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ウサギになった殺し屋

第2話

潜入


午前9時35分
双眼鏡で施設を監視しながら、ハムとチーズを挟んだパンを食べるマリソン、コーヒーを飲みながら
マリソンに近づくシュワルツコフは肉眼で、施設を眺める。「どうだ、マリソン。なんかあったか?」
「いいえ、なにもないわね。あれは?」 
双眼鏡を覗いていると、トラック数台が検問を抜け、施設へ入っていく。

マリソンの隣にいたシュワルツコフは双眼鏡を奪い取り、覗き込んでニャと笑うと、双眼鏡をマリソンに返し「よし行くか。で、どうやって潜入するんだ。」「まずは、昨日用意したやつに゙着替えて、」テントから昨日説明した一式を取りだすと、「この作業着はなんだ?」「清掃業者の作業着、月に数回来てる。今日はその日なの。」「なるほど、その清掃業者になって潜入するって作戦か。」とびっきりのスマイルで
「当り、それじゃあ着替えて、そのシリコンフェイスマスクつけたら、清掃業者の車が寄り道するコンビニがあるから、早く山を降りましょう。」シリコンフェイスマスクを被るシュワルツコフ。首にIDカードをぶら下げ。黒縁メガネを作業着のポケットにしまう。ジープに乗り込むマリソンを尻目に、テントや周りの食器を片付け始める。畳んだテントとBOXに入れた食器をジープのトランクに入れ、運転席に乗り込みドアを閉める。「マリソン、シートベルトちゃんとしろよ。」ノールックの華麗な手さばきでジープは発進、舗装されていないデコボコの道をひたすら走行、車の中はトランポリン如く、2人は跳ね上がるが、それをシートベルトが抑える。

「マリソン、清掃業者が寄るコンビニまで、ここから、どれぐらいの距離なんだ。」「そうね、約5キロってところかな?」マリソンは腕時計見ると、午前9時42分を示している。「清掃業者は大体、10時にコンビニに寄るのは調査ずみだから、余裕を持って着きそうね。私眠いから少し寝るね。」マリソンは寝てしまう。こんな状況でよく寝れるなぁと感心しながらも、ジープを運転していく、デコボコ道がようやく終わり森を抜けると、目の前に現れた一本道の道路を右に横切り、走行していくこと10分後。ロードサイト゚にコンビニらしき店が見えてくる。速度を落としジープは店の前に止まると「マリソン、マリソン、起きろ。」肩を揺らすと目を擦り、起きると、「なに、もう着いた?」「あぁ、着いたよ。で?どうするんだ。」「その前に喉が渇いたから、水を買ってくるね。」ジープから降りると、シュワルツコフはジープを50メートル先の林に隠し、急いでコンビニに戻る。
自動ドアが開くと店の奥で、無愛想な亭主が新聞を広げていた。亭主を無視して迷わずドリンクコーナーに置いてあるペットボトルの水を一本手に取ると、レジに置く。「はい、2ドル」「カードは使える」
「すまないねぇ、カードは使えないんだよ。」カードしか持ってないマリソンはアタフタしていると、後ろから2ドルを出すシュワルツコフ、「ほら、」「ありがとう。」水のペットボトルを渡すと、マリソンは蓋を開けひと口水を飲み。腕時計を見ると時間は午前9時53分、あと七分で10時になる。「もうそろそろかな?清掃業者の車が来るの。」コンビニの外に出ると
1台のBAN車がコンビニの駐車場に停車すると、バン車から4人の人間が出てくると、コンビニへ吸い込まれていく。マリソンとシュワルツコフはバン車へと近づくとマリソンは運転席を覗き込むと、キーがささっていた。「ラッキー。」マリソンが運転席に乗り込む。シュワルツコフも乗り込み。「マリソン、急げ、あいつらが来るぞ。」まだ4人はコンビニで買い物をしていた。「焦らないの、いくわよ。」キーを回し、鮮やかな手つきでバン車を旋回し、ロードサイドを出ていく。シュワルツコフは助手席のサイドミラー越しに後ろを見ると、血相を変えた男達がが奇声を発して追いかけてきたが、追いつけるわけもなく、引き離され姿が見えなくなる。「あ、忘れてた。あなたの名前はアンドリューね。私はアナスタシア。いい?」「わかった。アナスタシア、」「それじゃあ、アンドリュー、行きましょう。」清掃業者のBAN車は2人を乗せて、RATの施設へと車を走らせる。

10分前の9時43分、大広間でアレックス・バーンとニコルソンと6人は歓喜の渦に包まれていた。
アレックス・バーンは長年の研究が報われたと同時にある疑問が浮かんでいた。適応出来た人間と適応出来なかった人間の違いはなんだったのかと、歓喜は一瞬で消えた。コイツラは絶対に私に歯向かうと
だからこそ、腰に装着したベルトにはちょっとした 
細工を施してある。もうすでに奴隷だとは知らず
ニコルソンはこちらを見ていた顔半分が爬虫類の顔になっていた。舌をしきりに上下に動かす。
ゆっくりと顔を侵食し、爬虫類になる。100%の爬虫類に、後ろの部下たちも完全な爬虫類へ姿を変える
キョロキョロと目を動かし、アレックス・バーンを
睨みつける。ニコルソンも睨みつけると「お前を食いたい。腹減った、食わせろ。」白衣のポケットに
忍ばせていたスイッチを押すと、ベルトから高圧電流が流れると6人の動きが止まった。まだまだ完全体じゃないな。さてどうするか?アレックス・バーンは考えていると、6人はゆっくりと立ち上がり、互いを確認している。ニコルソンは「アレックス・バーン様のお陰で私は生まれ変わりました。私はあなたに忠誠を誓います。」ニコルソンの部下6人も忠誠を誓うポーズをする、アレックスは驚いた、これほど態度が変わるのかと、まさか高圧電流で変わったのかと疑心暗鬼になっているが、攻撃の意志がないとわかると、「あぁ、わかった。ありがとう。」
アレックス・バーンの後ろにある扉が開くと、研究員が入ってくる。「大変です、大変です、アレックス研究長。」「どうした。何があった?」「ジャーナリストやTVカメラマン達がいきなりやって来て、どうしますか?」厄介な奴らが来たもんだ。あいつらを追い払わないと、数週間前に1人のジャーナリストがこの施設に侵入したネズミは、地下5階にある人体実験に使う人間を収容する施設に今もいる。
生かさず殺されずの状態で施設に収容、毎日数時間の拷問にも耐えていて名前も言わず、半ば飽きれられ放置。世間では行方不明として、警察に金を握らせて隠蔽したはずだったが、どこから嗅ぎつけてきたのか、検問所の前でジャーナリストとTVのカメラマンとクルー数人が警備員と押し問答する姿が
大画面のモニターで映し出された。
それを見ていたニコルソンは「アレックス様、あの者たちをここへ連れてきてはくれませんか?」
ニコルソンの目を見て、言いたいことはわかった。
ニコルソンから研究員に視線を向けると
「今すぐに、外にいる奴をここへ連れてこい。」
研究員は驚いた顔をし「いいのですか?中に入れて。」
「ただし、携帯電話は没収しろ。いいな。」
「わかりました。」研究員は急いで扉から出ていくと
「私は奴らの話し相手をしてくる。君たちは暫く休んでいてくれ。」踵を返すとアレックス・バーンは
扉の方へと歩いて外ヘ出る。廊下を歩いて職員専用エレベーターの前に立つ、カードキーをカードリーダーに通すと、数秒でエスカレーターが降りてくると乗り込み、地上へのボタンを押して目を瞑る。
さぁ、どうやって奴等を誘導するか、最終実験を
成功するためのモルモットになるのだから、むしろ光栄だと思ってもらわないと、こちらが困ってしまう。エレベーターが止まり扉が開く。考えるのを一旦やめ、無心で歩き出す、汚れやゴミがない廊下を歩き、玄関に辿り着くと自動ドアが開き、外に出ていくと、500メートル先の検問所にジャーナリストやTVカメラマンやクルーが警備員と揉めていた。
検問所に近づくアレックス・バーンに気付いた、1人のジャーナリストが叫ぶ「すみません、あなたはアレックス・バーンですか?あなたに質問をさせてください。」髪やスーツが乱れながらも、名前を連呼するまだ
20代前半の若者を見た、アレックス・バーンは
警備員に追放するように命令をする。これから起きることを知っているアレックス・バーンの最後の情けでもあった。若者を追放して、他のジャーナリストやTVカメラマンとクルーを中へいれるように警備員へ言うと、警備員は何故というような顔で渋々
検問所を通すと、「おまたせしました。まず最初に
皆さんが持っている携帯電話をお預かりします。その代わりにどんな質問もします。」ニコッと笑うが、久しぶりの笑顔に引きっていた。その言葉に全員が携帯電話を取り出し、アレックス・バーンに渡すと
施設へと吸い込まれていく。ようこそ地獄へ。

なんの問題もなく、目的の施設が目の前に現れる
数百メートル先に検問所が見えてくると、警備員が
仁王立ちし止めてくる、「とまれ、お前ら何しに来た?」マリソン改めアナスタシアは「今日は施設の清掃のために来ました。」後ろにいる、もう一人の警備員に聞くと、検問所に走っていき、パソコンで調べ戻ってくると耳打ちする。
確かに今日、清掃の依頼が入っていますね、あと2人で大丈夫ですか?」「はい大丈夫です。私達プロなので、そうよね。アンドリュー、」毅然とした態度で答えるマリソン改めてアナスタシアに、シュワルツコフ改めアンドリューは改めて感心していた。 
「はい、私達は清掃のプロなのでお任せ下さい。」
自信満々の笑顔で警備員に言うと、無表情になり「わかりました。あとIDカードを見せて下さい。」
2人はIDカードを見せ、検問所を通過すると施設の駐車場に車を止める。外に出ると研究員がやってくると「清掃業者の方ですね。こちらのカードをお使い下さい。帰るときは返却をお願いします。」施設専用のゲストカードを渡すと研究員は施設へ戻っていく。、アンドリューとアナスタシアは清掃業者が被る帽子を被った

















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