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⑤ Will・Can・Must 自分を理解する順番が大事

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
「自分らしいキャリアってなんだろう?」の連載では、キャリアを考える時に役立つキャリア理論等をお伝えしています。これまでの記事は、マガジンとしてまとめていますので、よろしければご覧ください。


今回は、キャリアデザインをする時に考える3つの問いWill・Can・Must』についてです。

Will・Can・Mustについては、自己理解からキャリアデザインを行うステップとしていろんな場面で語られているので、ご存じの方も多いと思いますが、この3つの問いのどこから考えるのか?で自己理解の深まりが違ってきます。


まずCanより始めよ

「かいよりはじめよ」という慣用句があります。「大事業をするには、まず身近なことから始めよ」という意味だそうです。それにならって語るなら、キャリアデザインは「まずCanより始めよ」です。自分のキャリア(人生)という大きく幅広いことを考える時は、まず最初にCanから考え始めて欲しいと思います!

キャリアデザインというとどうしても、「ここから先の未来の自分がどうなりたいのか?」に目がいきます。いろいろあった過去のことより、これからの楽しい未来を考えたい気持ちはわかりますが、ちょっと立ち止まってみてください。

未来を描くのは今の自分
です。そして今の自分は、過去の自分の積み重ねでできています。となれば、過去の自分を棚卸しして今の自分を理解することが先になります。

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どんな経験をしてきて、何を学び、何を得て、何が得意になり、どんな気持ちを育んできたのか?その答えは過去の自分の中にあります。例えば、「この先は、これまでの自分よりもっと上をめざしたいんだ」という気持ちがあったとしても、「これまでの自分」を明確化しないと、何をもってして『上』なのかが定義できません。

だからまず過去を棚卸しします。過去の自分をしっかり見つめてみて、いい面もそうでない面も含めて、客観的に分析します。Can(何ができるのか?)と合わせて、自分の興味関心や感情のベクトル(何にモチベーションを持つのか)についても考えてみましょう。

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Mustには2つの側面がある

次に考えるのはMustです。

Must=すべきこと
という響きがもしキツイと感じられる方は、
Need=求められているもの
として考えてもよいと思います。

Mustには、外的キャリアと内的キャリアという2つの側面があります。

外的キャリアは、外から求められる期待役割であり、周囲からの期待や自分が担っていること、すべきことです。私たちは人それぞれいろんなMustを持っています。仕事としてやるべきこと、チームから期待されていること、上司から求められていることなどに打ち返していくことで、報酬を得ていますし、すべきこと・やるべきことができた時には、やりがいや充実感を得ることがあります。

また、人生はいろんな役割の組合せです。子ども、親、パートナー、市民・・・いろんな役割に応えていくことも、すべきことに入ります。人生の役割についてはこちらの記事をご覧ください。

いろんな外的キャリアが、自分を成長させてくれています。

もう一つは、内的キャリアです。自分が大事にする価値観が、私たちのキャリア(人生)の選択の基準になっています。私はこれを「自分にとってのMust・ゆずれないもの」とお伝えしています。

ある人は、家族との時間が大事だといいます。
ある人は、自分の成長が大事だといいます。
ある人は、お金が大事だといいます。
ある人は、一人の時間が大事だといいます。
ある人は、人とのつながりが大事だといいます。

価値観やゆずれないものは、人によってかなり違います。育った環境や学んできたこと、人との出会いや人間関係、これまでの経験、家庭の価値観などが影響していることもあります。選択の基準となる自分の価値観を知っておくと、悩んだり迷ったりした時の意思決定に役立ちます。

外的キャリアとしてのMustがわかると、行動することが見えてきます。内的キャリアとしての価値観がわかると、人生の転機における選択ができるようになります。Mustは、今後のキャリア(人生)を描く上で重要な要素といえます。

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Willは心を自由にして

CanとMustがわかったら、未来に向けてのWillを考えます。
キャリアデザインに正解はありません。だからどうしたらいいのか?を考えるよりも、自分がどうしたいのか?をまずは考えてみます。

ただ、そうはいっても、私たちはついいろんな制約を思い浮かべてしまうものです。

やりたいことができるかどうかわからない
安定した収入はどうやって手にするのか
この先、変化が激しい時代で予測が難しい

それでも、この時だけは、数年後の自分がどうありたいのかを考えてみましょう。考えるのは自由ですよね。考えるだけでは、誰にも迷惑はかけません。できるかできないかは別の問題です。ここで描くのは、自分がどんなふうに過ごしていたらうれしいか?楽しいか?です。例え叶わないと思うことでも、描いてみることをおススメします。というのも、描いてみることで、叶う可能性が高まるかもしれないからです。

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人は何かを意識すると、そのことにまつわる情報が目や耳から入ってくるようになります。意識していなければ通り過ぎていたお店も、興味を持ち始めたら、初めてここにあったことに気づくといった経験はありませんか?例えば、お子さんができて初めて子ども服のお店に目がいくようになったとか、趣味で自転車に乗るようになったら、パーツのお店が近くにあったことに気づいたとか。これまで視覚的には得ていたけど気づかなかったことも、意識するとアンテナが立って情報として集め始めます。情報が集まると行動するための判断がしやすくなり、その結果行動につながり、実現可能性が高まってきます。

だから、ここは思い切って自分の望む未来を自由に描いてください。きっと何らかの変化が表れてくると思います。たとえすぐ変化につながらなくても、「自分はこういう欲求があったんだ」と理解することができ、自分の本心を知る機会にもなります。その上で、ありたい姿に近づくためにできることを探してみるのもいいと思います。

より良いキャリアには、自己理解が重要です。
Can⇒Must⇒Willの順で、自分のキャリアを自由に描いてみてください。

・キャリアデザインにはこちらの著書も参考にしてくださいね


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