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ポエム

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思い返したらきっと恥ずかしくなる ひとり言
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一人の海

一人の海

ごうごう
じゅわじゅわ

砂浜に波が押し寄せる度に
塩水と砂が擦り合う音が鳴り響く

海に味付けされた温い風が
頬と腕と足を撫でている

4月の忙しさとは、まるで違う時間だ

忙しない日々の裏側には
ただ潮風と波音だけの時間がある

そんな事を思い出すためだけに
僕は海に来てしまうのかもしれない

ポケット

ポケット

伝えられない想いを丸めて捨てるけれど

気がつけば
ポケットの奥の方から顔を出すんだ

大人たち

大人たち

いつか電車で見た大人たち

疲れた顔の会社帰り

どこかの誰かのはずなのに

気がついたら私もそのひとり

こだま

こだま

また、あなたの言葉がこだまする

どんな言葉かも忘れた今も
甘く切なく、こだまする

諦める

諦める

蹴落とすことを諦めて

羨むことを諦めて

握りしめた拳を解いていけば

爪が食い込んだ痛みは和らいでいくけれど

何者でもなくなっていく私

何者でもない私になっていく私

次は何を諦めて

私は何になるのだろう

夜とタバコ

夜とタバコ

夜の黒さに
ひとりの時間を吐き出していく

白い煙が
闇の隙間を縫って立ち上っていく

「雨」に寄せて

「雨」に寄せて

雨の音が聞こえる
あの音のようにそっと世のために働いていよう

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ぽつりと降る雨の音が
寄り集まって
ザーザーと音を変える

僕はぽつりと降る
雨の一粒なんだなあ

多田武彦「雨」に寄せて

男のオシャレの店

男のオシャレの店

レトロな雰囲気の学生服屋の看板

黒く塗りたくったペンキはところどころ剥がれ
錆が滲み出していて
かすれた白い文字でこう描かれている

男のオシャレの店

ここにはあったのだろう

パッキリとした黒と白が錆色になるまでの歴史が

つま先立ちの背伸び達と
糊の利いた男のオシャレ達の歴史が

蜘蛛の巣

蜘蛛の巣

僕の中に入ってくる君の舌触りが
脳みそを掻き回して、計画もカッコつけも溶かし崩してしまう

僕は蜘蛛に捕まった羽虫みたいに、何も打つ手がなくなるんだ

またリフレインする君の舌触りが
歩き始めた足に絡みついて、僕を引きずりこもうとする

僕はあの日捕まってしまった
絡んだ糸が解けて落ちることを、祈ることしかできないんだ

ひと(り)言 1

ひと(り)言 1

こっちを見ていない君が好き

初めての終わり

初めての終わり

僕はあなたに会いたくて
会えずに過ごす時間がどうしようもなく苦しかった

でも、僕はあなたといることが怖くて
二人で過ごす時間がどうしようもなく苦しかった

あなたは、僕があなたの中にいるってことを確かめさせてはくれなかったね

どんな言葉でもよかった
僕が駄目だった時は、駄目だって言って欲しかった

あなたの言葉で
あなたの中の僕の形を確かめたかったんだ

どんな言葉でもよかった
もう終わりだっ

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