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キャリアブレイクを文化にするための会社を立ち上げました

新卒から8年間勤めた会社を退職し、2022年3月2日に自分の会社を立ち上げました。

会社員時代は、「感性をつぶさない働き方」に興味があり、社員の感性を引き出し、会社のメリットにつなげていく「企画コーチ」のようなポジションで働いていました。そんな働き方に興味を持っていただいた社外の人から「感性をつぶさない働き方」についての講演の依頼をいただく機会もありました。

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※会の趣旨で「男性vs女性」となっていますが、私は男女という区別はそこまで重要視していません。


そんなことを掲げ始めたきっかけは、人の感性が潰されるようなやりとりをいくつも見聞きしてきたことにあります。これは会社を経営する上で、普通のことなのでしょうか。人が人を壊すのは当たり前なのでしょうか。

感性はその人の命です。一度、壊された感性は回復までに長い時間がかかります。

一方で、世の中には星の数ほど会社があります。1つ1つの会社の働き方を変えるのではなく、社会そのものの文化を変えていく方が近道だと考えるようになり、社会を変える小さな挑戦を行う会社を作りたいと思うようになりました。

そこで、自分に合わない会社から一時的に離職し、感性を回復させ、人生を立て直す「キャリアブレイク」という文化に着目しました。

そんなの逃げているだけ、と思われるかもしれませんが、「逃げる」という漢字も、「兆(きざし)」への「道(しんにょう)」と書きます。会社に人生を壊される前に正しく逃げて、人生を立て直すことが当たり前の文化になるために、「キャリアブレイク」という風穴が必要だと考えました。


そして私は、精神病院を作りたい訳ではないのです。「人生を企画し直すことができる」という文化を作りたいのです。壊された人をケアすることに留まらず、もっと明るい、多くの人の未来になるようなキュートな文化を作りたいのです。そんな未来があるなら、私もそうなりたい、と顔を上げられるような文化。

それが「キャリアブレイク」です。


「せっかくルクアで楽しそうに働いていたのに」と聞かれることもありますが、実はルクアで作ってきたプロジェクトの延長線にあるような気がしています。

この私の小さな挑戦にご興味いただけるのであれば、少しだけお付き合いください。



なにかに追われている会社員たち

軽い自己紹介をします。

8年間、JR西日本の駅ビル・商業施設を企画する会社で働いていました。駅ビルということもあって、ほとんどのお客様が働く女性で、デートに似合うかわいいものを探したり、会社のストレスを発散したり、友人同士でお茶をしたり、そんな場所を企画してきました。

おしゃれな方が多く、一見キラキラしている場所でしたが、よく目を凝らしてみると、自宅と会社の往復で疲れ果てている人、どこか自分に自信がなく自分のことが好きになれない人、なにかがほしいのではなくただ消費したい人。そんな人たちに煽るような販売企画をしていて良いのだろうか、と不安になることもありました。

そこで、ルクア大阪という商業施設を舞台に、「生活者の心を温める」ための企画を始めました。その1つが、あったらいいなぁというお店を妄想して作る、という想いを込めた「妄想ショップ」です。

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妄想ショップ:https://www.lucua.jp/mousou_shop/

がんばっていることを認めてくれる「ほめるBAR」、かわいい自分のアイコンを作ってくれる「アイコンショップ」、日々の愚痴を聞いてくれる「お坊さん喫茶」など、心を温めるショップを作ってきました。

反響は大きく、新聞やテレビに大きく取り上げられることもありました。一方で、その反響から、世の中全体が心の豊かさを失っている実感がある証拠なのでは、と思うこともありました。


離職・休職者のための宿「おかゆホテル」

そんな中、実の妹、親友、パートナーといった身近な人たちが、同じようなタイミングで、会社を辞めました。

「このまま今の会社で働いていたら、私が私じゃなくなる気がした」

そんな状態だったので、今すぐ転職ではなく、自分を取り戻すためのお休み期間として、離職を選んだようでした。世の中的には、この無職期間はネガティブなことかもしれませんが、私には最良の選択に見えました。

ただ、心配ではあったので、そういった無職期間、空白期間をどう過ごせば良いのか調べ始めたところ、この「キャリアブレイク」という言葉や、大学では得られないような経験をするために大学進学の直前にモラトリアム期間を持つ「ギャップイヤー」といった文化に出会いました。

どうやら、世の中が思っているほど、余白期間は悪者ではないらしい、ということに気づきました。それどころか、プラスに働く、といった結論の研究などにも出会いました。

そこで始めたのが、無職期間である「キャリアブレイク」を肯定的に過ごすための場づくりです。「風邪をひいたときのおかゆみたい」「ゆったり時間が流れる宿みたい」といった参加者の声から【おかゆホテル】と名付けました。

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おかゆホテル:https://www.instagram.com/okayuhotel/

おかゆホテルでは定期的に、キャリアブレイクの事例の共有や、同じような境遇の人との座談会、キャリアブレイクが終わった先輩との談話会などを行っています。(※イベント等はインスタから参加募集をしております。)


転職じゃなくて離職・休職

「キャリアブレイク」という言葉は、wikipediaにもまだ掲載されていないので、認知度はまだ低いかもしれません。改めて説明すると、会社を一時的に辞めている離職状態を、キャリアが途切れているという意味を指して「キャリアブレイク」と呼びます。

一人ひとり、離職している理由は様々です。妊娠や育児といったライフステータスの変化、けがや病気などの療養、契約切れや倒産など会社の事情、人生を見直すための余白期間、などなど。社会復帰という言葉があるほど、会社に勤めていることが当たり前で、それが途切れている、という言い方です。

一般的には、あまりポジティブではないかもしれません。履歴書に空白をつくってはいけないという空気があり、空白の意味を問いただされます。

人生を立て直すという意味では、空白期間を作らず、転職や部署の異動など手段も沢山あるでしょう。そんな選択肢との優劣をつける気はありません。

「落ち着いて、自分の人生を立て直したい」

そんなことも選択肢の1つに合って良いはずです。1日過ごしていても、ふと休憩するコーヒーブレイクがあってこそ、1日が豊かになる。そんな感覚です。人生が100年もある時代、1年の「キャリアブレイク」を取っても1%です。

目先の心配は尽きないかもしれませんが、人生という大きな流れの中では、少しの休憩が文化になることは必要だと感じています。


転機に必要な3つのリズム

様々な文献を勉強をしていると「人生に立ち止まる」ことについては、昔から人々は悩み、また、研究されてきたようでした。転機のことを英語でトランジションと呼びますが、「トランジション理論」も立ち止まるためのリズムについて、明記しています。

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https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00ISHH7P8/

①終わらせる、②立ち止まる、③歩き始める、の3つのリズムを経ることが、自分の転機を最大限活かすことになる。

当書のキーワードを読んだときに、ちょっとした違和感を持ちました。身の回りの人を見たときに、なにかを終わらせ、立ち止まることをせずに、現状を打開するように、なにかを始めている人の方が多いのではないかと。どこか焦ってしまって、始めることを優先してしまうのでは、と。

また、サポート事業をするとしても、なにかを始めてもらうことが一番お金になる、とも思いました。そこで、おかゆホテルでは、始めることよりも、なにかを終わらせたり、立ち止まることを優先した環境づくり、コミュニティづくりを行うことにしました。


私と社会がつながり直す「マイプロ」

キャリアブレイク後半では、自分の興味関心からプロジェクトを立ち上げるマイプロジェクトを推奨しています。離職して、人生に立ち止まって、無の状態になると、なぜだか、なにかしたい気持ちになってくるお客様が多いです。そのモチベーションを、就活にぶつけても良いのですが、もう一段階、温めるためにマイプロづくりをしています。

ある女の子は、小麦粉が身体に合わないという体質から、そんな人でもお菓子を楽しめるように「ヴィーガンお菓子」の作って売ってみたり。

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ある女の子は、家族や友人にも言いづらい胸の内を話したいという自分のニーズをもとに、同じ境遇の人同士で交換日記をする、というサービスを作ったり。

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そんな私と社会がつながり直す一歩目として、自分の興味関心からプロジェクトをつくる、マイプロスクールを運営しています。

マイプロを通して、だれかの役に立つということは、想像以上に素敵な薬になると感じています。会社に入ることが社会復帰なのではなく、マイプロで、私と社会がつながり直す第一歩をサポートしています。


大切な人が死ぬ前に、大切なあなたが死ぬ前に

人生はいつだって企画し直せます。ダメになってしまう前に。

会社の中で、あの人はうまく立ち回っている、、なんて思っている人ほど、感性を殺しながら働いていたり。優秀で、自分らしく働いている人ほど、会社とのズレに敏感で苦しみを感じ始めると、飛び出していきます。

あなたの身近に、我慢している人、壊れそうになっている大切な人はいませんか?

キャリアは、出世したい人だけが考える時代ではなくなっています。自分の身を守るために、自分自身でキャリアを企画していく時代です。

いま、あなたの命はなんのために使っていますか?

自分の命の使い道は、自分で考えて決めていくものです。その使い道を、立ち止まって考えたり、マイプロを通じて見つけたり、そんな活動をしていきます。


最後にお願い

少し、暗い話になってしまいましたが、キャリアブレイクが文化になっていくために、いろんな業種の方とコラボしたいし、仲間がほしいです。実績などはもっともっと作っていきたいと思っています。

こんな研究や読み物あるよ~、こんなキャリアブレイク経験者いるよ~、うちとこんなコラボしよ~、私もおかゆホテル行ってみたい~、できることはないけど共感してるよ~、などなど、ご興味ある方はリアクションくださいませ。飛んで喜びます。そして、いろいろお話させてください。

動き出しているものでは、共感いただいたある方から、飲食店とコラボして、無職しか参加できない「無職酒場」なるものを作ろうと企んでいたりします。その他にも、キャリアブレイクの人のための旅行企画、キャリアブレイクの人のための本屋、社内でのキャリアブレイク制度などなど、相談中のアイデアがいくつかあります。

まだまだ生まれたての会社で、先行きの見えない事業ですが、どうかみなさん温かい目で、見守っていただけますと幸甚です。


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合同会社パチクリ
(現:一般社団法人キャリアブレイク研究所 ※2022/10/20設立)

代表 北野貴大
▼twitter 
https://twitter.com/kitanothiro

▼問い合わせ先
info@careerbreak-lab.org

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神戸の起業家|キャリアブレイクを文化にする会社パチクリLLC創業。一時的な離職・休職は人生のコーヒーブレイク。キャリアブレイク中の人のための宿「おかゆホテル」宿主。私と社会をつなぎ直す「マイプロジェクトスクール」運営。【経歴】建築学生→商業施設の企画(ルクア大阪、トキメキ事業部、妄想ショップ等)→独立

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▼インタビュー記事
心を救うコミュニティ:https://advanced.massmedian.co.jp/article/detail/id=6391
トキメキプランナー:
https://2ngen.jp/blog/kitanotakahiro/
おすそ分け的な働き方:
https://marchel.goo.ne.jp/column/004/39942b22a8f2d47f8b9dc6d47a49ee1b

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