかし仮に高校野球から甲子園大会を廃止にすれば、それは日本の部活動のあり方そのものから大きく外れることになるのではないかと思うのですね(-_-;)

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