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世界は言葉でできている

「もうダメだ。間に合わないよ」

塾へと急ぐ夕暮れの道で、子どもが息を切らしながらちょっと不機嫌になって言った。

「何をいっているの!見て!時計ではまだあと10分もあるんだよ!この50メートルを歩くのに10分もかかるの」

「だって、ママ!塾の階段は長いんだよ」

「あの階段を登るのに10分もかからないよ!30秒だよ」

息子は延々といかに間に合わないと思っているか感情的にわたしに訴え、わたしはそれを物理的な事象で論破しながら、2人して走る。

「あのね、Kちゃん。行動は言葉で出来ているの。例え、本心でなくても、事実はそうなるんだよ。できないと言ったらできない。できると言ったらできるんだよ」

子どもにとって全てのことは経験になる

子どもたちには、何度も何度も、噛んで含めるようにこの言葉をわたしは、言う。

子どもは、なんせ経験が少ない。

子どもにとって、全てのことがメッセージならぬ、全てのことが「初めての経験」なのだ。

子どもにとって、世界は予測不能な怖いことで満ちている。

わたしたちは、この初めてのチャレンジに不安が強い。

やったことなんてないんだから。

初めて喋ったことも、初めて歩いた時のことも、初めてでんぐり返しができたことも忘れている。

今では、息を吸うように、意識をしないで歩いているけれど、わたしたちはこれらの行動を自分で「獲得した喜び」に満ちていた。

子どもの世界

「ママ!見てて!」

わたしは、毎日毎日、こう子どもたちに請われる。

子どもは自分の頑張りと発見をわたしに喜んで報告する。

そのやりとりは、夕食を作りながら、他の子どもの宿題につきあっている時も容赦なく、続くから、正直、キツイ。

だけど、子どもたちの「はじめて」に付き合え、シェアし合う喜びは、子育てをしている今しか味わえない甘露だ。

そう思うと、大変なことも大変に思えなくなる。

これは、心理学用語で「リフレーミング」という、思い込みのフレーム(枠)を書き換えることとも言える。

あなたが初めてでんぐり返しができたり、あなたが手に豆を作って、その豆が潰れて血が出ても、繰り返し挑んだから、逆上がりができた。

わたしたちが難なくできているように見えることも、実は子ども時代に自分で「経験したこと」の結果の積み重ねだ。

その上、息子はとても神経質で心配性だ。

インテグラル数秘(わたした主宰している数秘学)で見ても、息子の数字は「全てを自分で体験して納得する」数字だから、もう筋金入りだ。

息子よ、君は自分の足で歩いて自分の辞書を作りなさい。

高村幸太郎もかの有名な詩「道程」で言ってるではないか!

「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」

たぶん、そんな文言だった。

うろ覚えだけど、この詩はわたしにとっても座右の銘だ。

わたしの前に道はない。もっと言えば、全ての人の前に道はない。

自分の足で歩いたから、「あなたの道」ができるのだ。

当たり前のことだけど、それをこのような詩に昇華できるのだから、さすが大詩人だ。すごいな。

言葉が意識を作り行動を生み出す

そしてもう1つ。

わたしたちの行動を決めるのは、先にも書いたが「言葉」だ。

ありがたいことに、古代から日本人は言葉の重要性に気づいていた。日本には「言霊(ことだま)信仰」がある。

だから、「猿(さる)」を「去る」を反対の意味「得る(える)」に変えて、「得て公(えてこう)」に置きかえ、神様として祭っているのが赤坂にある日枝神社だ。

果てしなく続く階段の先にある日枝神社の境内からは、日本の政治の中枢、首相官邸が見えるように、歴代の首相の信奉も熱く、政治家たちを守護している。

言霊信仰を科学する

「言霊」は、心理学の立場から科学的にも言える。

わたしたちの行動は、まず言葉ありきだ。

例えば、あなたはお腹が空いて何か食べたいとする。

この意識と行動を科学的に分析してみよう。

まず「お腹が空いている」という身体症状に気づかねばならない。

この身体症状への気づきは、生まれつきの本能で、だれでも持つ。

だから、生まれたての赤ちゃんでも、お腹が空けば泣く。

この泣き声も「言葉」だ。

自分が泣いたことで、ママがそばにやって来て、抱いてくれたり、ミルクをもらって、空腹が満たされる。

だまって、ミルクをあげたり、抱き上げる親はいないから、「お腹が空いたのね。ミルク飲もうね」なんて言いながら、赤ちゃんをあやすだろう。

その繰り返しで、赤ちゃんは「お腹が空いた」という状態の「身体言語」を獲得する。

心理学では「内的感覚」、医学用語で「内臓感覚」というものだ。

「ミルク」という言葉を話す力(発語)は、もっと先なのだけど、こうして、「感覚」を通して、モノの名前を憶えていく。

身体発達が未熟な赤ちゃんは(言葉を話せるようになるのは生後1年頃だ)言葉を話せないから「お腹が空いたな」と言うサインは、泣き声なのだ。

図式にすればこうだ。

お腹が空く(身体症状) → 空腹を意識する(内臓感覚) → 泣く(身体言語=サイン)

人は赤ちゃんでさえ、サインを送る前に必ず空腹状態を頭の中にイメージするのだ。

つまり、鳴き声は、赤ちゃんの「言葉」。

だから、「引き寄せの法則」はスピリチュアルでも魔法でもなくて、人間ならだれでも持っている「言葉」の効用に過ぎない。

人間ならば、誰でも意識は現実になるのだ。

というより、意識を現実にしているのはあなただ。

そう考えると、誰でも自分が思い通りの現実を作っていることがわかるだろう。

意識は現実化するのではなく、あなたが現実化しているのだ。

だから、あなたが発する言葉は大切にして欲しい。

わたしは、ことあるごとに繰り返し、子どもたちにそう伝えている。

言葉は、自分が自分を動かし、世の中を動かすための最大の武器なのだから。

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こんな感じで、心理学は「言葉の力」で日常を科学するガクモンです。

自分の人生を楽しく思い通りにクリエイトしていくには、圧倒的な言葉の力が必要です。

言葉は、生まれつきのスキルではありません。

あなたが今まで生きてきた経験の積み重ねで、あなたが獲得してきたものです。

努力の積み重ねが言葉です

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論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。