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【分解してみた】シン・エヴァンゲリオン予告動画に心動くのは、徹底的な対比構造にヒミツがあった!


もう30回くらい観てる。

ソファーに寝転んでスマホで観て、「やっぱいいなぁ」と思って、今度はPCにヘッドホンで腰を据えてもう一度観る。

何度観ても飽きない、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告。

とにかく美しい。音楽も映像も。心が惹かれます。


まぁ良いと思うんならそれでいいじゃん、と思うかもしれない。

でも仕事柄、「これはどうして良いのか」を考えることを癖づけている真面目な面がありまして。


ということで、この動画はどうして良いのかを、僕なりに分解・分析してみた。

ちなみにこれはストーリー考察など映画の中身に言及することは一切ない。あくまで、いち映像作品として中身とは関係なく良さを探す試み。


まずは各シーンをスクショしていきながら分解。全部で32シーンあった。

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こうすると、組み立ての意図のようなものがなんとなく見えてくる。

どうやらこの映像に惹かれる秘密は、「徹底的な対比要素の組み合わせ」にあるようだ。


たとえば最初のシーン。

赤く染まったサードインパクト後の世界。非現実的な世界観が映った後、急に水面の画に、僕らにも馴染みある情景に変わる。

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かと思ったらまた非現実的なシーン。

そしてそのあとにピアノ、電線と空・・・

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このように冒頭シーンだけをみても、現実的情景と非現実的情景という対比要素の間を激しくサイドチェンジさせているのが分かる。

冒頭のパートは「人のいない情景」という枠の中で対比要素を繋げている。そのあとは、「人の表情」など枠を変えて、その枠内でまた別の対比要素を組み合わせている。


こんな感じで、1分半ほどの映像の最後まで、徹底的に「対比」を駆使し続けているのだ。

めちゃくちゃ揺さぶってきてる、ほんとに。


伝わりづらいかもなので整理した。

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冒頭シーンの後は、船内シーンで徐々に動きをつけていったあとに、人物の表情パートになる。ここでは静かな表情と感情的な表情を切り替えながら進んでいく。

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サビに入るとさらにダイナミックにサイドチェンジをしていく。激しい戦闘シーンと静かなシーン、動と静を交互にみせていきながら映像のラストに向かう。

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ちなみにこんなものまで作ってますが決して暇人ではないです。物好きなだけです。


いかに対比を徹底してるか、伝わっただろうか?ぜひこれを意識してもう一度観てみてほしい。

めちゃくちゃ揺さぶってきてる、ほんとに。

またこの映像だけでなく、宇多田ヒカルのBeautiful worldのPVなど、エヴァ関連の別の動画でも、対比の構造は見られる。



多いと少ない、大きいと小さい、濃いと薄い、直線と曲線・・・

世の中は対比に溢れている。

この対比の組み合わせが、人の心を動かすみたいだ。例えば色でも、赤と青など反対の色を混ぜることで強いアクセントになる。


芸術の世界でも対比の構造は重要なものになっている。

「巨匠に学ぶ構図の基本」(視覚デザイン研究所 著)という本では、以下のようにある。

構成要素には「対決」が欠かせません。太い線と細い線、鮮やかな色と渋い色、鋭い線と緩やかな線。全ての要素は対比することによって生き生きして表れます。

この本は芸術の中の法則性を分かりやすく学べるので、気が向けば読んでみてほしい。


人の心を揺さぶる「対比」。奥深い。

YouTubeのいろんな動画も対比を意識して観てみると、仕組みが見えてさらに面白いかも。


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