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楽器の展示だけじゃない!「国立民族学博物館」ってどんなところ?

先月の記事では、浜松市にある楽器博物館を紹介しました。
今月は、浜松市楽器博物館と同様に、色々な国の楽器を展示している「国立民族学博物館(みんぱく)」を紹介いたします!



国立民族学博物館(みんぱく)とは

国立民族学博物館(みんぱく)世界の諸民族の社会と文化に関する博物館です。
1977年に大阪の万博公園内に開館しました。


国立民族学博物館(みんぱく)は、文化人類学・民族学に関する調査・研究をおこない、その成果に基づいて世界の諸民族の社会と文化に関する情報を人々に提供し、諸民族についての認識と理解を深めることを目的として、1974(昭和49)年に創設され、1977(昭和52)年11月に開館しました。

国立民族学博物館、通称みんぱくは、世界各地から集めた34万5千点の資料を収蔵しているようです。
この所蔵量は、20世紀後半以降に築かれた民族学関係の資料としては世界最大の規模だそうです。


みんぱくの研究機関としての側面

みんぱくは、博物館ですが、文化人類学・民族学の研究センターでもあります
2020年現在、50人以上の研究者が所属しており、調査研究を行っているようです。

[HP > 研究 より]
"本館は博物館をもった研究所です。文化人類学・民族学を核とする隣接諸分野の研究をおこない、研究者コミュニティーや社会一般への情報提供と研究広報をおこなっています。"

[HP > 館長挨拶]
"大学共同利用機関として1974年に創設され"た。

その研究成果を報告するために、論文や書籍、解説書の出版もしております。
その出版物の例として、次の4つをご紹介します。
(研究論文、「月刊みんぱく」、書籍、企画展の解説書)


1) 研究論文
研究機関ですから当然のことですが、研究論文や研究雑誌を出しています。その数も多いようですね。
(HP / 論文を読むなら「みんぱくリポジトリ」)


2) 「月刊みんぱく」
一般向けには「月刊みんぱく」という雑誌を出版しており、そのバックナンバーはWeb上で閲覧することができます!(こちらより)

例えば、アイヌ文化についての解説記事や、ラグビーから文化を視る記事、はたまた、いろいろなの作品や「悪魔の化身としての猫」とかが扱われる記事が掲載されております。
(とても多様なテーマで、面白いです)

2020年9月号   特集 ウポポイでアイヌ文化を魅せる (第44巻第9号)
2019年11月号 特集 ラグビーという文化 (第43巻第11号)
2018年1月号   特集 ねこ 猫 ネコ (第42巻第1号)


3) 書籍
また、書籍の刊行も行っております。
1年に10冊以上も出版に携わっていることからも、大きな研究組織であることも分かります。
例えば、宗教性を扱ったり、食文化の事典を出したりしているようです。

[HP > 館外での出版物 より抜粋]

長谷千代子・別所裕介・川口幸大・藤本透子(編)『宗教性の人類学―近代の果てに、人は何を願うのか』2021年、臨川書店。
野林厚志(編集委員長)『世界の食文化百科事典』2021年、丸善出版。
出口正之/藤井秀樹(編著)『会計学と人類学のトランスフォーマティブ研究』2021年、清水弘文堂書房。


4) 企画展の解説書
その他にも、企画展の解説書ももちろん作成しております。
一番ピンときやすいものといえばこれかもしれませんね。
(HP > 企画展の解説書 より)


『水の器――手のひらから地球まで』

これは、2010年に行われた、生命の根源「水」にまつわる企画展の解説書です。
(企画展の案内はこちらです)

企画展チラシ2

(企画展チラシ)


『インド ポピュラー・アートの世界――近代西欧との出会いと展開』

こちらは、その名の通り、インドのポピュラー・アートに関する企画展の解説書です。2011年に行われた企画展です。
(企画展の案内はこちら)

企画展チラシ

企画展チラシ


大学院
出版物から話を変えましょう。
実は研究機関としてのみんぱくには大学院も設置されているとのことです。

・総合研究大学院大学の文化科学研究科 地域文化学専攻 (博士課程)
・総合研究大学院大学の文化科学研究科 比較文化学専攻 (博士課程)



図書館
みんぱくには図書館もあります。
多くの資料は誰でも閲覧することができるようです。
また、18歳以上の方は、多くの一般図書や音響資料は、2週間の貸出が可能だそうです。ありがたいですね。

利用案内はこちら
資料検索はこちら (簡易OPACはこちら)

[HP > 図書室とは]
みんぱく図書室は、国立民族学博物館内にある専門書の図書室です。文化人類学・民族学のさまざまな研究テーマに関連した図書・雑誌・マイクロ資料など、約67万冊におよぶ資料を所蔵しており、国内における文化人類学・民族学の大学や研究機関の中でも、有数の規模の蔵書を誇っています。

貴重図書などの一部を除き、どなたでもご利用いただけます。 18歳以上の方は、図書の貸出も可能です。



みんぱくの常設展

常設展では、世界各国の楽器と、世界各国の民族文化の営みを観ることができます。

常設展会場のエリア構成は以下のようになっております。

地域展示
…地域ごとに、世界の民族文化を観る。特徴は、人類の営みの豊かな多様性を示す点と、衣食住などの生活用品と楽器を中心とした展示になっている点だそう。
・オセアニア展示
・アメリカ展示
・ヨーロッパ展示
・アフリカ展示
・西アジア展示
・南アジア展示
・東南アジア展示
・東アジア展示・朝鮮半島の文化
・東アジア展示・中国地域の文化
・中央・北アジア展示
・東アジア展示・アイヌの文化
・東アジア展示・日本の文化

通文化展示
特定のジャンルから、世界の民族文化を観る
・音楽展示
・言語展示


みんぱくの企画展

みんぱくの企画展は、「特別展」と「企画展」とに分けられているようです。
これは、館内の「特別展示館」で開催されるか「企画展示場」で開催されるかで異なるようです。

企画展
以下の過去の企画に加え (先述の解説書の項目でご紹介したもの)、

企画展「水の器-手のひらから地球まで」
企画展「インド ポピュラー・アートの世界~近代西欧の出会いと展開」

以下の開催予定のものがあります。

[展示 > 躍動するインド世界の布] (2021年6月9日現在)

「躍動するインド世界の布」
会期:2020年10月28日(木)~2022年1月25日(火)

詳細は、随時本ホームページにてお知らせいたします。


特別展
以下の過去の開催のものに加え、

特別展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」
特別展「先住民の宝」

以下の開催予定のものがあります。

[展示 > 特別展示 > ユニバーサル・ミュージアム] (2021年6月9日現在)

「ユニバーサル・ミュージアム ―― さわる!“触”の大博覧会」
会期:2021年09月02日〜2021年11月30日

さわって体感できるアート作品が大集合!本展では「歴史にさわる」「風景にさわる」「音にさわる」などのテーマのもと、さまざまな素材と手法を用いて、”触”の可能性を追求します。展示場に足を運び、手を動かす。来館者一人一人の身体から「ユニバーサル・ミュージアム(誰もが楽しめる博物館)」が始まります。


[展示 > 特別展示 > ユニバーサル・ミュージアム] (2021年6月9日現在)

「homō loquēns 「しゃべるヒト」~ことばの不思議を科学する~」
会期:2022年9月1日(木)~11月23日(水・祝)

詳細は、随時本ホームページにてお知らせいたします。


「特別展や企画展を観たい!」という方は、ぜひHP(こちら)をチェックしてみてください。


みんぱくのバーチャルミュージアム

2021年6月6日現在、「緊急事態宣言」の影響で臨時休館しているようです。

[新着情報 > 展示の観覧についてのお知らせ(5/31更新)]
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の発出を受け、4月25日から当面の間、臨時休館しております。


「どうしても今観てみたい!」という方には、「バーチャルミュージアム」こと、「みんぱく展示場パノラマムービー」をおすすめします!

[HP > バーチャルミュージアム]
本館展示場をパノラマムービーでくまなく撮影したもので、パソコンのモニター上で各展示場の様子をさまざまな角度から見ることができます。

これは、前回の記事で紹介した「バーチャル浜松市楽器博物館」と同様のものです。
Google Street Viewのように、行きたい方向に移動したり拡大縮小したり回転させたりしながら、みんぱくの常設展を観ることができます。

(移動と回転の際は、画面上の矢印をクリックするのをおすすめします。
移動は矢印のみで可能です。
回転したい場合は矢印ではないところをドラッグしても動くけれど、その場合は矢印クリックよりも若干操作性が落ちる印象です。)


おわりに

今回の記事では、国立民族学博物館、通称みんぱくについて述べてきました。

研究機関としては、大学院や図書館も併設されており、研究者も多く、出版量も多いという点で、とてもの優れた側面をもっているようでした。

また、博物館としても、常設展、企画展ともに、興味深いものが多いです。とくに民族楽器を各民族の文化の展示の中で観ることができることは、とても面白いと感じられます。

ぜひ、来館してみてください!

(トップ画像は、Wikipedia「国立民族学博物館」より引用いたしました。)

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