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あなたは何問解けるかな??―芸術にまつわる人物の生没年クイズ!

【記事は無料、年表だけ有料】この記事では、Twitterアカウント(LUCA@catcatus)で行った新春企画にて、芸術にまつわる人物の生没年クイズを一挙にまとめます。
問題と解説に分かれています。問題を解いて答え合わせをしても、最初から解説を読んでも、お好きなようにお読みください!


問題

1. ゲオルク・ヘンデル(1685生)と同年に生まれた、有名な作曲家は誰と誰?

2. ゲオルク・ヘンデル《メサイア》が初演された1742年、日本・江戸では徳川吉宗がある法典を制定したよ。それは何?

3. 1865年に生まれたヘンデル、バッハ、スカルラッティの3人と、徳川吉宗は年が近いけど、何歳差でしょうか?また、どっちが年上でどっちが年下?

4. バッハが亡くなった年(1750年・享年65歳)に生まれた、イタリア出身の作曲家は誰?

5. 映画『アマデウス』に登場するアマデウスこと、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと、サリエリは何歳差でしょうか?

6. モーツァルトが亡くなった年(1791年・享年35歳)に生まれた、オーストリアの作曲家は誰?

7. ツェルニーの30番練習曲がパリで出版された1856年に生まれた、オーストリアの精神科医は誰?

8: フロイトの精神分析理論に影響を受け、ある芸術運動が起こったよ。それは何?

9: シュルレアリスムの代表的画家である、ダリ、マグリット、エルンストの3人の中で、スペイン生まれは誰でしょう?

10: ダリがフロイトの著作を読んだ1927年に生まれた、日本でも有名な指揮者は誰?


解説

Q1.  ゲオルク・ヘンデル(1685生)と同年に生まれた、有名な作曲家は誰と誰?

画像1

(Wikipedia: 「ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」)


ヘンデルと同じ年に生まれたのは、「ヨハン・セバスティアン・バッハ」

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(Wikipedia: 「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ」)


「ドメニコ・スカルラッティ」

ドメニコ・スカルラッティ

(Wikipedis: 「ドメニコ・スカルラッティ」)


後期バロックの3巨匠であるバッハ、ヘンデル、スカルラッティが同年に生まれているってこと!


そしてヘンデルの代表曲の一つ、オラトリオ《メサイア》は1742年に初演された。
この時ヘンデルは57歳だね。



Q2. ゲオルク・ヘンデル《メサイア》が初演された1742年、日本・江戸では徳川吉宗がある法典を制定したよ。それは何?

(youtube: ヘンデル《メサイア》)


A: ゲオルク・ヘンデル《メサイア》が初演された1742年、日本・江戸は寛保2年。この年、8代将軍の徳川吉宗が「公事方御定書」を制定したよ。

これ以前には、その時々に応じて、「こうしなさい」と命じたり、「こうしてはいけません」と禁止したりする法令が触書(ふれがき)によって出されていたんだって。

1742年に、「公事方御定書」が制定され、施行されたことにより、法律として漏れや歪みのないように、「してはいけないこと」が明文化され、それに対する刑罰も定められたとのこと。

(そうとは言え、1742年の施行と同時に、法文の増補と修正がなされ、1752年まで、5回にわたる増補修正が実施されたって!
そりゃ一度で問題なく完全に作るのって難しいよね…。)

(詳しく知りたい方には、國學院大學の記事「暴れん坊将軍の作った法律はこんなに画期的だった!」をおすすめします!)


そんな1742年に、ヘンデルの《メサイア》が初演されていたとは…。


Q3. 1865年に生まれたヘンデル、バッハ、スカルラッティの3人と、徳川吉宗は年が近いけど、何歳差でしょうか?また、どっちが年上でどっちが年下?


8代将軍_徳川吉宗

(Wikipedia: 「徳川吉宗」)


A: ヘンデル、バッハ、スカルラッティは、徳川吉宗の「1歳年下」

1685年に、ヘンデル、バッハ、スカルラッティが生まれ、
1684年に、徳川吉宗が生まれた。

でも亡くなったのは早い順に、
・バッハ(享年65)、
・徳川吉宗(享年67)、
・スカルラッティ(享年72)、
・ヘンデル(享年74)、
だよ。



Q4. バッハが亡くなった年(1750年・享年65歳)に生まれたイタリア出身の作曲家は誰?


A: バッハが亡くなった1750年に生まれたのは、「アントニオ・サリエリ」だよ!

アントニオ・サリエリ

(Wikipedia: 「アントニオ・サリエリ」)


サリエリはイタリア出身で、イタリアオペラの作曲家として名声を得た。
生前は、オーストリア皇帝に使える宮廷楽長して大活躍したよ。

映画『アマデウス』のメインキャラクターのひとり(ちょっと嫌な役)となったことでも有名だね。
この映画は、1984年度のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞を含む8部門を受賞したことでも有名だね。

(映画.comの『アマデウス』の作品情報ページはこちら)


Q5. 映画『アマデウス』に登場するアマデウスこと、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと、サリエリは何歳差でしょうか?


画像6

(Wikipedia: 「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」)

A: サリエリとモーツァルトは「6歳差」でした!

サリエリは1750年に生まれ、その6年後の1756年にモーツァルトが生まれた。

モーツァルトは若くして亡くなったことが知られていると思うけど、
享年は35歳、1791年の時だよ。(早すぎるよね…。)

モーツァルトの死因は多くの説が立てられており謎に包まれていることは比較的知られているけれど、実は、モーツァルトのお墓もいまだ謎なんだって。
ウィーン郊外にあるザンクト・マルクス共同墓地に葬られたことはわかっているけれど、その共同墓地のどのお墓がモーツァルトのものかはわかっていないみたい…。
モーツァルトが埋葬されたかもと推測される場所に『嘆きの天使像』が立てられているんだって



Q6. モーツァルトが亡くなった年(1791年・享年35歳)に生まれた、オーストリアの作曲家は誰?


カール・ツェルニー

(Wikipedia: 「カール・ツェルニー」)


A: モーツァルトが亡くなった1791年に生まれたオーストリアの作曲家は
「カール・ツェルニー」


ツェルニーといえば、現在では、ピアノを習った多くの人が弾かされる練習曲集で有名
ツェルニー30番、ツェルニー40番、などと呼ばれる、あれですね(笑)

ツェルニーは1000曲以上も曲を作っており、通し番号としての作品番号がついているだけでも861の作品がある。(めっちゃ多作家!)
実は、ツェルニーの「作品の全体を捉える試みは幾度か成されたが、その道のりはあまりに険しく完全な作品目録は未だに完成を見ない」らしいよ!

ツェルニーについての概略は、ピティナ・ピアノ曲事典のツェルニーのページ(こちら)をお勧めするよ!…かなりの文章量だけど


さて、ツェルニーの練習曲に話を戻します。

そのうちのツェルニー30番は、原題は《30のメカニズムのエチュード》
この曲は、作品番号849番でツェルニーの後期の作品
この練習曲集の初版はウィーンらしいけど、それが何年かはまだ明らかになっていないんだって。パリでの出版は1856年、ツェルニーが亡くなる1年前だって。

先ほどのピティナのHPにて、「ツェルニー30番再考~パリ練習曲史の中で~」という連続企画が2015年に行われていたよ。
学者さんによる、がっつりとした読み物だけど、興味がある人はぜひ読んでみてね!(こちらから!)



Q7. ツェルニーの30番練習曲がパリで出版された1856年に生まれた、オーストリアの精神科医は誰?

ジークムント・フロイト

(Wikipedia: 「ジークムント・フロイト」)


A: ツェルニーの30番練習曲がパリで出版された1856年に生まれたオーストリアの精神科医は「ジークムント・フロイト」

フロイトは、精神分析学の創始者。有名な著作物に、『精神分析入門』(1917年)、『夢判断』(1899年)などがある。
彼の理論の信憑性には否定的な議論が多い。それでも、思想の転換点となったことや、精神分析学を創始した功績はとても大きいと言われている。

[精神分析学]
フロイトによって創始された人間のこころを研究する方法であり、その理論であり、それを治療に活かす技術でもある。
精神分析学では、人間の心が、「意識」と「無意識」の両方から成り立っていること、「無意識的な心的過程」を含めて自身を知ることが大事であること、が基本的考えみたいです。
(参考: 日本精神分析協会http://www.jpas.jp/whatis.html)


ちなみに、ツェルニーの30番練習曲がパリで出版され、ジークムント・フロイトが生まれた1856年の100年前(1756年)にモーツァルトが生まれたよ!



Q8: フロイトの精神分析理論に影響を受け、ある芸術運動が起こったよ。それは何?


A: フロイトの精神分析理論に影響を受け起こった芸術運動は「シュルレアリスム(超現実主義)」

この運動は、1924年、詩人ブルトンが『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』を出版したことにより始まったと言われているよ。


シュルレアリスムは、20世紀に起こった最大規模の運動で、
1930年代パリを中心に盛んだった。

フロイトの精神分析理論に影響を受けているだけあって、この運動では、
○無意識を表面化すること
○無意識と理性とを一致させること
○夢と現実の矛盾した状態を表現すること
などが目指されたって。

[参考]
  artscape 現代美術事典「シュルレアリスム」
  Artpedia「【美術解説】シュルレアリスム「超現実主義」」


この運動の代表的画家には、ダリ、マグリット、エルンストなどがいる。



Q9: シュルレアリスムの代表的画家である、ダリ、マグリット、エルンストの3人の中で、スペイン生まれは誰でしょう?


スペイン国旗


A: スペイン生まれのシュルレアリスムの代表的画家は
「サルバドール・ダリ」

サルバドール・ダリ

(Wikipedia: 「サルバドール・ダリ」)

ダリは、1927年23歳の時に、フロイトの精神分析の著作を読んだって!

また、ダリのシュルレアリスム的思想を反映してるものとして、《記憶の固執》に描かれる「柔らかい時計」があげられるよ!


著作権的に絵の引用はよくないかなと思うので、絵をオンラインで見られるように、所蔵しているMoMAのHPのリンクを貼っておくね。


あと、日本語で読める《記憶の固執》の解説ページも。


あ、ちなみにですが、
マグリットはベルギー、エルンストはドイツ生まれ、でした。



Q10: ダリがフロイトの著作を読んだ1927年に生まれた、日本でも有名な指揮者は誰?


指揮者


A: 1927年に生まれた指揮者は「ヘルベルト・ブロムシュテット」

日本ではやはり、NHK交響楽団の桂冠名誉指揮者として知られているかな?
それ以外にも、下記のように、数々のオーケストラで指揮をしているよ。

サンフランシスコ交響楽団の音楽監督、
NHK交響楽団の名誉指揮者、デンマーク国立交響楽団の名誉指揮者、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の客演指揮、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の客演指揮、
ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の客演指揮  ... など。


NHK交響楽団の指揮者インタヴューに、ブロムシュテットの回があったので、興味がある人は読んでみて!
ベートーヴェンの交響曲第7番と第8番の魅力についても語っていて面白い!


あと、英語だけど、NAXOSにブロムシュテットの略歴が書かれたページがあったので、こちらも貼っておきます。(Google翻訳とかで読める。)


実はブロムシュテットが生まれ、ダリがフロイトの精神分析の著作を読んだ1927年は、バッハ《マタイ受難曲》の初演から200年の年だよ!


終わりに…年表を添えて

今まで、音楽と美術にまつわる人物に関連した十の問題とその解説をつらつらと書いてきました。

これらを通して、興味関心が増えたり、音楽と美術の歴史が紐づいたり、それらの時代感がくっきりしたり…と、何らかのとっかかりを提供できていれば嬉しいです。


最後に、今まで出てきた人物や出来事を年表にまとめました
年表だけは有料とさせていただきますが、今までの内容を関連して覚えるきっかけとなれば幸いです!
ご関心があれば

(ちなみに、以前の記事の『意外と知らない!! 大作曲家の家族の関わり―大作曲家の家系図をみてみよう―』で載せた年表はこれ。
こんな感じのを今回もつくりました。)

家系図年表_Bach_Morzat_Weber


今回は、そこそこ情報量が多く、つらつらと書いてきました。
最後までおよみいただき、誠にありがとうございました!!

↓↓年表(有料)↓↓

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