見出し画像

香水の本memo ~ドルチエ&ガッバーナの香りってどんな~

オーデコロンを付けた時の父は臭かった。でも大人ってそういうものだと思っていたので嫌とは言わなかった。母も同じく綺麗な瓶からキツい香りを振りまいていた。

大人は臭いものを付ける。

そんな父がある日私にお土産をくれた。
エルメスの石けんとサンローランのオピウムだった。

そのあんまい香りに私はすぐに魅了され、

香水大好き!

と思うようになった。

けれど


香水ってなに?


何で出来ているの?
何のためにつけるの?
どうやって探すの?
どうやって選ぶの?
私のもらった香水はどういうものなの?

私はそれがわからなかったら香水をつけることが出来なかった。
しばらくの間は夜にクンクン香って寝ていた。

みんなはどうして知っているんだろう。
こんなにステキな香りが他にあるのかな?

当たり前のように使う香水という言葉の意味がわからなかった。それはまるで社会って何だろう?と思ったのと同じ種類の疑問だった。漠然としたものの不思議。今考えると香水は名詞だし、どうしてそんなに不思議だったのかと思うのだけれど、お化粧って何?どうやってするの?って思ったことのある方なら理解して頂けるかもしれない。あの頃はどうやってメイクが完成しているのかもわからなかった。

「香水ってなんなの?」
母に聞くと
「シャネルとかディオールとかよ~。」
そんな感じ。
「プワゾンが良いわよね~。」
もったいなくて、いつもはつけていないという香水の瓶からは、不思議な国の香りがした。
「エキゾチックでしょう?」
うん。確かに。エキゾチックってこういうことか。
母はもっと尖った香りをつけるので、
「本当に好きなものつければ良いのに。」
と言ったら
「もったいないもったいない。」
と言ってしまい込んでしまった。

誰がどうやって作っているの?なんでつけるの?香水を作っている会社があるの?いろいろ質問してみたが母は、
「良い匂いなんだからいいじゃない。」
みたいな反応をしていたと思う。

父が買ってきてくれたような自分が気に入る良い香りをどうやって探せば良いの?

私は、いても立ってもいられなくなり、数日後にデパートにいた。化粧品を買うよりも先に化粧品売り場で香水を眺めていた。どうして香水屋さんじゃなくて、ブランドごとに並んでいるのだろう?それがとっても不思議だった。

ぺったり塗りたくってすっごく綺麗になったお姉さんが
大体一人でカウンター越しに立っている。

親よりこの人たちが詳しいはずだ。

私はブランドのお姉さんに聞いた。


「香水って何ですか?」

・・・

・・・

・・・

お姉さんはちょっと引いた笑みを浮かべて

「香りです。足下からつけて匂わせるものです。」

とか

「う~ん香水は香水ですね。」とか言っていた。


私の知りたいことはなかった。

でも何人もに聞いているうちに私はわかった。

何を基準に選んだら良いのか、そのヒントが欲しいんだ。


そしてこの本に出会った。

画像1

『香水の本―香りへの招待』
平田 幸子 (監修) ワールド・フレグランス・コレクション (編集)
1986年 新潮文庫


花を摘んで香料を作る歴史から始まって、魔除けや体臭を隠すために使っていて、お化粧の仕上げに香水をつける。材料は天然のもので作り濃度が濃いのがパフュームでオーデがつくと薄くなる。みたいな法則による言い方や、それぞれのブランドごとに出してきた香水がカラーでたっぷり掲載されている。シャネルのNo.5のような歴史あるものを名香と言うが流行のもある。

これを読んで、その時の私はすっかり納得した。

やみくもにそこら辺から出てくるわけでは無くて、香水には歴史もあって、流行もある。そして好みで選んで良いんだ。

新しい香水も出る。

じゃあまず今ある香水を香ってみないとだね!

と言うわけで、私は母の香水を片っ端から香り(どれも変なのばかり)
幼い頃から母に連いて行っていた、銀座の三越や渋谷の西武などの化粧品売り場に通うようになる。

テイスティング出来ることを知ると、年上のお客さんがテイスティングをする後ろに並んで「あ、私も」みたいに便乗して香りのシートをもらう。数ヶ月すると自分からこれ香って良いですか?って言えるようになった。

研究し出すと、
母が気に入っていたプワゾンは、私も良い香りだと思ったはずなのに、おばさんが喜ぶちょっと古い香水として変換された。(ごめんプワゾン。今なら似合うかも?)
そして新作が出ると「あっ新作だ!」とわかるようになった。それがとても嬉しかった。歴史を知って順番を知って、歴史も香ることが出来て、新しい香りも生まれる。なんてロマンチックでエキサイティング!

そして利き酒ならぬ、利き香水師のように名前がわかるようになって(調香まではわからないけれど)父にお土産のリクエストも出来るようになった。(高くて自分では買えなかったしね)

短大の卒業旅行で初めてグアムに行ったときには出発ロビーの免税店でサンローランの新作(当時日本未発売)のシャンパーニュと出会い、帰りにすれば良いのに興奮してすぐに買ってグアムまで連れて行った。

自分で好きなものを選べて身につけられる喜びをファッション以上に感じていました。唯一今でも持っているエリザベスアーデンのサンフラワーも父が買ってくれたオーデトワレ。何年かぶりにアロマポットに垂らしてこれを書いています。


本棚の一番端っこにずっといた「香水の本」を30年ぶりに開き
あの頃を思い出したのはもちろんあの歌のおかげです。

①息子が歌っていた
息子にドルチエ&ガッバーナってなに?と聞かれ、ブランド名だよと答える。毎日のように息子の歌を聴く。

②しばらくして娘に見せてもらった動画は、チョコプラの方だった。

その時点で私は爆笑が止まらず

③続けて瑛人さんのオリジナルを見る
④似てる~と言って爆笑止まらず

瑛人さんの方を先に見たら良い歌だなあって思ったかもしれないのに・・・順番間違えた😭


そして題名の話。

ドルチエ&ガッバーナ?
派手なバッグは持ったことがあるけれど
香水?知らないなあ。

そう思ってこの「香水の本」の索引を見ましたが
載っていませんでした。
当時は無かったのかな?
どんな香りを出しているんだろう?

気になる気になる。

今はソフトでライトなフレグランスがたくさん出ていて、パルファムにこだわらなくてもステキな楽しみ方をしている方が多いですね。香水文化は変われど、この本に載っている香水達もまだまだ活躍しているのかな。



ネット書店も無い時代にこの本を見つけた自分がうれしい。

(内容)
香りの起源(春山行夫)/香りへの招待/一輪の花から香りの芸術が生まれるまで/香水のミニ知識/香水の歴史(海野弘)/香水の心理学(秋山さと子)/名香物語(諸江辰男)/香りの錬金術(マリーセリーヌ・グルニエ・デブレ)/香りの分類/香りの濃度による分け方/香りの立ち方/フランスの香り/季節の匂う街から(村上知子)/装う冒険心(ピエール・デナン)/暮らしの中の香り(森瑶子)/アメリカの香り/イタリアの香り/その他の国の香り/日本の香り/句読点としての香り(稲生達彦)/男の香り/香りをどうつけどう活かすか(ニコル・デュペア)/香りの好みとタブー

たくさんのコラムは香水の歴史書と言う感じで、今でも充分見応えがあると思います。おまけとしてバブルの時代も感じます(*^_^*)写真が多いので香水瓶をみているだけでも楽しいです。

カルバンクラインのCK ONE
ディオールのDUNE
エタニティ

ときめきをありがとう♡


長文読んで頂きありがとうございます。





この記事が参加している募集