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他人の余分な一言から訴訟に


 
 平成29年1月、弊社近くの側溝に車を落とし、塀に激突させた自損事故でフロント部を大破させた平成26年5月に届出た乗用軽自動車。。

  それは車をそのまま前部を自損事故の修理依頼から始まった。

    ユーザーは、何度か消耗品(パッド、ワイパーゴム、オイル等)を交換したことがある人だが常連と言えるほど親密ではない。
 とはいえ、来店時は普通に挨拶もするので一見ほど関係は希薄というわけでもない。 

    車検証の名義は会社で、その会社は直線距離で120kmほど離れた場所にある。月に2~3回、こちらに仕事で来るようだ。

    あまり詮索出来ないが、年のころは30歳後半。話の感じではサラリーマンか。でも今回の修理の支払いについては個人(車両保険未加入)だというのでひょっとしたら自営業者かもしれない。

 クルマは軽自動車。足回りのダメージが大きく、見積りでは40万円を少し超えた。でも乗り換える気はないという。

    身銭で修理するなら整備事業者として安くなる努力をしたい。

 ・新品を使わないといけない箇所は新品を。
 ・リサイクル部品で賄える箇所はリサイクル部品で。
 ・再使用可能な部品は傷があっても交換せずそのまま使用。

   等々を提案し、了承を得た上で作業にかかった。

     リサイクル部品の調達などで少し時間はかかったが修理はほぼ工程通り完了。見積り額よりかなり安価に仕上がったのでユーザーも喜んでくれた。

     それから時は流れ、一度も入庫がないまま、1年10ヶ月が経過したある日、突然「エンジンがオーバーヒートした」との苦情が入った。

     苦情?修理依頼ではなく?

     とっさには苦情の判断ができず、話をきちんと聞いていくと・・・。

 1年10ヶ月前の事故修理の時にラジエターを交換しなかったことが原因で、走行中にラジエターのアッパータンクとロアタンクをつなぐチューブの一部が裂けて水を吹き、オーバーヒートした、ということだ、が・・・意味が分からない。

    ・修理後、1年10ヶ月が経過している。
 ・その間、走行は約24,000kmだが、その間何事もなく乗り続けている。
 ・修理時、フィンに若干傷はあったが漏れどころか滲みもなかった。
 ・車検を一度他社で受けているのでその時に水漏れは確認済みのはず。

  これらの事実をいくら説明しても、何度話し合いをしても当社を詰り、話がまとまらない。
 いいがかりも甚だしいが、なぜ苦情につながったのかというと・・・

     今回のトラブルは120km先にある会社に向かう途中の真ん中、60km付近で発生したという。したがって、故障したクルマは必然的に向こうの事業者に持ち込まれた。

    向こうの事業者とはいえ、初めての入庫で、その持ち込まれた事業者が「これ、前に大きな事故をした?」とユーザーに聞いたらしい。

 当然、ユーザーは弊社で修理した内容と事故の概要を説明した。

 するとその話を聞いた先方の事業者が「それだけの事故をしてるのにラジエターを換えていないのはおかしい。ラジエターの傷を見逃したからチューブが破れてオーバーヒートをしたようだ」とその状況を見たかのように、弊社の落ち度だと言い切ったらしい。

   ここでユーザーのスイッチが入り、弊社への苦情につながった、というわけだ。

   見ず知らずの事業者に見落としだの落ち度だのと言われて苦情につながったのではこちらとしても納得できるものではない。

 本当に言ったのなら信用毀損や名誉毀損になる…ように思う。

 それはさておき、ユーザーは相変わらず弊社の非を詰るだけで話が一向にまとまらない。 

 弊社が修理した時は先にも書いたが、漏れどころか滲みもなかった。ただ、それを証明することは出来ないが、今回のトラブルまでに車検を受けている。見逃しだというならその工場こそ見落としをしているのではないかと思う(もちろん、口には出さない)。それでもチューブの破れだということならPL法でラジエターメーカーの責任ではないかとも思う、が、それも弊社では立証出来ないし、PL法でそれを言えるのはユーザーだけだ。

    話はしつくした。平行線で交わるところがない。
 困り果てて、面倒臭くなり、もう請求された金額を払って終わらせるか、と思っていた矢先、裁判所から呼び出し(訴状)が届いた。

  『特別送達』である。
 本物の、だ。
 絶対に無視できないやつだ。
 初めて来た。
 初めて見た。

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