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藤本タツキ短編集『17ー21』感想⑤あとがきと『ルックバック』

※2021年12月10日18時35分削除と修正

『17ー21』短編集のあとがきの感想。脈絡なく箇条書きなので読みづらいかと思います。
そういえばあとがきには『ルックバック』のことも書かれているので、
ルックバックを読んだ人は全員『17ー21』を買って読んで欲しい。押し売りしたい勢いです。まじで読んでくれ。

『17ー21』と『ルックバック』のネタバレ有りなので注意。


他、短編の感想↓



○あとがき

藤本タツキ氏は漫画のみならず、文章もうまいのかよってちょっと絶望した。
あと藤本タツキの作品を読んできて良かったなぁと思った。
(以下作者と呼ばせていただく)

ぼくはこれまで作者の本音を見たことがない気がしていたんだけど(そもそも本音とはなんなのかという疑問はひとまず置いといて)
このあとがきではじめて作者の事を知れたような気がした。

単行本のカバー折り返しにはその漫画の作者コメントが載っているのはみなさんご存じだと思う。
ぼくは『ファイアパンチ』も『チェンソーマン』も読ませていただいていたんだけど、
どのコメントも“キャラ”というヴェールで覆われているなぁという印象だった。インタビューを読んでも、作業スタイルとか創作意欲はよくわかって面白いけど、創作以外のことが全く謎。

『ファイアパンチ』のコメントなんか、最終巻では「この話はすべてフィクションです」と書かれている。
ファイアパンチのことを「フィクションです」と言っているのか、作者のコメントが「フィクションです」と言っているのかいまいち判然としない書き方ではあるけど、ぼくは両方とも「フィクションです」ということだと受け止めた。
コメントは薄々、嘘だろうなぁと思っていたけど“藤本タツキ”という”作者キャラ”としてコメントを書くというスタイルはまじで斬新すぎた。
ファイアパンチの中でも“演じる”というテーマはあったけど、カバー折り返しまで徹底するなんて本当に普通じゃないと思った(嫌悪ではなく賞賛です)
Twitterでも妹のこはるちゃんが更新しているので、
作者の言葉は“こはるちゃん”というキャラに包まれている。
いや、こはるちゃんは妹なんだけどね…ややこしいな!

(結局『17ー21』のあとがきも創作に関係したあとがきではあるけど)キャラに包まれていない生身の作者の姿が見えた気がしてすごく感動してしまった。
べつにぼくは生身の作者の事を知りたいと思っていたわけではなくて、むしろ作品ごとにキャラ変していくほどのめりこんでいくことは凄いと思っていたし、作者の個人情報が作品の邪魔になることもあるので知らなくて良いと思っていたんだけど、
ずっと包まれていたのに、突然包まれていないものを見せつけられたときのギャップというか不意打ちというか、、、。
同じことしか言えないけど感動してしまった。
このあとがきが読めて本当によかったと思う。短編集をまとめるという話を出してくれた方に感謝したい…。林さんでしょうか…。

まさか短編集で『ルックバック』の話題が出るとは思わなかったなぁ。
最近涙腺がゆるいのか、あとがきを読みながらぼろぼろ涙が出てしまった。

作者は漫画がなんの役にも立たない、無力であると感じている、と書いている。

ルックバックで藤野が再び歩き出すシーンが描かれたのは
作者の体験、経験、思想を投影しているからではなく、
自立したフィクションだからこそ描かれたのだとあとがきを読んで思った。
ぼくはルックバックを「作者の個人体験を投影し~」とかって散々書いてきたわけだけど、ルックバックの中に作者の体験等が投影されている部分だってもちろんあると思う。どこまでを体験だと読み取るか、は難しいです、難しいから、
難しいからこそ!
だからこそ『17ー21』のあとがきを読んで欲しい!

藤野が京本の家に行くまでに、どれほどの年月が経っていたのかは曖昧である。
作者のように2011年から『ルックバック』を描くくらいの年月、藤野はずっと京本の家に行けていなかったかもしれない。

大切な人を亡くして心が折れてたって人は立ち上がるし、頑張ろうとするし、
意味を見いだせなくても歩かなきゃならないときだってあるし、、、

…たぶんぼくらは「めでたしめでたし」な物語に慣れすぎてしまったんだなぁ…。

『ルックバック』は藤野が再び漫画を書き始めたから“めでたしめでたし”って訳じゃないんだよな、
ということに、今、気づいた。

“藤野が再び歩き始めた、めでたしめでたし”で終わらせようとしていたのはぼくの方だった。

ポジティブな終わり、という捉え方をしたっていい。
だけど藤野は歯を食い縛って、失意のどん底で倒れそうになりながら歩いていたかもしれない。

藤野が思い浮かべた京本の表情がどれも楽しそうで、藤野も前向きな気持ちになったんだと勝手に思っていたけど
そうじゃなかったかもしれない。

……………





感想書いてる場合じゃないので『ルックバック』を読み直します。

















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