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高松商 vs 佐久長聖 どこよりも詳しく見どころ解説

大会6日目 第2試合
高松商(香川) vs 佐久長聖(長野)

打撃自慢の両チーム
ナンバーワンスラッガー浅野のバットに注目

「智辯和歌山さんが羨ましい、うちにも来てほしいです」
昨年の夏、甲子園3回戦で智辯和歌山に敗れた後の高松商・長尾監督のコメントである。これは智辯和歌山に臨時コーチとしてイチロー氏が指導してくれた事に対してのものである。
そしてこのコメントがきっかけでイチロー氏は高松商に臨時コーチで指導を申し出た。そしてそのイチロー氏に「バケモンですね」と言わしめた男が浅野である。昨年の夏、智辯和歌山のエース中西から放った左中間最深部への特大ホームランは強烈なインパクトだった。

高校ナンバーワンスラッガーともいわれる浅野を中心とした強力な高松商打線を佐久長聖がどう抑えるか。また他にも見どころの多い楽しみな一戦である。

投手力

高松商のエースはサウスポー渡辺(和)。昨年の夏の甲子園もリリーフで経験している。三段跳び755cmと浅野を上回りチーム1の身体能力を持つ投手だ。2300回転を記録したという最速キロ142キロのストレートは打者にとっては球速以上に速く見えるだろう。昨年の印象では制球に不安があるイメージだったが、股関節回りを鍛えた成果でこの夏は大幅に改善されていた。同じくサウスポーの大室も187cmの長身から角度あるストレートを投げる好投手ではあるが、甲子園では渡辺の投球が中心となるだろう。

佐久長聖は背番号10の広田が長野大会では軸となって安定した投球をみせた。ストレートとスライダーを内外角に投げ分ける丁寧な投球が印象的だった。コントロールが良く大崩れしない打たせて取る投球が光った。エースナンバーの小北は170cmと大柄ではないが、三振を取れる投手だ。ただ長野大会では甘くなった球を痛打されるケースもあり、甲子園では改善できているかに注目したい。また7試合でエラー2つと内外野ともに安定した守備力が攻撃にリズムをもたらした点にも触れておきたい。

打力

高松商はチーム打率.439と出場校中トップ。1番を打つ浅野ばかりに注目が集まるが、後ろを打つ井桜、渡辺(升)、本田も非常に力のある強打者だ。それだけにカギを握るのは出塁率の高い9番横井の存在である。最も打席の多く回る1番に浅野を置く最大のメリットは2打席目以降の横井の出塁が大きな意味を持つことになる。また1試合平均盗塁数3.8(2位)、平均犠打4.0(3位)と攻撃のバリエーションが豊富なのも強みだ。気がかりなのは、4番本田をはじめフライアウトが多い点である。強力打線という肩書の罠にはまり、甲子園では大振りになって打てなくなるチームが多いだけにコンパクトなスイングを心掛けたい。

佐久長聖の打線もなかなか力がある。破壊力では高松商に劣るものの、上位から下位まで穴のない打線だ。1試合平均盗塁・犠打も高松商よりは少ないもののどちらも出場校中5位の数字を残している。また三振が少なく四死球が多い点から選球眼の良さも大きな武器と言えるだろう。藤沢、柳沢、岡田、寺尾と続く上位は全員4割以上の打率を残しており、非常につながりの良い打線だ。中でも6盗塁を記録している1番藤沢の出塁が大きく試合に影響しそうだ。右打者が多く、高松商の左腕、渡辺・大室に対してどのような打撃を見せるのかに注目したい。

この試合のポイント

何と言っても高松商のスラッガー浅野のバットに注目だ。
決して大柄ではないが、スイングのスピードと鋭さは「ここ数年の打者の中で一番ではないか」とも思える強打者である。また浅野は本来右打者であるがこの夏はスイッチヒッターとして出場している。甲子園では左打者に不利な浜風があるだけに、佐久長聖の右投手を相手にして左右どちらの打席に入るのかにも注目したい。

佐久長聖は先行逃げ切りのスタイルで勝ち上がってきた。
それだけに何としても先取点をとり、高松商打線が焦りを感じて大振りになる、そんな試合展開に持ち込みたい。

そのためには初回にいきなり打席が回る浅野との第一打席の対決は見ものである。浅野は香川大会でも2本先頭打者ホームランを放っているだけに、佐久長聖投手陣は細心の注意を払って試合に入りたいところだ。

また両チームとも機動力・ボール球の見極めも得意としているだけに、投手をどうリードするか。大坪・寺川両捕手の力も試される試合となるだろう。

甲子園ラボ

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