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「はたらくこと」と「生きること」

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
働くこと、生きることについて、伝えたり聴いたり一緒に考えたりするのが仕事です。
今回は、「はたらくこと」について自分を振り返りながら書いてみようと思います。

はたらく時間をどんな時間にしたいのか?

「はたらく」とは、傍(はた)を楽にすること、とか、人が動くと書いて「はたらく」とか、いろいろ表現されます。
私としては、誰かの何かの役に立つ活動が「はたらく」ことなのだと思っています。
「はたらく」ことには、厳しいことも楽しいこともあれば、がんばらなきゃならないこともある。でも、この「はたらく」時間が、できれば『苦しい』よりは『うれしい』と感じられる時間にしていけたらいいなと思うのです。

なんといっても人生100年時代。4月から、「企業は70歳まで雇用延長できるようにしてね、努力義務ですけどね」(著者の解釈です)という内容の法律が施行されます。
20歳前後で社会に出るとして、70歳まで「はたらく」とすると、ざっくり50年ぐらいは仕事に関わることになります。
人生の3分の1は睡眠の時間だとして、目が覚めている時間のうちのどのくらいを「はたらく」ことに費やすのか?そう考えると、「はたらく」時間の質が人生全体にも大きく影響する感じがしてきますよね。せっかくなら、この時間が少しでも『うれしい』時間になったらいいなと思います。

自分の存在価値の表現として

私たちの「はたらく」目的は一つじゃないし人それぞれだと思います。
私の場合は10代で親を亡くしたので早く仕事につく必要性がありましたし、高校生になると早く「はたらきたい!」って思っていました。誰かに依存するのではなく、自立したい気持ちの強い子どもだったと思います。
高卒で就職した時は、なんだか自分が誇らしく感じたことを覚えています。

結婚して子どもが生まれて少し仕事から離れた期間がありましたが、在宅でできる仕事を探して、フリーライターをめざしはじめたのが20代半ば。30歳までには「これが私の仕事だと自信を持って言えるようになりたい」と強く思っていました。

自分の存在意義や存在価値を、仕事で表現したかったのだと思います。誰かのためにというよりは、自己実現のために「はたらく」
若い頃は、周りよりも自分のあり方に目がいきがちです。今振り返れば、私もそんな若者の一人だったなと思います。

収入のためだったけどプラスも多かった

その後シングルマザーとなるので、今度は生活を支えるだけでなく子どもたちの教育も考えていかないといけない状況へ。フリーライターで順調に収入は得ていましたが、なにせ不安定です。収支を計画的に考えるのが難しい。ここはやはり企業への再就職を、と考えてWEBの仕事へ転向し、30代半ばから40代半ばまでの約10年間は、2回転職はしていますが会社員生活を送ります。

社員となって収入が安定し、昇進することで年収も増えて、家も広いところに移れたし暮らしも少し豊かになったし、子どもたちも大学進学できて、再就職を選択してよかったと心から思います。収入が安定していると精神的にも安心感がありますよね。
年齢の高い私に仕事を紹介してくれた方にも、採用してくれた人事にも、昇進させてくれた上司にも、今でも感謝しているし、一緒に働いた仲間も大好きでした。お客さんとの仕事も楽しかった!
これまで知らない世界を見ることができたのも面白かった!

収入のためとはいえ、かなり充実した「はたらく」時間だった気がします。

ただ、唯一私にとってしんどかったのは、「組織の論理」で動かなければならないことでした。会社員なので当たり前なのですが、フリーが長かったのでなかなか腹落ちできないままでした。中間管理職としての板挟みもちょっとツラかった。
給料をもらう以上、会社に貢献するのは当たり前です。だからしっかり仕事はするのだけど・・・心の中にフツフツと「独立したい」想いが湧いてきて、子どもたちの教育費が終わる年にはもう一度!と考え始めるのです。

はたらくことは生きることになっていった

20代~30代は、自分のやりたいことは?とか、自分ならではの仕事がしたい!とか、矢印は『自分』に向いていました。自分を表現するための「はたらく」時間だったように思います。ただ、その欲求は自分を成長させる原動力でもありました。

30代~40代は、自分と家族の暮らしのために「はたらく」ことに変わっていったと思います。それに加えて、フリーランスでは味わえなかった、顧客や仲間と「はたらく」経験ができたのもとても良かったと思っています。「はたらく」ことで得るもののバリエーションが増える時期だったと思います。

45歳を迎える前に、キャリアコンサルタントの仕事をめざして独立します。
そのお話についてはこちらに書いていますので、ぜひご覧ください。

独立しても、自立した生活を続けていくだけの収入は必要です。誰かの役に立つためには、自分が成長していくことも重要です。「はたらく」ことに欲求は欠かせないと思っています。

ただ、20代や30代、40代と違って、今は「はたらく」ことが、生きることと同じ感覚になりました。生活と仕事の境界がほとんどない感じです。

自己実現のために、家族との生活のために、といったステージを経て、自然体で「はたらきながら生きる」につながったのかなと思います。
だから今は、「はたらく」ことが『うれしい』時間です。
そんな時間を増やしていきたいと思っています。


・著書紹介


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