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大人へ絵本紹介♪透明な本を抱えている

短大に通っていた頃友達と会うのが苦手でした。


一人喫茶店で


道行く人を窓越しに眺め


動きを見ながら気持ちを想像し


自分にはこの時間を


想像以外に使う術がないと感じていました。



ふっとガラスに映った自分と目が合い


自分も


街の風景に入っていることに


気がつきました。




わたしの表面からは


何も出ていない。



それと同じように


誰にも到底想像の出来ない人生が


ある。



歩く人が皆

透明の本を抱えているように見えました。



そして思いました。


想像を巡らすだけではなくて


言葉に触れて事実を知りたい。




直接会えなくても


抱きしめたくなるような人が


本の中に


いらっしゃる。



家から出られなくても

友人とうまく話せなくても

仕事に悩んでも


語ってくれる相手が

本の中にいる。



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『パリのおばあさんの物語』
2008年初版 千倉書房より
翻訳 岸惠子

私の母は岸惠子さんに憧れていました。この本を見つけた時、学生の頃によく日本のテレビに出ていらした岸惠子さんと、その度にテレビを凝視していた母を覚いだしました。



この本は無数の内の一冊


私が偶然出会った一冊


これじゃなくてもいい


人と会うのがムリなときは


本の人に出会って欲しい。



入り口は

優しい絵のある

綺麗な言葉で語られた

絵本がいい


「この広い世界には、いろいろな人が生き、日本にいては考えられない暮らし方をしているのよ」と、しみじみと知って欲しいと思うのです。
                     岸惠子(あとがきより引用)


女優の岸惠子さんが、フランスで20年以上も読みつがれている絵本を翻訳し、上品な大人の物語にしてくれました。誰だって何かしら事情を抱えています。それを悔やむのでなく、明るく片付けていく生き方・哲学が伝わってきます。文章の端々に目をこらすと、ユダヤ系であるが故におばあちゃんが苦労してきたことも読み取れます。(千倉書房の紹介文より)






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