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アフィリエイト広告の代理店が担う4つの役割

<前回までのあらすじ>
広告運用担当者に任命されたカラッコは、アフィリエイト広告について猛勉強中。前回、イシタニさんから基礎知識を教えてもらったは良いものの、まだまだ知識不足感は否めません。そこでアフィリエイト広告運用をサポートしてくれる代理店への依頼を検討すべく、今回はサイトウさんの元へ訪ねました。

代理店の役割は主に4つ

(カラッコ)サイトウさん、はじめまして。カラッコと申します。
(サイトウさん)君がカラッコですか、イシタニさんから噂は聞いてます。アフィリエイト広告について勉強中なんだってね。何かわからないことでもあったんですか?
(カラッコ)話が早くて助かります! 実は、イシタニさんから教えてもらったアフィリエイト広告の基礎知識を上司のイルカくんに伝えたら、それじゃあ早速はじめてみて!と言い出しまして。ぼくもつい勢いで、はい! と返事をしてしまいましたが、まだまだアフィリエイト広告について知っておかなきゃいけないことがある気がするし、はじめようにもどこから手を付ければ良いのかさえわかりません状態です。
イシタニさんが「はじめは代理店に協力してもらうと安心かもしれません」と言っていたのを思い出して、それで・・・
(サイトウさん)なるほど、依頼を検討するためにも代理店について知りたいんだね?
(カラッコ)そうです! 代理店に頼むにもイルカくんに話を通さなきゃいけないので、どんなサポートしてくれるのかとか、依頼するとどんなメリットがあるのか、っていう話が聞きたいのです。
(サイトウさん)わかりました、お話しましょう。アフィリエイト広告を支援してくれる代理店はたくさんありますが、それぞれの強みやポリシーが違うでしょうから、これからの話はCARRACの場合という前提で聞いてください。最終的には、複数社話を聞きにいった上で依頼先を判断すると良いと思いますよ。
(カラッコ)承知しました! そうしたら、CARRACがどんな支援をしているのか教えて下さい!
(サイトウさん)はい。代理店の役割ですが、私は大きく4つあると思っています。それぞれ詳しくお話しますね。

役割①メディア調達

 まずはじめに、ASPやアフィリエイトサイトとどれだけ取引ができるのか、つまりはメディアを調達してくる役割が。これはアフィリエイト広告の成否を握るほど重要な役割といっても過言ではありません。どんなに優れた商品やサービスをだとしても、アフィリエイト広告を使う選択をした以上、メディアで取り上げてもらわなければユーザーに情報を届けることすら叶いません。だからこそ、このメディア調達に力を尽くすことが代理店の使命だとさえ思っています。
 それも単に量を追い求めれば良いという話ではありません。ユーザーへの訴求力が強く、広告主の課題解決に大きく貢献してくれるメディアが業界や商材ごとに存在します。そうしたメディアへの広告掲載は競争率も高いので、自分たちの提案を受け入れてもらえるよう交渉していく必要があります。

(カラッコ)交渉というとなんだか難しそう、ぼくには無理かも・・・あれ?アフィリエイト広告って「何(成果)に対していくら払うのかを事前に取り決めて取引する広告」だから成果条件と報酬額さえメディアが納得できれば広告掲載してもらえますよね?

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 そうですね。カラッコの言うように交渉時には成果達成条件や報酬額についての話が中心となります。広告主側の提示する条件にメディアが頷いてくれれば良いのですが、相容れないことも当然ある。そうした時に最適解を導き出すのも代理店の役割です。事前準備で広告主の予算感や今後見据えている展開、メディアの期待する条件の相場観や競合の依頼状況というのを調査して、両者納得のいく条件となるまでコミュニケーションを続けていきます。
 これとは別に初めて取引するメディアには、自分たちがいかに信頼できる相手か、ということを示すことも大切です。過去に初取引となるアフィリエイターの方とは、直にお会いして相互理解を深めていました。必ずしも拠点が東京にあるというわけではないので、地方出張にもよく行ってましたね。
そこでは自己紹介にはじまり顧客・アフィリエイターとの向き合い方、取引におけるCARRACのスタンス、トラブルが生じないようどのようなガイドラインに基づいて広告運用をしているのか、などなど信頼してもらえる材料を提示します。まずは相手のことを理解し、自分たちのことも知ってもらう。そして広告主にとってもメディアにとってもメリットのある提案をし、双方が納得できる条件を設定する。あくまでも対等に、長期的なお付き合いができるよう丁寧にコミュニケーションをとっていくことがメディアに広告掲載を依頼する正攻法ではないでしょうか。

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(カラッコ)確かに、アフィリエイターの人たちにとってもお仕事ですから、ぼくたちが信用できる相手かどうかは重要ですよね。ところで交渉のための事前準備でメディアについて調査するって言ってましたが、どうやって情報を仕入れているんですか?

 広く浅く、でいうとネット検索がメインです。サイトへのアクセス数がわかる第三者ツールも使ってメディア動向を日々チェックしています。ただ、これはあくまでも業界全体の動向を把握するためのもので、交渉や実際に広告掲載を依頼するメディアを選定するには不十分です。もっと正確で深い情報を入手したい時にはASPにヒアリングを行います。
アフィリエイターと広告主の仲介人であるASPにはメディア動向や広告施策の事例など、アフィリエイト広告全般の最新情報が集まっていますから相談相手として適任でしょう。それも1社だけでなく相談相手が複数いると、情報の精度や客観性を高めていくことができます。
 ただ、ASPに相談すれば何でも教えてくれるということでもなく、やはりここでも信頼関係が重要となります。代理店の場合は過去の取引や成果達成の実績に加え、取引期間の長さや会社の社会的信用度によって関係密度が深まっていくことが一般的です。
 ちなみにCARRACは2005年創業という歴史の中で、日本に存在する約50社のASP全てと関係性を築いてきました。代理店としては相談先が多いほど広告主に提示する選択肢が増えていくので、ASPとのネットワークも貴重な財産です。私達の役割はあくまでも広告主の成果達成を代理することですから、特定のASPやメディアに肩入れするのではなく、中立的な距離感を保ちながら広告主にとって最善と判断される協力先を選ぶという方針で施策を展開しています。

役割②成功パターンの再現性

 代理店の役割の2つ目が、成功パターンの再現性を残していくことです。同じ商材で成果を出し続けていくための手がかりをきちんと残していくことで、アフィリエイト広告施策の継続的な成果達成に繋がります。そのために行うのは、実施施策の成功、もしくは失敗要因を分析していく作業です。広告掲載されたアフィリエイトサイト、紹介された文脈、媒体を見ているユーザーの特性、媒体の集客方法などを分析し、次の施策実行時に類似メディアで同じような結果が再現できるかといったようなパターンを追求していきます。
 例えば美容系メディアでも、エステを紹介して高額コースの契約につながるユーザーを連れてきてくれるメディアもあれば、キャンペーンコースのみで終わってしまうユーザーを大量に誘導してきてくれるメディアもあります。その違いを紐解いていくと、掲載しているコンテンツ傾向やサイトへの集客方法に違いがあることがわかる。前者は体験レポートや施術器具を解説するコンテンツを掲載しているため、真剣度の高いユーザーが集まるのではないか。後者の場合は価格やキャンペーン情報をメインに掲載しているので、興味本位で応募するユーザーが集まるのではないか。そしてどんな検索キーワードでサイトがヒットするのか、集客にSNSも活用しているのか。くまなく調べて成果が出た背景まで理解ができると、次の施策実施時に集めたいユーザーに応じてアフィリエイトサイトを探す参考にすることができます。

役割③広告の品質と透明性

 ここでお話する品質とは「広告が掲載されている状態」のことです。正しい文脈で広告掲載されているか、その内容に誤りがないかをチェックしていくことも代理店の役割です。
 アフィリエイト広告の実績管理は、基本的にASPが提供する広告管理画面を活用します。この画面上ではユーザーがメディアに掲載された広告をみて何かしらの反応をしているのがわかる。すなわちどのアフィリエイトサイトでどの程度クリックされ、コンバージョンに至ったのか、までが確認できます。だけど、どんな文脈で、どんなワードで掲載された広告を見てユーザーがアクションを起こしたのかまでは直接サイトを見に行かないとわかりません。販売価格が間違っていてユーザーが勘違いしたまま購入してしまっている可能性だってあるわけです。誰かが能動的に見に行かなればミスがあるかどうかさえわからない。怖いですね。

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(カラッコ)怖いですが、直接確認しにいくだけなら簡単ですね!ぼくでもできる!
 
 そうなんです、直接サイトを見に行って確認すれば済む話なんです。だけど大きな成果を追求するほど広告掲載メディアも増えていくので、その全てを確認するには時間も手間もかかるというジレンマもあります。

(カラッコ)た、たしかに・・・10、20の広告チェックをするって考えただけでも頭痛がします・・・何か良いやり方はないんですか?

 CARRACで行っているのは、サイトパトロールと課題のある文言などの修正対応です。正しい文脈で、適切な表現や表記で広告掲載されているかを人の目で確認していきます。ただ確認すれば良いというものもなく、どのように人員を確保するのか、何をどう確認していくのか、そのノウハウと体制が必要です。CARRACでは価格、割引率など事前にチェック項目を作成した上で確認を行うほか、法律違反となる文言で紹介されていないかなども見ていきます。

(カラッコ)人力!?何かうまいシステムみたいなものがありそうなものですが

 広告枠がフォーマット化されていれば、自動化の手立てもありそうなものだけど、アフィリエイト広告はメディアが独自に作ったコンテンツの中で商品を紹介する強みを持つ、非常に自由度の高い広告です。商品に直接言及しているしている文言だけでなく、コンテンツ全体の文脈も確認する必要があるとなると自動チェックには限界があります。現状、人が直接確認するのが最も正確で、短時間で終えることができる方法なんです。

(カラッコ)広告掲載してもらって喜んでる場合じゃないんですね。万が一、サイトパトロールでミスが発覚したらどうすれば良いんですか?
 メディアに訂正依頼を出して修正してもらいます。ただ、訂正してもらうのはあくまでも情報公開された後の話です。第三者視点での情報発信をメリットとするアフィリエイト広告は、事前に掲載内容を広告主や代理店がコントロールすることはできません。事後確認もそうですが、広告掲載前の丁寧な情報提供やチェック項目の共有などにより、ミスを未然に防ぐことも大切です。

(カラッコ)掲載記事を確認するまで安心できませんね。


 そうですね。内容にもよりますが、ミスが景品表示法や薬機法に抵触している場合には、逮捕者が出るとケースにまで発展する恐れがあります。

 ​アフィリエイト広告の第三者視点という性質から、メディアが作ったコンテンツに問題がある場合には責任を問われるのはメディア側です。しかし、広告主や代理店が法に抵触する文言の記載を故意に指示したり、​意図はなくともアフィリエイターに誤った情報を伝えて法律違反をした場合には広告主側の問題にもなります。どちらが問題を起こそうとも、報道されてしまえば企業イメージを損なうことには変わりないので、信頼回復にかかる時間やコストを考えても品質管理は徹底して行うに越したことはありません。
 私自身、JAAAアフィリエイトに関する発注ガイドライン作成に携わり、ASPと取引する際はこのガイドラインを覚書として締結してから広告施策を展開しています。こうした取り組みを通じて、業界全体としてアフィリエイト広告運用の健全性・透明性を高めていく施策を個人として、CARRACとして取り組んでいきたいと思っています。

(カラッコ)品質管理については代理店にお任せするだけじゃなくてぼくたち広告主も気を配っていたほうがいいですね。

 そうですね。広告代理店に勤める1人として心がけていることは、僕らが関わっているのは目の前にいる広告主だけではなく、アフィリエイター、そしてメディアに訪れるユーザーも大切なクライアントの1人だということを意識して取り組むことです。ユーザーに正しい価値を提供していく責任というのはメディアだけでなく代理店や広告主にも当然あります。今やインターネット上の情報にも新聞にも匹敵するくらいの信頼性が求められている時代ですから、正しいことはもちろん、関係者が手を取り合って価値ある情報をユーザーへ届けていくべきなのだと思います。

役割④ 持続的な運用体制の保証

 最後は①~③で説明した役割を知見・ノウハウとして企業に代わり代理店が積み上げていくことです。というのも、定期的な人事異動やカラッコのような1人担当者が突然退職してしまったりということが起きてしまうので、自分たちでノウハウを蓄積したくてもできないという事情があるようです。そのため、持続的に広告運用ができる体制作りを外部の代理店に委託している広告主も少なくありません。アフィリエイト広告を使い続けている広告主の要望には、積み重ねた知見から成功パターンの再現性を見出した上で施策を提案してくれているかとか、今後も継続できる体制づくりを代理店が意識してくれているか、といったことが含まれているように思います。

(カラッコ)ぼくみたいな知見もなにもない、そもそもはじめ方からわからないような会社からの相談もあったりしますか?そもそも何を相談すべきかもよくわからないんですけど・・・
 もちろん相談をいただくことはありますよ。それこそどうやって始めたら良いかわからないといったものから、運用時に指標とすべきデータは何か、といったものまで様々です。実務的なことはもちろん大切ですが、初めて取り組まれる方だからこそ成功イメージを持てるようになることが大切なのではないかと思います。 
 アフィリエイト広告は成果報酬型広告です、と言われても検索連動型広告やディスプレイ広告と比べても広告のイメージが持ちにくいですよね。バナーを用意すれば大丈夫だとか、ASPに登録すれば広告が配信されていくとか勘違いされる方がいるのも仕方ないのかもしれません。アフィリエイターが第三者視点から商品紹介のコンテンツを掲載するスタイルをとっているということ。そのスタイルも様々で比較サイトのようなものから記事形式のものがあるということ。記事を作成してもらうためにユーザーだけでなくアフィリエイターにも情報提供をしなければならないということ。こうしたアフィリエイト広告の性質を理解できていないと、せっかく掲載してもらっても内容が薄く訴求力のないものになってしまったり、それこそトラブル発生につながったりしてしまいます。
 取り組む中で学んでいくというのも手かもしれませんが、プランニングができていない状態で施策を打ってもなかなか成果が出せません。貴重な広告予算を無駄にしないためにも、事前にアフィリエイト広告を成功に導くにはどうするか調べたり、それこそ代理店やASPに相談したりするのが結果的には最も効率的なのではないでしょうか。

(カラッコ)まさにぼくが置かれている状況をお話してくれましたね。サイトウさんはエスパータイプですか?

(つづく)

(イラストレーション:ニッパシヨシミツ

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