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介護福祉士国試対策(9)社会の理解①

今回も文字数多め❗ とにかく、ゆっくりお読みくださいませ😊😊
▼『社会の理解』という科目は、法律や制度の知識がメインです。さっそく、この科目の出題基準をみましょう。

▼見てのとおり、項目が多すぎてどこからどのように学習、暗記していけばよいのかがわかりにくいです。おそらく、このページをご覧の受験生の方も、法律や制度に苦手意識がおありなのではと想像します。ここは本気で、しかも早いうちから対策を講じておきましょう。
▼そこで、社会保障や社会福祉関連の法律や制度を学習するときには、以下のように分けて頭の中で整理しておくとよいでしょう。

  ●社会保障
  ●社会福祉全般
  ●高齢福祉
  ●障害福祉
  ●その他の福祉(子ども家庭福祉、母子父子福祉、地域福祉など)

▼では、今回は社会保障に関する問題の出題パターンを整理してみます。例によって、問題の解答はわざと示していません。見ているだけでは身につかないからです。きびしいようですが、面倒くさくても、いちいち調べて理解、暗記するようにしましょう。



1.社会保障の機能・役割をめぐる問題の出題パターン

▼問題に入る前に、「社会保障とは何ぞや❓」について簡単にご説明します。一つひとつの項目をゆっくり、かみしめるようにお読みくださいませ❗❗
▼まず「社会保障」とは、国民の生活を保障する制度全体のことです。
・社会保障は、所得保障、社会福祉医療保障、教育保障、住宅保障、労働保障に分けることができます。とくに、社会保障と社会福祉の違いを知っておいてください(社会保障の中に社会福祉が含まれます)。
▼つぎに「所得保障」とは、国民の所得を保障することです。
・所得保障は、年金保険社会手当生活保護(公的扶助)に分けることができます。
年金保険は、保険料+税金によって年金を支給する保険制度です。老齢(老齢時に支給)、障害(障害が生じたら支給)、遺族(配偶者が死亡したときに支給)の3種類があります。
社会手当は、聞き慣れない用語ですが、児童手当(子どもを育てる親に支給)、児童扶養手当(子どもを育てるひとり親に支給)、特別児童扶養手当(障害のある子どもを育てる親に支給)などがあります。
生活保護(公的扶助)は、所得保障における最後のセフティ・ネットです。説明は不要でしょう。
▼つぎに「社会福祉」とは、福祉問題をかかえた人に対するサービスのことです。ここも説明不要でしょう。
▼つぎに「医療保障」とは、病気の治療と予防を公的に保障することです。
・医療保障は、医療保険出産手当保健・公衆衛生公費負担医療などに分けることができます。
医療保険は、保険料+税金によって医療を提供する保険制度です。なお、正常分娩は病気とみなされないため、医療の給付ではなく、出産手当金などのお金が医療保険から給付されます。
保健・公衆衛生とは、病気の予防や衛生環境の整備(感染症対策など)のことです。なお、「保」と「保」は別物です。保(health care)とは、健康を保つこと=病気を予防することです。
公費負担医療とは、医療保険とは別に、公費で医療を提供することです。各種障害医療(自立支援医療)や感染症医療、難病医療などさまざまなものがあります。
▼つぎに「教育保障」とは、憲法で定める教育を受ける権利や機会を保障することです。義務教育、公教育(公立の小中高大)や障害児教育などが教育保障に含まれます。
▼つぎに「住宅保障」とは、国民の住生活を保障することです。市営住宅や公営住宅、最近では高齢者住宅に関する制度が住宅保障に含まれます。
▼さいごに「労働保障」とは、国民の労働を公的に保障することです。ハローワーク、雇用保険、労災保険、育児介護休業法などが労働保障に含まれます。
▼これら社会保障の枠組みを図にしてみました(↓)。このように、社会保障の骨組みを理解しておくと学習が楽になると思います。

▼では問題の出題パターンを整理してみます。

(1)社会保障の範囲を問う問題:
例)社会保障制度には、社会保険は含まれない。(社会の理解24-9-1)
👉上の表を知っていれば楽勝です。

(2)社会保障の機能の内容を問う問題:
例)社会保障には所得再分配の機能はない。(社会の理解25-7-2)
👉社会保障にはいくつかの「機能」があります。所得再分配とは何か、そして垂直的再分配、水平的再分配とは何かを調べておきましょう。

(3)社会手当の内容を問う問題:
例)社会手当は、サービスの現物給付を行う。(社会の理解26-10-5)
例)児童手当は、児童の健全育成及び資質向上に資することを目的に、父母の婚姻解消、父の死亡等の場合に児童の母又は児童の養育者に支給される。(社会福祉概論14-4-D)
例)特別障害者手当は市町村の条例により支給される。(介護の基本28-23-4)
👉社会手当の出題実績は少ないですが、主なものを調べておきましょう。

(4)労働政策の内容を問う問題:
例)ワーク・シェアリングとは、仕事と生活のバランスのとれた人生を実現することにより、男女共同参画の促進を図るものである。(社会福祉概論23-1-4)
例)ワーク・ライフ・バランスの促進のため、職住一体型の生活スタイルが大勢となっている。(社会の理解24-6-3)
例)「働き方改革」の考え方に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。(社会の理解32-6)
1 長時間労働は日本社会の特質で、時間外労働の限度の設定は困難である。
2 有給休暇の取得よりも、働くことが優先される。
3 働く人々のニーズに応じた、多様な働き方を選択できる社会の実現を図る。
4 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の格差が存在することは、当然である。
5 「働き方改革」は、中小企業は対象でない。
👉労働政策に関する問題は出題実績が少なく、傾向を読むのが難しいです。
👉32-6の「働き方改革」は初出題です。各選択肢は常識的な内容で、「働き方改革」の内容を詳しく知らなくても解答できます。

2.社会保障の理念をめぐる問題の出題パターン


(1)ナショナルミニマムの意味を問う問題:

例)ナショナル・ミニマムとは、国が社会保障その他の公共政策によって国民に保障する最低生活水準をいう。(社会福祉概論23-1-2)
例)国家が国民に保障する最低限度の生活水準を表すよう用語として、正しいものを1つ選びなさい。(社会の理解27-7)
  1 リハビリテーション
  2 エンパワメントアプローチ
  3 ナショナルミニマム
  4 ソーシャルインクルージョン
  5 ウェルビーイング
👉ナショナルミニマムとは何かを調べておきましょう。

(2)社会保障の歴史の内容を問う問題:
例)アメリカでは1935年に社会保障法が制定され、第二次世界大戦後は「ゆりかごから墓場まで」といわれる発達した社会保障のモデルとなる福祉国家をつくり、今日に至る。(社会福祉概論19-1-3)
例)イギリスでは、1942年にベヴァリッジが作成した報告書を基礎とした福祉国家を、第二次世界大戦後につくりあげた。(社会福祉概論19-1-4)
例)わが国の社会保障制度の基本となる,1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会による「社会保障制度に関する勧告」の内容として,最も適切なものを1つ選びなさい。(社会の理解35-9)
1 生活困窮者自立支援法の制定の提言
2 社会保障制度を,社会保険,国家扶助,公衆衛生及び医療,社会福祉で構成
3 介護保険制度の創設の提言
4 保育所の待機児童ゼロ作戦の提言
5 介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備
👉社会保障の歴史に関する問題の出題実績は少ないです。一つ目の問題は、アメリカとイギリスの歴史を混同させた問題文です。また、「ゆりかごから墓場まで」は北欧ではなくイギリスで提唱されたものです。
👉社会保障制度に関する勧告の問題は、それぞれの選択肢がいつごろの内容であるかが分かっていれば解答できます。

3.社会保障関係のデータをめぐる問題の出題パターン

👉社会保障関係のデータは頻出です。最近の動向を必ずチェックしておきましょう。

(1)国の予算に占める社会保障関係費の割合を問う問題:
例)近年の社会保障関係費は、国の一般歳出の約10分の1である。(社会福祉概論17-2-A)
例)国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は30%を超えている。(社会の理解32-8-4)
👉これらの問題は、国の予算が何兆円あって、そのうちの何%が社会保障関係費として使われているのかを問う問題です。必ず調べておきましょう。

(2)国民負担率や公費負担率の割合を問う問題:
例)租税と社会保障負担を合わせた国民負担率は、主要先進国の中で高い水準にある。(老人福祉論23-9-5)
例)社会保障財源に占める公費負担は50%を超えている。(社会の理解25-7-3)
👉社会保障に使われるお金は、保険料と税金(公費)でまかなわれています。国民負担率とは何かを調べておきましょう。

(3)社会保障給付費の額や割合を問う問題:
例)社会保障給付費の総額は約50兆円である。(社会の理解29-8-3)
例)国の一般会計予算は社会保障給付費を上回っている。(社会の理解33-8-1)
👉社会保障関係費と社会保障給付費の違いを調べておきましょう。

(4)社会保障給付費における年金:医療:福祉の比率や割合を問う問題:
例)わが国における年金・医療・福祉等の社会保障の給付割合はおよそ5:4:1である。(社会福祉概論7-7-2)
例)介護対策の給付費は全体の30%を超えている。(社会の理解33-8-2)
例)社会保障給付費の中では医療費の割合が最も大きい。(社会の理解32-8-5)
👉社会保障給付費の内訳にはどのようなものがあるかを必ず調べておきましょう。

(5)医療費に関する問題:
例)後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいのは、後期高齢者の保険料である。(社会の理解32-8-1)
例)一人当たり医療費は約10万円である。(老人福祉論23-16-4)

(6)雇用・労働に関するデータの内容を問う問題:
例)共働き世帯数は減少傾向にある。(社会の理解34-7-2)
例)非正規雇用の割合は,全雇用者数の3分の1を上回っている。(社会の理解30-6-4)
例)非正規雇用労働者数は、減少傾向にある。(社会の理解34-7-3)

4.社会保険をめぐる問題の出題パターン

▼社会保険についても、問題に入る前に「社会保険とは何ぞや❓」を簡単にご説明します。やはり、一つひとつの項目をゆっくり、かみしめるようにお読みください。
保険(※保ではありません)とは、あらかじめ保険料を支払った者が事故(保険事故という)を起こしたときに給付を受ける仕組みのことです。保険にはいくつかの要点があります。
・まず、保険には、保険を運営する者(保険者)と、保険料を支払って必要な時に給付を受ける者(被保険者)という2つの立場があります。
・つぎに、保険では老齢、障害、遺族、病気、失業などが「保険事故」とみなされます。
・つぎに、保険では「あらかじめ」というのが大事で、事故が起こる前に保険料を支払っておかなければ給付を受けられません。一方、「あらかじめ」ではなく、事故が起きた後であってもなんらかの所得保障が受けられる制度が社会手当と生活保護です。
・さいごに、保険には社会保険と民間保険があります。公的な保険が社会保険、民間保険会社が運営するのが民間保険です。
▼社会保険には、年金保険、医療保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5種類があります(介護保険は別ページでとりあげる予定です)。
▼では、これらをふまえて社会保険の出題パターンをみましょう。

(1)社会保険の仕組みを問う問題:
例)社会保険制度は、保険料を支払った人に受給権を保障する仕組みである。(社会の理解26-10-2)
例)社会保険の給付は現金給付に限られる。(社会の理解29-7-4)
例)社会保険は保険料だけで運営され、公費負担は行われない。(社会の理解29-7-2)

(2)社会保険の分類を問う問題:
例)労働保険には雇用保険と労働者災害補償保険がある。(社会の理解24-9-4)
例)社会保険は医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つである。(社会の理解29-7-3)

👉これらはいずれも基本を問う問題です。必ず調べておきましょう。

5.年金保険をめぐる問題の出題パターン


(1)年金の分類を問う問題:

例)公的年金制度は、基礎的給付を行う国民年金と、それに上乗せして報酬比例の年金を支給する被用者の厚生年金からなる。(社会福祉概論15-5-B)
例)公的年金制度には、厚生年金保険は含まれない。(社会の理解24-9-5)
👉「被用者」とは、雇用されている人のことです。

(2)国民年金の保険者・被保険者に関する問題:
例)国民年金の保険者は都道府県である。(社会福祉概論8-8-A)
例)国民年金の被保険者は、被用者でない場合は20歳以上65歳未満の者である。(社会の理解25-8-1)
例)国民年金では、20歳以上でも学生である期間は被保険者にはなれない。(社会の理解25-8-4)
例)厚生年金加入者は、国民年金の加入者ではない。(社会福祉概論23-7-5)
例)厚生年金の被保険者に扶養されている配偶者は、国民年金の被保険者にはなれない。(社会の理解25-8-5)
👉年金も保険なので、保険者と被保険者がいます。
👉事業所にお勤めの方は、給与明細を見て厚生年金の保険料が天引きされているかどうかをチェックしておきましょう。

(3)国民年金の保険料・資格期間を問う問題:
例)国民年金の保険料は所得比例である。(社会福祉概論5-7-3)
例)老齢基礎年金の受給資格期間は25年である。(社会福祉概論4-5-3)

(4)国民年金の給付内容を問う問題:
例)老齢基礎年金の支給開始年齢は、原則として65歳である。(社会福祉概論4-5-4)
例)障害基礎年金と老齢厚生年金は併給できない。(介護の基本28-23-2)
例)障害基礎年金の障害等級は、1級と2級である。(介護の基本28-23-1)

(5)厚生年金の内容を問う問題:
例)厚生年金は、基礎年金に上乗せして給付する制度である。(老人福祉論22-16-3)
例)厚生年金の保険料は、標準報酬月額により徴収額が決まる。(社会福祉概論9-4-A)
👉厚生年金に関する問題は、第25回試験以降は出題されていません。

6.医療保険をめぐる問題の出題パターン


(1)公的医療保険全般の内容を問う問題:

例)公的医療保険制度の加入は任意である。(社会の理解24-9-2)
例)公的医療保険は現物給付が原則である。(医学一般21-68-1)
例)公的医療保険では、正常分娩も保険診療の対象である。(医学一般21-68-5)
例)医療保険の給付には、定率や定額の一部自己負担がある。(社会福祉概論10-3-5)

(2)健康保険の内容を問う問題:
例)健康保険には、高額療養費支給制度がある。(社会福祉概論10-4-D)
例)健康保険では、国庫負担(補助)は行われていない。(医学一般21-68-3)

(3)国民健康保険の内容を問う問題:
例)健康保険法の被保険者であった者が国民健康保険の被保険者になることはない。(社会の理解28-7-4)
例)生活保護世帯は国民健康保険に加入する。(医学一般21-68-4)
例)国民健康保険の保険料は世帯ごとに決まっている。(社会福祉概論10-4-C)
例)国民健康保険の給付には、傷病手当金がある。(社会福祉概論11-3-D)
例)国民健康保険には、高額療養費支給制度はない。(社会福祉概論9-4-C)
例)国民健康保険の一部負担金は、年齢や所得にかかわりなく3割である。(社会福祉概論22-6-2)

7.高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)をめぐる問題の出題パターン

👉高齢者医療確保法は第24回、第29回、第30回、第32回、第33回とコンスタントに出題されています。要注意です❗

(1)後期高齢者の定義と後期高齢者医療の対象者に関する問題:
例)高齢者医療確保法による後期高齢者医療制度は70歳以上の者を対象としている。(発達と老化の理解24-69-4)
例)高齢者医療確保法では、後期高齢者を65歳以上としている。(発達と老化の理解32-70-3)

(2)特定健康診査の内容を問う問題:
例)特定健康診査にはがん検診が含まれる。(社会の理解30-14-3)
例)特定健康診査の対象は75歳以上の者である。(社会の理解30-14-5)
👉特定健康診査は、後期高齢者医療確保法だけでなく通常の医療保険制度でも定められています。要は生活習慣病予防を中心とした保サービスです。

8.雇用保険・労働者災害補償保険(労災保険)をめぐる問題の出題パターン


(1)雇用保険の内容を問う問題:

例)雇用保険は、業種や雇用者数にかかわらず全事業に強制適用される。(社会福祉概論23-8-2)
例)雇用保険は事業主が保険料を全額負担する。(社会福祉概論23-8-3)
👉雇用保険とは失業保険のことです。

(2)労災保険の内容を問う問題:
例)労働者災害補償保険の保険料は、雇用主と労働者がそれぞれ負担する。(社会の理解31-10-2)
例)通勤途上の事故は、労災保険給付の対象外である。(社会の理解31-10-3)

▼『社会の理解』は長くかかりそうです。しばらく苦痛が続きますが、ぜひがんばりましょう❗❗

⭐⭐⭐次回は『社会の理解』②です。よい週末を⭐⭐⭐

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