見出し画像

子育て支援の限界と可能性について


重要な変化は、社会の中で集団がつながりあい、協力しあって始めて起こる

「3000万語の格差」のダナ・サスキンド博士の続編「ペアレント・ネイション」からの一文です。

保育者専門キャリアコンサルタントとして、各園で研修や面談をしていますが、同時に20年以上子育て支援活動もしてきました。

地域の子育て支援では、自分自身が支援される側であった時に出会った仲間を中心として始まり、子育てをしている人が参加し支援する側・される側の垣根のない活動になっています。

ここが、とても大切だと思います。
支援する側・される側という意識は分断につながると考えています。

同じことは保育園における子育て支援・保護者支援でも言えます。

コンサルティングの一環の中で面談をしていると、保護者に対して「良いアドバイスをしなくては」と身構えてしまう保育者が多くいます。
特に新人や若手保育者にとっては、これは過度なプレッシャーとなります。

園が各家庭とつながることは大切ですが、園 対 1家庭 だけのつながりで子育てを支援することは、限界があります。

1対1の支援には限界がある

子育て支援活動を主宰して感じるのは、主催者はその時その場だけの関わりにならざるを得ない。
「ちょっとの間うちの子を見てくれるかな」
「具合が悪いって聞いたから差し入れ持ってきたよ」
こういった関わりがあるかないかで、子育てに対する思いは大きく変わります。
子どもを通して人とのつながりを感じられることが、親の幸福感にもつながります

保育園は、同じ年代の子どもを育てる親の集う場所です。
同じ「属性」の集団、ピアグループを形成することも、保育園の役割の一つです。

ピアグループは、地域の社会資源(ソーシャルリソース)

かつては公園デビューなどの言葉があったように、子育てを集団で行う集団養育の姿は、人間の自然な形です。
子どもの養育に関する知識の伝授は、世代を超え、その地域と文化の中で行われていくのです。
こういったピアグループが、地域の起爆剤となり、時に大きな変化を生みます。
規約のあるサークルなどだけではなく、”ゆるやかなつながり”でも十分地域資源として機能します。

保育園での子育て支援の取り組み

保育園を中心として子育てピアグループを形成する取り組みの例としては、クラス懇親会の開催、「おやじの会」で父親同士の交流促進、イベントの手伝いの際にちょっとした自己紹介をしてもらい、お互いの距離を縮めるなどの試みがあります。

保育者は「ファシリテーター」として、保護者の間に存在し、主役である保護者同士がつながることをサポートします。
あくまで決定権は保護者。つながりたくない人はそれでも良いのです。

ゆるやかなピアグループは、保育園の応援団にもなっていきます。
園と保護者との関係が良いところは、保護者同士の関係性も良いところです。

困っている人を見たら助けたいと思うのは当然の気持ちですが、ただでさえ人手不足の保育園の限られたリソースの中では限界もあります。

園だけで解決しようとせず、保護者同士の子育てピアグループの形成をちょっと意識してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?