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私にとってのスタートアップ初体験記

こんにちは。現在、音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」で働いている、AYAです。

私にとって、Voicyは初めての正真正銘のスタートアップの職場です。
Voicyに辿り着くまで、メガバンク(SMBC)や戦略系コンサル(BCG)、メガベンチャー(LINE)という、多くの人が会社名ぐらいは知ってるようなところで働いていました。

今回、働く場所としてスタートアップを選択するのは初めてでしたが、実はスタートアップへの投資に関わったことがあり、その経験がなかなかドラマティックでした。
先日、Voicyの資金調達の発表をさせていただいた際に、懐かしく思い出されましたので、今回は当時のことを思い出してみたいと思います。

最近では事業会社がスタートアップ投資をする事例も珍しくなくなってきましたが、その裏側で起こっていることが垣間見れるお話になると思います。


まさかのベトナムのスタートアップとの出会い

初めてスタートアップと深く関わることになったのは、意外にも銀行に勤めていた時でした。通常、銀行は財務健全性の維持を大切にしているため、投資リスクの高いアーリーステージのスタートアップに出資をすることなんてほぼ無いはず。ですが、なぜかその貴重な経験と巡り合わせました。

マレーシアから帰国後、人事部から辞令を受け取り、早速、配属先の部署へご挨拶。日本人1人ぼっちの世界から、日本人しかいない世界への逆戻り。これはこれで、なんだか違和感を感じるという不思議な体験でした。
(マレーシアでの話は👇で書いたよ)

それはさておき、配属先の部長との最初の面談での会話。

部長👨「東南アジア帰りの人が来て良かったよ!ちょうどね、2ヶ月ほど前にベトナムの会社に出資したんだけどね、そこの対応を担当してもらいたいと思っています」

私 👩「(東南アジアってざっくりですけども… ?!)ベトナムとの関わりは初めてですが、頑張ります。出資までされるなんて、すごい案件ですよね!どのような会社なのでしょうか?」

部長👨「○○っていう会社(「A社」と呼ぶことにします)でね、福利厚生のサービスみたいなことをしているスタートアップなんだよね。面白いと思うよ。詳しくは、担当の先輩に聞いて引き継いで貰ってください。」

当時、私が勤めていた銀行では海外(特に東南アジア圏)での事業を強化しようという動きがあり、その一貫で新しい挑戦として取り組んだ出資案件だったようです。
このような背景により、まさかのベトナムのスタートアップに関わることになったのです。この時は、まだシリーズAとBの間ぐらいのステージの会社だとは思っておらず、銀行の出資管理程度の話なのかな?ぐらいの感覚でした。

あれ?何かおかしい?

早速、出資時から担当していた先輩から引き継ぎを受けつつ、サービス内容や収支モデルの理解を進めようとしました。

出資先のA社は、ベトナム戦争中にアメリカに亡命し、アメリカで教育を受けたアメリカ帰りのベトナム人が立ち上げた会社でした。なので、英語でのコミュニケーションが可能で、分からないことはとにかく聞ける状態ではありました。

A社とのコミュニケーションを密に取りながら、出資時のDD(デューデリジェンス)資料や稟議資料を見つつ、理解を深めようと思っていたのですが、A社からの説明と資料がどうやら一致しない。どうやらサービスモデルに関する銀行側の認識が実態とズレていそうな気配💦
売上の立ち方とコスト内容が合っていない可能性があり、このままだと事業計画が実態とズレていて、銀行内の資料では2年内に黒字化する計画になっていたものの、実態はそんなにすぐに黒字化しない可能性が濃厚。。。

勇気を振り絞り、自分が調べてみた結果(ズレていそうな内容)を部内で報告したところ、早急に現地に行って、内容を正確に把握してくるように、という展開に。しかも、稟議内容が間違っていた、なんてことは一大事になるかも知れず、まだ間違っていた可能性でしかない段階で他部署に伝わると大変なことになるため、とにかく現地支店含めて、他部署にはサイレントで行ってくるように、という指示付き。秘密任務なんて007みたいだけど、当時の私はかなり緊張していました。

かくして、一旦、1ヶ月間を期限にベトナムへ独り飛び立つことになりました。(予期せず、またしても日本人一人ぼっち生活へ戻ることに😂)

カオスな環境で現場は最高に面白かった

まずは会社のみんなと仲良くなる

ベトナムに着いた日、すぐにオフィスにお邪魔し、初めてオフラインで対面することが出来たA社の社長。

そして、他のメンバーにも、ご挨拶。
「へロー、AYAです。これから1ヶ月間、インターンシップさせてください!皆さんの業務をいっぱい勉強したいです。」
出資企業から、自分たちの言語(ベトナム語)も出来ない得体の知れない外国人がやってくる😒 っていうのが、私を受け入れてくれたA社のメンバーの感覚だったに違い。東京ばな奈のおかげでなんとか仲良く話してくれる感じでした(えー日本でもバナナ採れるの?みたいな反応が楽しかった😁)。

社長からは、「これから何をしたいのか?伝えてくれたら、スケジュールするし、気軽に社員のメンバーとは話してくれていいよ!」と言ってもらいました。実は、東京では、もしかして社長が何か隠しているんじゃないか?みたいな勘ぐりをする人も出ていたので、私自身も少し不安を抱いて現地入りしたのですが、全くそんな気配もなく。
かなりホッとした反面、「出資側の対応がミスってる?」「もしそうだったら、なんて報告しようかな。。。」と心の中でこの時から少し悩みが芽生えていたように思います。

とにかく、滑り出しは好調で、ランチもみんな気軽に誘ってくれて(もしかしたら気を遣ってくれていたのかな)、ベトナムの屋台で美味しい食事を堪能しまくりました😋 コーヒーの世界有数輸出国でもあり、食後のコーヒーも最高でした。

サービスの理解を進めると面白かった

英語が話せるメンバーのサポートを受けて、各チームの会議にも出席させてもらうと、徐々にサービス内容が見えてきました。実際に、A社のクライアントとの商談の場にも連れってもらいました(が、ベトナム語が全く分からない私には。。。温度感だけ感じて満足😅)。クライアント先までの車での移動中には水牛が普通に闊歩するような風景が続くことが多かったです。

最初に銀行内で説明を受けた通り、いわゆる福利厚生サービスであることは間違いないことがはっきりしました。ベネフィット・ワンのように、企業と契約し、その企業の従業員向けにサービスを展開するもの。

日本で一般的な福利厚生サービスと異なっていたポイントは、従業員向けの提供サービス内容。
日本だと旅行/ホテル宿泊の特別プランやスポーツジムの利用券などが中心になりますが、A社の場合は、割賦で購入できるECサービスを中心としていたこと。個人向けローンや割賦販売サービスが充実していない社会環境がその背景にありました。現金取引率が高く、まだ個人信用情報を集約した情報機関が整備されていないため、個人に対する与信が難しいのです。

簡単に図解すると取引関係図は下記のようなモデルでした。

そして、会社の福利厚生制度に関するサービスを展開するためには、共産党との関係が切っても切れないそうで、各地域の共産党(つまり地方政府)との関係構築による導入社数の拡大がまずはスケールのために必須という戦略でした。導入社数の増加に伴い利用従業員数も増え、結果、個人信用情報が得られることでベトナムで未整備の情報プラットフォームが構築できる。まさに、中国のアリババ・グループのような構想です。

ね、面白そうな話でしょ!👍

それにしても、なんだか長くなってきました😅
また次回に続きを書きたいと思います。

こぼれ話

そういえば、A社のクライアント先へ訪れた時のこと。
そのクライアントは最近、サービスを導入したばかりで、その日は、A社のECモールの利用開始が始まる直前に実際に会社で記念販売イベント。

販売イベントの目玉商品はスマホ。
何やら一人の男性の品定めをその他大勢の従業員が後ろから静かに見守っている様子。なんで皆待ってるの?と思っていたら、A社のメンバーがそっと教えてくれました。

品定めをしている男性は、従業員組合のリーダー。つまり偉い人。
多くの従業員は、この男性と同じ機種のスマホを持ちたいのだそう。だから、彼が選ぶのを待っているとのこと。ベトナム人の普通なんだよって。
なんだか共産党を垣間見た気がした出来事でした。


次回は、ベトナムで現場の理解が進むにつれて、東京とギャップが深まっていく苦悩の日々を書きたいと思います。

スタートアップのあれこれ聞いてみたいと思ってくださった方、ぜひMeetyでもご連絡してください。


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