#008 MBA留学が教えてくれたこと -その2
おはようございます。8日目です。末広がりです。
今日は「#007 MBA留学が教えてくれたこと -その1」の続き。ビジネススクール Hult が僕に教えてくれた価値観のうち、7年たった今でも大切にしていることを書きます。
※内容はソフトスキル中心です。マーケ、会計、戦略といったハードスキルに関する内容ではありませんので悪しからず。それらテーマは専門家の皆様にお譲りしまして。。
3. ダイバーシティから学び行動する
Hultのチームメンバーはとにかく多様です。60か国から280名の生徒が1つのキャンパスに入学します。職種は、コンサルタント、エンジニア、バンカー、ファミリー企業の子息、会計士、弁護士、国連職員、医師、エンジニアなど、、とにかく多様。年齢も27歳~50歳ぐらいまで幅広いです。
(プログラムの詳細は以下にも詳しくまとめています。僕らが当時、新入生のオリエン向けに作った資料です。)
前回にも触れましたチーム編成について、学校は、チームに同質性が生まれないように敢えて強みや年齢、国籍がバラバラなメンバーでチームを組成します(この徹底はすごい)。そもそも、生徒の採用が、性別、国籍、職種が多様になるような数値目標に基づいて行われていますから、採用後はその生徒を年6回分のプロジェクトに割り振っていくんですね。
僕らはこの多様なメンバーとの協働を通じて、混沌を受け入れながら、個の強みに目を向け、それを何とかチームのパフォーマンス向上に活かすために試行錯誤します。その際、コミュニケーションアシスタントという事務局メンバーも1チームに1名アサインされます。彼らは中立的な第三者として、チームで互いの価値観・文化的背景の違いを理解することを促進したり、一方で、差別的な言動を行った生徒がいる場合には適切に対処します。例えば、チーム内で衝突が起こった際には仲裁に入り、明らかに差別的な事象があれば、通報を受けてその後の調査を行い、場合によっては処分まで行います(悪質な事象があれば1発でドロップアウトする学生もいます)
さて、以下が僕の一番最初のチームのメンバーです。
32歳の税理士(ベネズエラ人。僕は今でも仲が良く、コロナ前に彼が日本に旅行に来た際には共に過ごしました。たまにWechatでおしゃべりもします)、28歳のソフトウェアエンジニア(インド人)、31歳の小売業マーケター(インド人)、36歳の船舶メーカーエンジニア(スペイン人)、30歳の通信会社の経営企画(ブラジル人。日系ブラジル人なのでファミリーネームは日本名で外見も日本人ですが日本語は全く話せません。彼の祖父は相撲の力士でした。)と僕。職種、年齢、出身国はバラバラ。
インド人や中国人は生徒数が多いので1チームに2名いることもありますが、それら以外は全員異なる国籍です。1年間で6チーム、1チームの人数は5-6名、異なるプロジェクトで国の重複はありますから、ざっと20か国、約30名のメンバーと苦楽を共にします。
僕がHultのチームワークで学んだことは、、というか、今でもこの時の経験をもとに探求し続けていることなので学んだというのは大変おこがましいのですが、それは、「ダイバーシティだから素晴らしい」のではなく、ダイバーシティから学び、それを議論し、プロセスや規範を改善する文化をチーム内で醸成することが大切だということです。つまり、国籍、年齢、性別の違いがあることを受け入れるのは当たり前の話で、肝心なことはその先。公平に議論し合い、もし互いの考え方やその根底にある価値観の違いがあるなら直ちに全員で議論し、内省し、学びを得る。そして、その学びを活かし、チームの規範を構築していくということ。
例えば、ダイバーシティという観点では、僕が経験した限りでは、アジア人は比較的に計画と時間に忠実に仕事を進めます。価値観が近いのでコミュニケーションも同じ英語を話していてもなんとなくコンテキストが読めます。ヨーロッパと中南米は、自分と感情とチームのムードを重視しながらここぞという時に個人が集中的にパフォーマンスを出す傾向があるように思います。アメリカ人はロジカルでオープンに話しやすい、チームプレイは得意かな。インド人は、うーん、本当に多様。
…そんな感じで、国籍とその文化的な背景は必ず存在します。ただ、それを知るだけではチームのパフォーマンスは高まらない。多様性を高めればチームのパフォーマンスが上がるという単純な話ではない。逆に、多様性をただ受け入れてしまうと、ただのバラバラなまとまりのない個の集団になってしまうリスクも存在する。僕自身が、Hultのチームで1度、空中分解して最低のグレードを教授からもらったこともありますし、僕自身、大企業で多様性を高めるリーダーの一人として大企業で組織を作ってきた経験も踏まえても、そう思います。
だから、大切なことは、互いの違いを当然のことと受け入れ、チーム内で内省し、メンバー個人の強み・弱み、特徴を理解し、それを活かすために日々行動し、プロセス、制度などの規範をを見直す、そういった学習する文化を組織に醸成することに価値がある。
この考えは、僕らの事業 carewill においても活かされています。事業化を本格的に開始してから4カ月が経ち、お陰様で、プロジェクトのメンバーは業務委託、パートを中心に24名まで膨らんでいます。
職種は、看護師、弁護士、デジタルマーケター、Webディレクター、Webエンジニア、洋服の縫製者、パタンナー、グラフィックデザイナー、映像クリエイター、コーポレイトコミュニケーション、補助金事務担当など、、とにかくダイバーシティ。国籍は同じ日本人なのでHultのチームと比べれば格段に同質性は高いですが、とはいえ、通常であれば全く異なる業界で働いているプロフェッショナル達ですから、言語体系、商習慣、仕事の進め方、費用に対する考え方など、基準や優先順位が異なります。なので、僕も、チーム内でも日々相互理解と学習の繰り返しです。個人的には、クリエイティブやデザインを生業にされている方々との協働は、僕にはない視座を教えてくれるので大変学びが多いです。
一方で普遍的なもの。人と人としての関わり方、事業開発の進め方、マネジメントの手法、あと、ユーモアとか。これらは、例えメンバーの職種や国籍が変われど変わらないなと改めて感じます。Hultで学んだダイバーシティマネジメントが素地になっています。過去のキャリアにおいても、海外パートナーと、フランチャイズ事業や新製品開発を行う際にもそう思いました。それらは変わらない。
ちなみに今のslackはこんな感じです。チャンネルは20を超え、メッセージは7,000件を超えました(あぁ、そろそろ有料プランにしないとかな。。)
異なる価値観や文化的な背景があるからこそ、メンバーはクロスオーバーなコミュニケーションを積極的に行い、そこから学び、今の僕らの組織においては、学びを革新的な製品・サービスの創出、プロセスの改善につなげていきたい。同時に、ダイバーシティと言えど結局は人なので、職種とは別に、人と人として互いに関心を持ち、尊敬しあえる関係が能動的に構築される、そんな組織文化を醸成していきたいと思っています。そしてその文化は、海外展開をする上での土壌になると思っています。そんなことも見据えて、越境ECサイトを先行してオープンしています(まずは小さく、でも視野は広く)。
今日はここまで。ダイバーシティから学びを得て、行動することの大切さを書きました。ではまた!
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