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私と相手の当たり前は違う、なぜ違うのか?より、どう違うのか?を聴いてみる

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
私は人と話すことが大好きです。1年前、コロナ禍で人と直接会えなくなった時も、オンラインイベント「Hanaso!」を企画してフリーランスが集まってみんなで雑談をする会や、キャリアカウンセリングを実施してきました。

話すこと・聴くことは、私のライフワークです。話す場の魅力はなんといっても『違いを知る』です。自分にとっては普通だと思っていることが、相手にとっては初めて知ることだったり、相手にとっては当たり前なことが、私にとってはびっくりなことだったり。そういう違いがわかるから、対話することが好きです。

違いを知るためのコミュニケーションを考えてみようと思います。


働いて30年超の私と新人の当たり前は違う

講師として話をしていると、受講生にとっては「初めて聞く!」「そうなの?」「へ~!」といったことを提供できている瞬間があります。仕事歴30年超の私にとっては「当たり前だよね」ということが、入社して間もない新入社員にとってはびっくりなことも多いみたいです。そういう時、受講生の手が動きます。キーワードをメモしている姿を見ると「そうか、こういうことは新人にとっては当たり前ではないのだな」と感じます。

例えば、「業務報告は、仕事が完了した時に行うだけでなく、中間報告を行うことでより良い仕事にしていくことができますよ」というと、すごく驚く若手が多いんです。中間で進捗報告をすれば、方向性が合っているかを確認できるし、追加でいろいろアドバイスも受けることができます。メリットがたくさんあることなのですが、若手にとっては、「上司は忙しそうだから」と、自分から接点を持つことを遠慮したり、「言われたことは終わった時に報告すればいい」と思っている人のなんと多いことか(チコちゃん風)。だからこそ、毎年伝える必要性があるんですね。

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働き始めて30年超の人の当たり前と、入社1年目の当たり前が違うのは当然のこと。自分が長年働いて積み重ねてきたから根づいている当たり前を伝えることで、これから働きつづける人の役に立てればと思って伝えています。

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同じ景色を見ていても感じることは別

年齢の差だけでなく、同じような境遇で同じような年齢の人と話すときも、違いを感じることはたくさんあります。例えば同じ景色を眺めながら、花に目がいく人もいれば、お団子に目がいく人もいるわけです。同じ場所にいても感じていることが違う。それはすごく当たり前のようでいて、実は私たちが最も忘れていることなんじゃないかと思います。

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ある人に対して、「頭のいい人だ」という人もいれば「油断できない人だ」という人もいます。そこに存在するのは同じ人なのに、見ている角度が違うと見えてくるものも違うし、見る人がその人をどんな眼鏡で見ているかで色も変わってくる。まったく表現が違うこともたくさんあります。昔お世話になったある上司について、私は「すごく気を遣ってくれていい人」だと思っているけど、別の人からすると「みんなにやさしいけど優柔不断」だという評価がされていて、他の人が自分と同じ見方をしていると思わない方がいいんだなと実感しました。

研修でも、「すごく良かった!知らないことがいっぱいだった!」という人もいれば、「特に新しい知識は得られなかった」という人もいます。テーマに対して、聴く側の知識量によって差がつくことは否めません。すべての受講生を魅了できるほどの力量が、私にはまだないといわれてしまえばそれまでなのですが、相手がどの程度の事前知識があるかどうかは知りようがないので、致し方ない部分もあります。

会議の参加者でも違いはあります。同時刻に同じ場所で同じ話を聞いているのに、受け取った言葉や印象に残った話がそれぞれ違う。人によって受け取りやすい話、受け取りたい話が違うのだと思います。だからこそ相手に受け取って欲しいことは、「ここが重要です」と意思表示しないといけませんし、「ここを理解してください」と理解を促すポイントを強調することがとても大切で、プレゼンの成功を左右します。

同じ景色を見ていれば自分と同じように感じていると思いたいし、話す側としては伝えたいことを受け取っていて欲しいし、一緒にいる人とは同じ感覚を持っていて欲しいと思うものなのかもしれません。でも、明らかに私と私以外の人は違う。むしろ違うことを前提として、相手が感じたことを話してもらう方が建設的です。

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なぜ違うのか?よりどう違うのか?を知ろう

会話や対話の中で「自分と感じ方が違うな」と思った時は、相手を否定せず、自分との違いをまず面白がることをおすすめします。話を聴いた時は、なるべく大きなリアクションをして欲しいです。「へ~」「ほ~」「そうなの?」「教えて!」、自分は気づかなかった、知らなかった、もっと聞きたいという感情を前面に出してみましょう。

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相手との違いを感じた時は、なぜ違うのか?を考えるより、どう違うのか?を知るチャンスです。特に世代間ギャップを感じる時は、違うのが当たり前なので、面白がって教えてもらいましょう。

自分の当たり前を押し付けるよりも、むしろ相手の当たり前とは何か?自分とどう違うのか?自分の当たり前を理解してもらうためには、どうアプローチしたらいいか?考えるきっかけになります。

聴くことができると、相手がどんどん話しやすくなり、話す量が増えれば増えるほど、信頼関係が築かれていきます。信頼関係が築ければ、自分の意見も受け入れらえる可能性が増しますね。

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「自分の当たり前と相手の当たり前が違う」という前提に立てば、聞きたい!と思うし、話したい!と思うし、理解したいという気持ちになります。そこにコミュニケーションが生まれて、いい関係性をつくるきっかけになりそうです。この春、新しく出会う人と、そんなコミュニケーションをしてみてください。


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